EV導入のメリット・デメリットとは?合わせて知りたい充電のこと

2022年5月掲載

近年、日本でも少しずつ普及してきたEV(電気自動車)。環境に優しいエコカーとして、気になっている方もいるでしょう。しかし、価格や充電などについてわからない点が多く、いざ購入を考えると躊躇してしまうという方も少なくないようです。そんな不安を払拭すべく、この記事ではEVの基礎知識をわかりやすく解説します。ガソリン車との違いから、メリット・デメリット、充電に関する知識まで、順を追って見ていきましょう。

【目次】

1.EVとは?ガソリン車・エコカーとの違い

日常会話などで「EV」と言えば、電気のみを使って走る自動車を指すことが一般的ですが、広い意味ではいくつか種類があります。まずは言葉の意味や、EVとガソリン車との違いなど、基本的なポイントを解説します。

EVとは?ガソリン車との違い
 EVとは「Electric Vehicle」の略で、「電気を使って走る車の総称」を指しています。従って、本来EVには、電気のみを使って走る車も電気以外の燃料を併用して走る車も、どちらも含まれます。これらを意識的に区別する場合には「BEV=電気のみを使って走る自動車」と呼びますが、この記事ではわかりやすく「EV」と表現します。
 ガソリン車が燃料に「化石燃料」を使い、「エンジン」を動力源として走行するのに対し、EVは燃料に「電気」を使い、「モータ」を動力源として走行します。電気のみによる走行中は二酸化炭素を排出しないため、“環境に優しいエコカー”として世界的に注目されています。また、二輪のEV(EVバイク)も存在します。

 他のエコカーとの違い
EVの他にも、燃料に電気を使って走行できる車(エコカー)は3種類あります。EVは燃料として電気のみを使用しますが、他のエコカーは電気以外の燃料も使用します。

  EV HV PHV CFV
燃料 電気 電気+ガソリン
※充電不要
電気+ガソリン
※充電可能
水素
  • HV(Hybrid Electric Vehicle)
    HVは「Hybrid Electric Vehicle」の略で、ハイブリッド自動車のことを指しています。 燃料に電気と化石燃料を使い、動力源としてエンジンとモータの2つを搭載しているエコカーです。エンジンとモータを効率的に使い分けたり組み合わせたりすることで低燃費を実現していますが、あくまで化石燃料からエネルギーを生み出しており、外部からの充電はできません。
  • PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)
    PHVは「Plug-in Hybrid Vehicle」の略で、プラグインハイブリッド自動車のことを指しています。これは簡単にいうと「外部電源からバッテリを充電できるHV」のこと。HVは外部電源からの充電ができませんが、PHVは自宅や充電スタンドといった外部電源からの充電が可能です。充電が切れると通常のHVとして走行します。
  • FCV(Fuel Cell Vehicle)
    FCVは「Fuel Cell Vehicle」の略で、燃料電池自動車のことを指しています。すなわち、水素と酸素で電気を発生させる「燃料電池」が搭載されたエコカーです。燃料電池で電気をつくってモータで駆動させるため、走行中に生み出されるのは電気と水のみ。EVと同様に、二酸化炭素を排出しません。

2.EVに乗るメリット

EVはガソリン車や他のエコカーと比較したとき、どのようなメリットがあるのでしょうか?具体的に5つ見ていきましょう。

  • 維持費が少ない
    EVはガソリン車と比べ、維持費を抑えられるといわれています。車の維持費として代表的なものが、燃料です。同じ走行距離のとき、ガソリン代より電気代のほうが一般的に安くなります。
    また、EVではガソリン車で必要なエンジンオイルが必要なく、ブレーキパッドなどの減りも少ないため、消耗品代やメンテナンス代も安く済みます。
  • 二酸化炭素の排出量を減らせる
    EVは走行中に二酸化炭素を排出しません。発電時や製造時には二酸化炭素を排出しているという指摘もありますが、発電に火力・太陽光・水力などの再生可能エネルギーを使うことによって、今後これらの問題は解消していくことができるでしょう。
  • 走行が静かでパワフル
    ガソリン車はエンジンを稼動させるため、振動や駆動音が発生します。一方、EVはバッテリとモータのみで走行するため振動が少なく、音も静かです。そのうえ、モータの特性上アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクを発揮できるので、快適な乗り心地でありながらパワフルな走行も可能となっています。
  •  非常電源として活用できる
    自然災害などで停電した時、EVは非常電源として活用できます。EVにフル充電したとしてどのくらい生活できるかは、車種や世帯数によって異なりますが、一人暮らしでは6~9日、4人世帯では3~4日が目安です。
    なお、EVに蓄えた電力を非常電源として使うには、車載コンセントや「V2H」(Vehicle to Home、自動車から家へ)と呼ばれるシステムが必要です。
  • 補助金・減税の適用になる
    EVを購入する際は、補助金・減税が適用されます。補助金・減税の種類はさまざまで、車種や自治体によって異なります。また国の補助金と自治体の補助金は重複して申請できるため、場合によっては定価より安く購入できることも。希望の車種がどんな補助金・減税の対象になるのか、購入前に調べておくとよいでしょう。

