電気自動車の充電時間は欠点ではない?
~走行コストや走行距離、将来性~
電気自動車の充電時間は、0の状態から満充電まで5時間以上かかるのが普通です。充電時間の長さを理由に電気自動車の購入を諦めるという方もいるのではないでしょうか。
しかし、電気自動車の充電時間の長さは、必ずしも欠点とは言い切れません。電気自動車ならではの良さを活かせれば、多くのメリットを受けることができるでしょう。
そこで今回は、電気自動車の充電にかかる時間や、走行コスト代と走行距離、将来性について解説します。電気自動車の購入を検討しているなら、ぜひチェックしてください。
1.電気自動車の充電時間は欠点ではない
一般的に、電気自動車の充電にはガソリン車の給油よりも時間がかかりますが、だからといってそれが電気自動車の「欠点」とは言い切れません。なぜなら、電気自動車とガソリン車にはそれぞれに合った使い方があり、単に充電と給油の時間だけを比較してもあまり意味がないからです。
電気自動車に合わせた乗り方ができれば快適に乗りこなすことができるでしょう。
例えば、ガソリン車を給油するには、ガソリンスタンドに出向いて給油する必要があります。一方の電気自動車は自宅で充電することができるので、出かける手間や時間が一切かかりません。自宅で過ごしている間に充電が完了するので、「待ち時間」という概念が無くなるのではないでしょうか。
通勤や買い物など日常的な移動では普通充電器を使った基礎充電、レジャーやドライブの訪問先では急速充電器を使った目的地充電、長距離移動の休憩場所では大出力急速充電器を使った立ち寄り充電といったように用途に合わせて充電方法を使い分けることもできます。
旅行など長距離移動が伴う時でも、運転の休憩時間を有効活用して充電すれば、時間を無駄に使う心配はありません。出先でタイミングを図って目的地充電し、場合によって大出力急速充電も併用すれば、より快適に乗りこなせます。
充電時間をうまく活用したいのであれば、あらかじめ充電器の設置場所を調べて、充電の計画を立てておくと良いでしょう 。
2.電気自動車の充電時間はどのくらい?
電気自動車の充電時間は、車種によって違いはありますが、自宅に設置するタイプの普通充電で8時間ほどが目安だとされています。最短でも5時間以上、遅くて10時間前後だと考えておくと良いでしょう。
電気自動車に充電できる電力量は「電力(電圧×電流)×時間」で求めることができます。例えば、200Vの電圧で30Aの電流が流せるのであれば電力は6kWとなり、1時間当たり6kWh充電できるという計算です。
一般的に自宅やホテル、商業施設などに設置されている普通充電の出力は3kWか6kW、高速道路のSAなどに設置される急速充電の出力は50kWのものが多いでしょう。近年では90kWや150kWの急速充電器も開発されています。
バッテリ容量60kWhの電気自動車を電池残量30%の状態から満充電する場合、「60kWh×70%=42kWh」の電力量が必要です。出力6kWの普通充電で100%の満充電とするためには、「42kWh÷6kW=7時間」かかる計算になります。
ただし、急速充電器を使用する場合、バッテリ容量や電池残量に関係なく充電時間が30分までに制限されるでしょう。
高出力の充電はバッテリに負荷がかかりやすいので、時間の制限があるのです。また、充電中はバッテリに負荷がかからないよう常に出力量が制御されているので、その時々の条件によって充電できる量が多少異なります。
3.電気自動車は「走行コスト」「走行距離」についても十分な性能
電気自動車は、充電時間だけでなく走行コストと走行距離の観点からも、十分な性能を備えています。それぞれについて詳しく見てみましょう。
走行コスト
電気自動車はガソリン車よりも走行コストを安く済ませられます。次世代自動車振興センターの試算では、100km走行した場合、ガソリン車は燃料代が約690円かかりますが、電気自動車なら自宅での充電で電気代が約310円とおよそ半分以下に抑えられる結果となりました。この計算であれば年間で約36,000円の節約になるそうです。
また、外出時などに充電スタンドを使って充電するためには、各メーカーが発行する月額制の会員証「充電認証カード」が必要になります。料金は以下の表を参考にしてください。
会 員 費 | |
入会金・登録料 | 約1,500円 |
月額費(普通充電) | 約500円~2500円 |
月額費(急速充電) | 約1,500円~5,000円 |
使 用 料 | |
普通充電 | 約70円~150円/1時間 |
急速充電 | 約250円~600円/30分 |
ただし、料金の詳細や細かなルールは運営会社によって異なります。あらかじめ確認してから入会先を検討しましょう。
走行距離
電気自動車が1回の充電で走れる距離は、250km~600km以上と車種によって大きな差があります。例えば、400万円程度で販売されている国産の電気自動車であれば40kWhのバッテリを搭載しており、一度の充電で約320km走行可能です。
毎日の通勤や通学、週末のレジャーなどで車を使用する方の月間走行距離が800kmほどであることを考えると、十分すぎる性能なのではないでしょうか。
また、電気自動車の走行距離はバッテリの開発が進むにつれて延びてきています。すでにバッテリの性能や容量には幅が出ているので、今後はユーザーが使用用途や距離に合わせて、自由に車種を選べるようになるでしょう。
4.将来的には大幅な充電時間の短縮も!
現状はフル充電に数時間かかる電気自動車ですが、将来的には5分もかからずに満充電できるようになるかもしれません。
実は、すでに250kWもの出力を持つ充電ステーションが開発されていています。現状では一握りのハイエンドEVでしか実現されていないものの、この設備を利用すると、一部のバッテリはわずか40分で0%の状態から満充電することが可能です。
今後バッテリの開発が進めば、ガソリンを入れるのと変わらないくらいの時間で電気自動車を充電できるようになるかもしれません。EV用バッテリの開発は各国で激化の一途を辿っており、今後の発展にさらなる期待ができそうです。
5.まとめ
電気自動車の充電は、車種にもよりますが、普通充電の場合で5~10時間ほどかかります。しかし、充電時間が必ずしも欠点になるとは限りません。
日常的な充電は自宅でできるので、ガソリンの給油と違って充電の待ち時間は必要なくなります。レジャーやドライブで長距離移動をする場合には、道の駅や高速道路のSAの経路充電や急速充電を活用することで不自由なく過ごせるでしょう。
また、電気自動車の走行コストはガソリン車の約半分ほどで済むため経済的です。ネックとされている走行距離も年々延びていて、毎日の通勤や週末のレジャーで使用するのには十分な性能といえるでしょう。充電ステーションやバッテリの開発によって充電時間が5分ほどに短縮される可能性もあり、将来性にも期待が持てます。