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    実際に行われている取り組みを紹介!

省エネ先進国の日本が誇る省エネ技術や
実際に行われている取り組みを紹介!

近年、地球温暖化や燃料問題の観点から省エネが重要視されています。日本では省エネにどのような技術が使われているのでしょうか。また、省エネを実現するためにどのような取り組みが行われているのでしょうか。

そこで今回は、日本の省エネの歴史や技術、実際に行われている取り組みを紹介します。

【目次】

1.日本は省エネ先進国!

エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っている日本にとって、いかにエネルギーを効率的に使用するかが重要な課題の1つです。

日本で省エネの重要性が強く意識されたのは、1970年代に起こったオイルショックの影響が大きいでしょう。オイルショックの直後に「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」が制定され、「2030年までにエネルギー消費効率の35%改善」を目標としました。

その後も、2011年の東日本大震災による原子力発電所の停止など、国内外のエネルギーを巡る環境の変化に対応しながら、現在に至るまで省エネが進められています。

2021年には、「改正地球温暖化対策推進法」が施行され、2050年までに脱炭素社会の実現を目指しています。脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を資源の再利用や植林によるCO2吸収量を合わせて「実質ゼロ」にすることです。エネルギーの消費を抑えて資源を再利用するという意味では、脱炭素も省エネといえるでしょう。

「改正地球温暖化対策推進法」では、2030年までに温室効果ガスを46%削減するために、再生可能エネルギーを使った発電・供給施設の整備や電気自動車の普及を進めています。

日本では、省エネに関する法律の制定だけでなく、省エネを実現するための技術開発も行われてきました。現在では、日本は世界トップクラスの省エネ技術を誇ります。これは日本の電気消費量が世界4位であるにも関わらず、「実質GDP当たりのエネルギー消費」がイギリスに次いで2番目に少ないことからも明らかでしょう。

実際にどのような技術が省エネに使用されているのかを、次章でみてみましょう。

2.日本が誇る省エネを実現するための技術

省エネ技術は「パッシブ技術(必要なエネルギーを減らす技術)」と「アクティブ技術(エネルギーを効率的に利用する技術)」の2つに分けられます。

さらに、省エネを行っても必要になるエネルギーは「創エネ技術(エネルギーを作る技術)」で賄うという考え方が大切です。

各技術の特徴と使用例については以下の通りです。

パッシブ技術

パッシブ技術とは必要なエネルギー量を減らすための技術です。パッシブ技術の例として、外皮断熱が挙げられます 。

室温を調整するためには空調を使用することが一般的ですが、冷暖房を使用する際はエネルギーを消費します。そこで、建物の外皮(屋根、壁、床など)を熱が伝わりにくい素材で施工して室温を快適に保つことで、空調の使用エネルギー量を抑えます。

日本では、特に複層ガラスの技術開発が盛んに行われていて、その普及率は約95%です。2枚のガラスの中に熱伝導率が小さいガスを封入した複層ガラスを使用することで、空調に必要なエネルギーを減らすことができます。

他にもパッシブ技術には、精度の高い建築材や防湿シート、気密テープを使って住宅の隙間を小さくする気密技術や室内外の圧力差を利用して電力を消費せずに空気を循環させる自然換気などがあります。

住宅やオフィスでは空調に約50%の電力を使用している ため、エアコンやヒーター、扇風機に使用する電力を減らすのは非常に重要だといえるでしょう。

アクティブ技術

アクティブ技術とはエネルギーを無駄なく効率的に利用するための技術です。高効率照明として、LED照明の普及が進んでいます。

照明のエネルギー消費効率を示す指標、発光効率(lm/W)は年々向上しており、白熱灯照明が15 lm/W程度なのに対して、LED照明は100lm/W程度と約6.6倍。圧倒的に少ないエネルギーで、効率良く発光できます。

LEDは当初黄色にしか光らなかったのですが、日本の技術開発により白や青、赤など色の調整が可能になり、液晶テレビや信号機、電光掲示板など様々なデバイスに搭載されました。

現在では、タイムスケジュールによる点灯・照明制御、人感センサーによる自動調光・点灯・照明制御、明るさセンサーによる自動調光制御といった技術がLEDに取り入れられています。こまめな調光、消灯により更なるエネルギーの効率化を進めています。

他にもアクティブ技術には、温度と湿度を別々に調整する潜熱・顕熱分離方式空調システムなどの新たな空調技術や、発電所や送電網だけでなく家庭や工場などの電力消費地をネットワークで接続し、最新の電力技術とIT技術を駆使して効率良く電気を供給するスマートグリッドがあります。

創エネ技術

創エネ技術とはエネルギーを作るための技術です。再生可能エネルギーを使用したエネルギー創造技術を指します。

日本の再生可能エネルギー電力比率は2020年度で約21%です。日本では2030年までに36~38%することを目標として様々な技術開発が進められています。

中でも、太陽光の持つ光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電の開発が盛んです。日本は太陽光発電導入容量世界3位を誇り、太陽光発電に使用される「結晶シリコン系太陽電池」の性能は世界最高です。世界2位のドイツの電気変換効率が25.3%なのに対して、日本は26.6%と1.3%の効率化を達成しました。

今後創エネ技術が発展すると、エネルギー資源を輸入に頼らなくても自国の発電分だけで電力を賄える時代が来るかもしれません。

3.日本で省エネのために行われている取り組み

ここでは、日本で省エネのために行われている取り組みをみてみましょう。

家庭のZEH化の推進

省エネを実現するために、家庭のZEH化が進められています。

ZEHとはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称です。太陽光発電による電力創出・省エネルギー設備の導入・外皮の高断熱利用などにより、生活で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅のことを指します。

ZEH化した住宅は省エネに貢献できるだけでなく、住宅の資産価値が高い、光熱費が抑えられるといった特徴があります。

政府は、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能を確保する」ことを掲げており、年々増加傾向にあります。

企業の垣根を越えたコージェネレーションの実施

近年では、各企業間で連動して複数の事業者間で電気、ガス、水などのエネルギーを相互に利用するコージェネレーションの取り組みが進められています。

従来は設備をエネルギー効率の良いものに交換する、創エネ技術を取り入れるといった企業単独での省エネ活動が主でしたが、企業間で協力することで、より無駄のないエネルギー消費が実現できます。

企業間で連携した共同輸送の実施

近年では、企業間で連携して輸送を一元化することで、燃料消費やCO2排出量の低減に取り組む企業が増えています。

他にも、パートナーや取引先と連携して個別納品ではなく巡回して集荷する「ミルクラン方式」を採用し、輸送効率を向上させサプライチェーン全体で省エネを測る企業もみられます。

水資源の最大活用

生活用水は川や水場から自然水を汲み上げ、浄水し、ポンプを使って供給する必要があるため、エネルギー消費量が多くなります。

水資源を効率的に使用するために、雨水の活用や廃水のリサイクルなどに取り組む企業が増えています。また、廃水を浄化してきれいな水に戻してから排水することで、地域の水資源への影響を最小化するなど環境に配慮した取り組みも行われています。

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