第三者意見書

  • ESGアナリスト 長谷 直子 氏

株式会社 日本総合研究所
創発戦略センター/ESGリサーチセンター
ESGアナリスト
長谷 直子 氏

新電元グループのCSRの取り組みとその情報開示に関して、「新電元グループCSR報告書2018」の記述と、株式会社東根新電元での工場見学および意見交換を踏まえて、第三者意見を提出します。

株式会社東根新電元の工場見学は今回で2回目となりますが、新電元グループ全体で展開されている、環境・品質・生産性・安全性向上に向けた改善活動「SPIS(Shindengen group Productivity Innovation System)活動」は着実に進んでおられました。特に近年ではIoTの活用を進め、工場内の生産設備をイントラネットに接続し、海外も含めた各工場の設備の稼働状況を本社でリアルタイムに監視することで、生産性の向上やエネルギー利用の効率化を図っておられます。設備のトラブル対応実績も本社に集約することで、各所で発生するトラブルに効率的に対処できるようにしておられます。こうしたIoT導入に加えて、生産ラインのロボット化も進められている点が印象的でした。単純な作業はできるだけロボットに任せ、従業員はより付加価値の高い仕事に従事できるようにしておられます。さらに、単なる自動化ロボットから、安全柵を必要とせず導入できる協働型ロボットへのシフトを進め、従業員の安全性にも配慮しておられることを評価致します。
環境配慮型製品に関しては、消費電力の低減に資するデバイス製品や、各国の環境規制に対応できる二輪車用電装品、電気自動車用の車載DC/DCコンバーター、大型急速充電器・非接触型充電器など、幅広い分野で先進性の高い技術開発を進めておられます。東根新電元で生産している施設向けの照明機器に内蔵するIC製品では、2つの部品を1パッケージに実装したことで軽量化を実現し、パナソニック社より2017年11月にECO・VC「金賞」を受賞されました。貴社のたゆみない技術革新への熱意が、今回の受賞に結実されたと考えます。幅広い製品の提供を通じて、社会全体のCO2排出量の削減に貢献しておられることを評価致します。
なお、前回指摘させて頂いた、工場での再生可能エネルギーの導入に関しては、貴社の飯能工場の使用電力に係るCO2排出量をオフセットする目的で、2018年2月に再エネ由来の「山形県民CO2削減価値(Jクレジット)売買契約」を締結するなどの取り組みを始められたことを評価致します。貴社製品には、半導体のように製造時にエネルギーを大量消費する製品が含まれるため、安定供給が最優先となり、自家利用目的で再エネを導入することは難しい側面もおありになると存じます。しかし、これまで欧米を中心に拡がってきた「RE100※」というイニシアティブに関して、日本でも国として導入促進に向けた数値目標が設定されるなど、再エネ導入に向けた動きが加速しています。今後、メーカーがサプライヤーに対して再エネ電力を使うよう要請することも予想されますので、可能な範囲で検討していかれることを期待致します。例えば、2020年度に予定されている新事業所設立の際に、自家利用目的で太陽光などの発電設備を整備することも一案と考えます。
従業員への配慮の取り組みとしては、労働生産性の向上を進め、残業上限時間を設定するなど、時間外労働時間の削減に取り組んでおられます。有給休暇の取得に関しても、東根新電元では、1日を4分割に細分化し部分的に有給を取得可能とするなどの工夫をしておられます。また、夜間での工場勤務もあることから、女性の採用が難しい中で積極的に女性の採用を進められ、2018年度には女性採用比率は東根新電元で50%(新電元工業でも30%)にまで向上されています。働き方の多様化に向けても、介護のための短時間勤務の導入などに着手されています。将来的には、育児や介護事由に関わらず、誰もが働きやすい職場環境の整備に向けて、取り組みを継続していかれることを期待致します。情報開示面では、有給休暇の取得率や育児・介護休暇の取得者数などの情報について開示を進められたことを評価致します。

最後に、CSRレポート2018では、事業活動全般を通じてSDGs(持続可能な開発目標)における目標達成に貢献することを明示されていることを評価致します。SDGsについては昨年度から開示されていますが、今年度は特に、貴社の製品がどの目標達成に貢献しているのかを製品毎に具体的に明示されています。さらに、多様性の推進などの従業員に配慮した取り組みや、サプライチェーンでの人権配慮の取り組みなどについてもSDGsの目標と関連付けて示すなど、事業活動全般を通じてSDGsの目標達成に貢献していく姿勢を分かりやすく開示しておられることを評価致します。今後は、各取り組みがSDGs達成に向けてどのように貢献するのかをより具体的に、例えば、取り組みの成果や波及効果、さらに環境・社会に与えるインパクトをできるだけ定量的に把握し、発信していかれると、説得力がより高まると思料致します。

(※)国際社会全体で再生可能エネルギーへの転換を促進するため、国際環境NGOの「The Climate Group」らが2014年に立ち上げたイニシアティブ。事業運営を100%再エネで調達することを目標に掲げる企業が加盟する。

第三者意見書を受けて

株式会社日本総合研究所のESGアナリスト長谷直子様には、当社グループCSR活動への貴重なご意見、ご指摘を賜り誠にありがとうございました。
長谷様からは、SPIS活動として、IoT導入や生産ラインにおけるロボット化の推進し、環境・安全性に配慮し、品質・生産性の向上に努めていることをご評価いただきました。従業員への配慮の取り組みでは、労働生産の向上を進め、時間外労働の削減に取り組んでいること、有給休暇の取得や介護の為の勤務形態として、柔軟な制度を設けていることをご評価いただきました。
また、国際イニシアティブである、パリ協定やSDGsにおける、今後の取り組みにつきまして、貴重なご意見をいただきました。
今後もご評価いただいた取り組みをさらに高め、社会的課題への取組みにつきましても、すべてのステークホルダーの皆さまの信頼を得られるように、中長期ビジョンのもと、価値ある企業を目指して対応してまいります。
引き続き、ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。

新電元工業株式会社
CSR委員会事務局

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