3.EVに乗るデメリット

たくさんのメリットがあげられるEVですが、一方でマイナスとなりえる要素も存在します。

  • 高価で選択肢が少ない
    現在発売されているEVの新車価格は、高級車種では~850万円程度、中には1,000万円を超える車種もあります。比較的低価格な車種でも400~500万円程度です。100万円台が主流となっているガソリン車に比べると、高価な買い物といえるでしょう。また、まだまだ車種も少ないため、見た目や乗り心地、乗用人数などをあまり自由には選べません。
  • 充電に時間がかかる
    家庭や充電スタンドの普通充電器でゼロからフル充電するためには、数時間もの時間が必要となります。例えば、40kWhのバッテリの場合、3kwの充電器では約16時間、6kwの充電器では約8時間かかります。ガソリン車であれば3~5分ほどで燃料を満タンにできることを考えると、差が大きく感じられるかもしれません。
  • 航続可能距離が短い
    EVの航続可能距離(搭載した燃料で航行できる距離)は、新品のバッテリをフル充電した場合で、およそ200~600km。ガソリン車のなかには1,500kmほど可能な車種もあるため、それに比べるとどうしても短くなります。メーカーの技術開発で改良されてきてはいるものの、長距離の移動には少し不安が残るかもしれません。
  • 保険料が高い
    車の保険には、①任意加入の「自動車保険(任意保険)」と、②法律で加入が義務づけられている「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」の2種類があります。
    ②は保険料が一律なので、EVもガソリン車も同額です。一方、①は車種やグレードによって金額が変わってきます。そのため、同じクラスのEVとガソリン車を比較した場合、車両価格の高いEVのほうが保険料も高くなる傾向があります。

4.本当にデメリット?EVの「充電」の基礎知識

EVに初めて乗る人が、よく懸念点としてあげる「充電」のこと。よくわからず不安になる方も多いのではないでしょうか?そこで、EVの充電についてもう少し深堀りして解説します。

  • 充電スタンドの数はガソリンスタンドとほぼ同じ
    ゼンリンの調べによると、2021年度末時点で、全国にある充電スタンドの数は29,233基。一方、経済産業省・資源エネルギー庁の調べによると、2020年度末時点のガソリンスタンドの数(フルサービス・セルフサービスを合わせた数)は、29,005基とされています。
    年度が1年違いますが、少なくともこの数年において両者の数はほぼ同じであることがわかります。このことから、充電スタンドの数が足りないといった心配はまずいらないといえるでしょう。
  • 充電器の設置費用は10万円から
    種類によってさまざまですが、自宅にEVの充電器を設置する際の費用は、最も安価なコンセントタイプで約10~20万円。これは充電器と工事費用を合わせた金額です。充電器の設置と聞くと「高額な費用がかかるのでは…?」と予想されるかもしれませんが、実はこうした手軽な金額でも設置できるのです。
  • 雨や雪が降っていても充電できる
    よほどの暴風雨や雷などでない限り、雨や雪の中でも充電は可能です。プラグや充電コネクターを濡らさないようにすることが基本ではありますが、感電・漏電のリスクが極めて低くなるよう、安全に設計されています。
  • 充電には「普通充電」「急速充電」の2種類がある
    先ほど、40kWhバッテリの場合、3kwの充電器では約16時間、6kwの充電器では約8時間かかると解説しましたが、これは「普通充電器」の場合です。ディーラーやサービスエリア等に設置されている「急速充電器」であれば、40分ほどでフル充電が可能となります。
    仮に遠出の際に充電が切れてしまった場合は急速充電器を使い、その間食事や買い物などをして過ごしていれば、あまり時間も気にならないはずです。

*当社でも「普通充電器」「急速充電」を製造・販売しています。各製品仕様については以下リンクよりご覧いただけます。

普通充電器

急速充電器

5.まとめ

電気のみで走る自動車、EVは二酸化炭素を排出しないエコカーです。ガソリンと比べて燃料代が安く、走行も静かでパワフルな走りができます。もしものときの非常電源としても活用可能です。ガソリン車と比べると高価ですが、補助金や減税制度をうまく利用すれば安価に購入できるケースもあります。

充電時間が長いのが気になるという方もいますが、急速充電であれば約40分で充足可能。10万円ほどで自宅にも充電設備を設置できるので、夜中に充電しておくこともできます。

EVのメリット・デメリットを踏まえた上で、今後車を買い替える際はEVの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

関連リンク

  • EV充電器の選び方

トップへ戻る