第三者意見書

  • ESGアナリスト 長谷 直子 氏

株式会社 日本総合研究所
創発戦略センター/ESGリサーチセンター
ESGアナリスト
長谷 直子 氏

新電元グループのCSRの取り組みとその情報開示に関して、「新電元グループCSR報告書2017」の記述と、株式会社秋田新電元での工場見学および意見交換を踏まえて、第三者意見を提出します。
新電元グループでは、2017年にコーポレートブランドを刷新し、「私たちの約束」として、「自然環境を守り、私たちの機器やシステムの提供を通じて社会の成長に貢献」することを宣言されました。その宣言のとおり、半導体技術、電源回路技術、モジュール技術の3つのコア技術を融合しながら環境配慮型製品・技術の開発を進め、製品の提供を通じて持続可能な社会の実現に貢献しておられます。特に近年はEV関連事業を強化され、車載のDCDCコンバータやダイオード、パワーモジュールなど環境対応車向けの電装品に加え、EV用充電器の開発も進めておられます。秋田県や山形県、宮城県等の自治体と連携しながら、役場や道の駅でのEV用充電器の設置を積極的に進めておられることを評価致します。また、取り組みの開示にあたり、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)における「クリーンなエネルギー」や「気候変動」等の目標達成に貢献することを明示されていることを評価致します。EV用充電器という新たな製品の提供は、温室効果ガス排出量の削減や社会インフラの整備といった環境・社会面での好影響をもたらします。同時に、自社にとっては新市場の開拓や、地域社会における自社のブランド力向上といった企業価値の向上にも貢献すると考えますので、今後、可能な範囲で企業価値向上への効果も併せて開示していかれると、投資家の関心をより惹き付けられると考えます。
新電元グループでは、グループ全体で環境や品質、生産性、安全性向上に向けた改善活動を推進するため、SPIS(Shindengen group Productivity Innovation System)活動を展開しておられます。今回、工場見学させて頂いた株式会社秋田新電元でも、数十種類に及ぶ目標指標を設定し、活動状況の見える化・進捗状況の定期的な確認により、効率的な生産体制の構築に向けて継続的に改善を重ねておられました。海外工場も含めて好事例を展開しておられる点なども、先進的です。品質面では、SPIS活動のほか、VQ(Vehicle Quality)活動やQKY(品質の危険予知)活動を実直に進めることで、取引先からの「品質栄誉賞」の受賞など、高い信頼を獲得しておられます。環境面でも、部門を横断したチェック体制による生産工程の歩留まり改善等、省エネ活動を徹底されている点を評価致します。一方で、再生エネルギーの導入については、さらなる取り組みの余地があると思慮致します。例えば、「RE100」(事業活動に伴うエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業のイニシアティブ)という取り組みも世の中では始まっていますが、将来に向けて再生可能エネルギーの導入を検討することを期待致します。
従業員との関わりでは、多様な働き方の実現に向けて、各種休暇制度や短時間勤務制度、育児・介護休業などの制度を整備されています。2016年度からは、育児・介護休業制度利用者数などの実績値についても開示を始められたことを評価致します。今後は、有給休暇取得率や障がい者雇用率等についても自社のWEBサイト等で開示していかれると、貴社の多様な働き方実現に向けた取り組み姿勢がステークホルダーにより伝わりやすくなると考えます。特に、株式会社秋田新電元では、障がい者雇用率が2.6%と高く、障がい者の方が働きやすいよう生産工程での工夫もしておられます。
また、人材育成の面では、研究開発を行う従業員のモチベーションを高めるために、各自の研究内容を顔写真付で会社の受付に張り出されていることなども印象的でした。こうした好事例を新電元グループのWEBサイト等で内外に開示し、グループ全体に広げていかれることも一案です。
最後に、グローバル化が進む貴社にとって、「ダイバーシティの推進」は重要な経営戦略の一部と考えます。これまでグループ各社を見学させて頂きましたが、例えば、女性の活躍推進では、会社によって取り組み度合いにやや差があると感じました。今後、グループ全体でダイバーシティ推進に取り組むためには、グループの基本的な考え方と行動の方向性を定め、グループの方針として明文化することが重要です。ダイバーシティに対する新電元グループとしての取り組み方針の策定について、可能な範囲で検討していかれることを期待致します。

第三者意見書を受けて

日本総合研究所株式会社のESGアナリスト長谷直子様には、当社グループCSR活動への貴重なご意見、ご指摘を賜り誠にありがとうございました。
当社グループでは、ISO26000 7つの中核主題に沿ったCSR活動を展開しております。
長谷様からは、製品の提供を通じた持続可能な社会の実現への貢献やSDGs(持続可能な開発目標)を活用した取り組みの開示についてご評価をいただきました。一方で、再生可能エネルギーの導入や女性活躍推進等の「ダイバーシティの推進」については、新電元グループで推進していくようご指導いただきました。
今後は、ご評価いただいた取り組みをさらに高め、期待する点としてのご指摘やご意見も踏まえて、ステークホルダーの皆さまの信頼を得られるように、中長期ビジョンのもと、価値ある企業を目指してまいります。
引き続き、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

新電元工業株式会社
CSR委員会事務局

トップへ戻る