DC/DCコンバータ開発の経緯
1990年代後半よりの地球温暖化に対する環境負荷削減に向け、各国で取り組みが進み、車両メーカーは環境に配慮した車両開発に着手しました。
当社は電源製品を得意としており、2000年代に長年培った半導体、電源技術や車載に向けた実装技術を駆使したDC/DCコンバータを開発し、車両に搭載されました。
DC/DCコンバータは、モータを駆動するための2次電池(リチウムイオン電池:LiB等)高電圧バッテリーから、ECUやヘッドライト等の電装機器を駆動するための12Vバッテリーへ電圧変換をする必須のアイテムであり、各環境対応車(EV、P-HEV、HEV、FCV)のご要求に応える車載電源を順次市場に投入しています。
現状、各国の規制に違いはありますが、当社の強みを活かした小型、軽量、高効率なDC/DCコンバータの開発を推進しています。
開発技術の紹介
高効率化・低ノイズ化を実現する回路技術・制御技術
1.部分共振フルブリッジ方式
本電源の主回路構成は、より少ない部品でゼロ電圧スイッチング動作を可能にする部分共振フルブリッジ方式を採用しています。内部素子のスイッチング損失の低減を図り、特に実使用負荷領域で変換効率を最高点に設定することで、自動車の一層の燃費向上に貢献しています。
回路構成ブロック図
メインFETモジュール
効率特性
2.デジタル制御による性能向上
DC/DCコンバータの電源制御および通信はすべてフルデジタル化(DSP)による制御を行っています。従来のアナログ技術では実現できなかった回路動作の最適制御、機能向上、電源監視と安全設計、上位ECUとの通信による給電システムの最適動作を実現しています。
3.内製部材の採用
DC/DCコンバータの主回路部品(一次側FETモジュール、トランス、二次側同期整流FETモジュール、出力チョーク)は、新電元社内の電子デバイス事業部門および磁性部品事業部門において、個々の電源仕様に合わせた最適設計のパーツとなっております。またそれらパーツをアルミダイカストケースに実装することで、空冷および水冷の放熱性能を各段に向上させた構造としています。