第三者意見書

  • マネジャー 長谷 直子 氏

株式会社 日本総合研究所
創発戦略センター/ESGリサーチセンター
マネジャー
長谷 直子 氏

「新電元グループサステナビリティレポート2023」の記述を踏まえて、新電元グループの取組みとその情報開示に関する第三者意見を提出します。

今年度のレポートを拝読して、製品の提供を通じた環境・社会へのポジティブインパクトの創出と、自社の事業活動に伴うネガティブインパクトの軽減、という両側面から取組みを着実に進め、サステナビリティ経営を深化しておられると感じました。具体的な所見を3点申し上げます。

1点目は、環境問題への取組みです。気候変動への対応として、自社の事業活動に伴うネガティブインパクトを軽減するため、Scope1,2のCO2排出量について「2030年度末までに42%削減(2021年度比)」するという目標を設定されました。この目標は、SBTi(Science Based Targets initiative)からの認定取得を目指しており、外部の意見も取り入れながら目標設定を見直しておられることを評価致します。実績としても、2021年に開業した朝霞事業所はZEB Ready適合建物として省エネルギー性能が高く、さらに全電力を非化石証書付CO2フリー電力で賄っておられます。その他にも複数の関係会社で再エネ由来電力の供給契約等を締結するなど、CO2排出量の大幅な削減に向けて取組みを加速しておられます。
製品の提供を通じた環境貢献については、「2024年度までにCO2削減貢献量:80万t-CO2以上」という数値目標を設定し、電源用ICシリーズや低損失ブリッジダイオード、四輪車用DC/DCコンバータなどで環境配慮型製品の売上を拡大しています。EV/PHEV用充電器も今後、社会の脱炭素化に伴い、需要の拡大が期待される製品でしょう。また、昨年度指摘させて頂いたScope3のCO2排出量削減目標についても、「2030年度末までに25%削減(2021年度比)」という目標を新たに設定されました。今後、設定した目標の進捗を確認しながら製品の提供を通じた環境や社会への成果(インパクト)を評価し、その評価結果をもとに製品の改良等が進むことを期待致します。
「環境ビジョン2050」では、3つの柱として「脱炭素社会への貢献」「循環型社会への貢献」「自然共生社会への貢献」を掲げています。このうち、「自然共生社会への貢献」は昨今、注目が高まっている「自然資本」に関わるテーマです。本年9月には自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の最終ガイドラインが公表されるなど、今後さらに重要性が高まるテーマと考えますので、「自然共生社会への貢献」に関してKPIの設定を検討していかれることも一案です。

2点目は、ガバナンスについてです。全社でサステナビリティに向けた取組みを推進するため、取締役会直下に社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置するなど、体制を強化しておられます。また、取締役会の実効性評価について、外部機関の意見も踏まえ取り纏めています。外部の客観的な意見を受けて改善することで、取締役会の実効性がさらに向上するものと考えます。

3点目は社会側面、特に人材への取組みです。「多様な人材の活躍推進と柔軟な働き方の拡充」を方針の一つに掲げ、「新卒採用者に占める女性割合30%以上」等のKPIを設定されています。目標を明確にすることで取組みの促進につながると考えますので、今後、従業員エンゲージメントや人材育成面などで、KPIをさらに増やしていかれることも一案です。
有価証券報告書では、人的資本経営に向けた組織としてのお考えや人材育成方針などを示しておられますが、今後、経営戦略と連動した人材戦略を策定・開示していくとともに、人材の価値を引き出すことでどのように企業価値を向上させようとしているのか、といったストーリーも併せて開示していかれることを期待致します。

第三者意見書を受けて

株式会社 日本総合研究所の創発戦略センター/ESGリサーチセンター、マネジャー長谷直子様より、当社グループサステナブル活動への貴重なご意見を賜り誠にありがとうございます。
当社グループは、サステナビリティ経営や「企業ミッション」に則したSDGsマテリアリティを表明し、実践していくことで中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

また、これまで培ってきたコア技術の革新と未来に向けた先進技術の創出で脱炭素社会に向けた諸課題の解決を目指すとともに、社会やガバナンス側面での課題解決についても取組んでまいります。

新電元工業株式会社
サステナビリティ推進室
(サステナビリティ委員会事務局)

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