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脱炭素社会に必要な再生可能エネルギーとは? 新しい発電方法についても解説

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脱炭素社会を実現するには、再生可能エネルギーが不可欠です。現在主流の化石燃料は資源に限りがあり、発電時に二酸化炭素を多く排出します。一方で、再生可能エネルギーなら一度利用しても資源が枯渇せず再利用が可能で、発電時の二酸化炭素排出量を抑えられます。

再生可能エネルギーにはいくつか種類があり、そのポテンシャルは計り知れません。中には実用化されればエネルギー問題を全て解決するといわれているものもあるほどです。そこで今回は、脱炭素化のカギともいわれる再生可能エネルギーの種類や、メリットやデメリットについて詳しく解説します。

【目次】

1.脱炭素化するためには再生可能エネルギーが必要

近年、国際社会の注目を集めている「脱炭素」。そのカギを握るのは、再生可能エネルギーだといわれています。脱炭素とは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を森林管理などによる吸収量を差し引いて、実質的に0にしようとする試みです。脱炭素化を推進するのには2つの理由が挙げられます。

1つ目は地球温暖化による気候変動を回避するためです。化石燃料を燃やして得られるエネルギーは、多くの二酸化炭素を発生させるので地球温暖化の要因となります。

2つ目は石油や天然ガスなどの化学燃料に代わるエネルギーが必要なためです。長い年月をかけて作られる化石燃料には限りがあり、この調子で使用を続ければ後50年ほどで尽きるといわれています。

脱炭素には主にこの2つの目的があります。そこで、二酸化炭素を排出しない再生可能なエネルギー資源を確保する必要性が高まっているのです。

2.脱炭素化に向けて使用されている再生可能エネルギー

ここでは現在すでに使用されている主な再生可能エネルギーについて紹介します。

太陽光エネルギー

太陽光エネルギーとは太陽から地球に降り注ぐ光エネルギーのことです。太陽から地球に到達する光エネルギーは膨大で、このエネルギーを全て電気に変えることができれば、たった1時間の日射量で全人類が消費する1年間の電力を賄うことができるといわれています。

太陽光が持つエネルギーを使用して発電するのが太陽光発電です。太陽光発電は太陽の光さえ得られればどこでも発電できるため、既存の建物などに比較的簡単に設置できるでしょう。

しかし、太陽光発電で大量のエネルギーを得るには広大な土地が必要です。太陽光パネルの設置場所を確保するために森林伐採が行われるなど、環境問題との両立が課題となっています。

風力エネルギー

風力エネルギーとは自然界に存在する風の力のことです。風力エネルギーは風車のモーターを回して発電する風力発電に使用されます。風力発電は太陽光発電よりもさらに、二酸化炭素の排出量を抑えられるのが特徴です。

しかし、風向きや風速によって発電量が左右されるため安定した供給が難しい、陸上に設置する場合には広い土地が必要、風車を回す際に大きな音が出るため近隣への騒音に配慮しなければならないといった問題点もあります。海なら風力エネルギーが豊富で広大な面積を持ち、騒音も問題になりにくいため、これらの問題は、洋上風力発電が主流になれば解決できるのではないかと考えられています。

水力エネルギー

水力エネルギーとは川や滝などで水が流れる際に発生するエネルギーです。この水力エネルギーを利用して発電する方法を水力発電といいます。

水力発電は太陽光発電や風力発電のように発電量が天候に左右されない上に、エネルギー変換率が約80%と非常に高いのが特徴です。さらに、化石燃料による発電で発生する二酸化炭素の排出量を100とすると、水力発電の排出量は2.4となり、かなり抑えられます。

しかし、ダム式の水力発電の場合かなり高額な建設費用がかかる、建設時に広範囲の地域が水没する、建設地域に住んでいる人の移住が必要になるといったデメリットもあります。近年では、河川や上下水道、農業用水を活用した新たにダムを作る必要がない「小水力発電」の開発も注目されています。

バイオマスエネルギー

バイオマスエネルギーとは、動植物から作られる生物資源を燃焼させたり、ガス化させたりすることで発生するエネルギーです。

バイオマスエネルギーを使用したバイオマス発電では、生ごみや廃材といった廃棄物を資源として活用できるため、太陽光発電や風力発電よりも二酸化炭素排出量が抑えられるでしょう。

一方で、資源となる廃棄物の収集や運搬には二酸化炭素が発生し、管理にはコストもかかります。バイオ燃料を生産する耕地を確保するために、森林伐採が行われるといった問題も無視できません。

地熱エネルギー

地熱エネルギーとは、マグマによって熱された地下水の蒸気エネルギーのことです。このエネルギーを使って発電するのが「地熱発電」です。

地熱発電は天候に関わらず安定的な発電が可能で、蒸気を再利用することで、さらにエネルギー変換率を高めることができます。

一方で、地熱発電は地熱活動の活発な地域でしか実施できず、発電所を設置するには地殻の分析やリスクの検証が必要なので、発電所の稼働までに時間がかかるのがデメリットです。

原子力エネルギー

原子力エネルギーとはウラン燃料が核分裂したときに発生する熱エネルギーです。原子力エネルギーを使用した原子力発電ではエネルギー変換の際に二酸化炭素を排出しません。

ウラン燃料の製造や発電所の建設といった過程においては二酸化炭素を排出しますが、少ないエネルギーで大量の発電ができるため、発電量あたりの二酸化炭素排出量は少なくなるでしょう。

ただし、放射性物質は毒性が強く、事故が起きれば地球規模で多大な被害を及ぼす危険性があります。また、日本では放射性廃棄物の最終処分の場所や方法が決まっておらず、大きな課題となっています。

3.今後活躍が期待される再生可能エネルギー

ここでは、今後の技術の開発や実用化に期待が寄せられている、新たな再生可能エネルギーを紹介します。

水素エネルギー

水素発電で用いる水素エネルギーは、燃焼しても二酸化炭素を排出しません。水素エネルギーは、石炭やガスなどの化石燃料から取り出す「改質」や電力で水を「電解」する方法など、多様な資源から生成が可能です。また、液化することで輸送や貯蔵が簡単になるといったメリットもあります。

しかし現状は、生成や保存、輸送に手間やコストがかかること、資源によっては生成する際に二酸化炭素を排出することが課題です。例えば、化石燃料をベースとした「グレー水素」は、生成の際に二酸化炭素を排出するため、脱炭素にはふさわしくありません。

一方で、グレー水素と同じように化石燃料を使用するものの、化石燃料を二酸化炭素と水素に分解し生成する水素燃料は「ブルー水素」と呼ばれ、現在実用化に向けて開発が進められています。CO2回収・貯留(CCS)技術と組み合わせて活用することで、CO2を抑制できるでしょう。

また、水を電気分解し、水素と酸素に還元して生産する「グリーン水素」にも期待がよせられています。電気分解するにあたって電気が必要となりますが、そこで、風力や太陽光など再生可能エネルギーを利用すれば、温室効果ガスを生成することなく水素を生産することが可能です。

アンモニアエネルギー

アンモニアも水素と同じように、燃焼させても二酸化炭素を排出しない燃料です。アンモニアエネルギーを使った発電には既存の火力発電設備を使用でき、液化した際の貯蔵や運搬も簡単なので、比較的低コストで運用できます。

しかし、現在主流のアンモニア製造法である「ハーバー・ボッシュ法」は大量の二酸化炭素を排出する、発電時に酸性雨の原因となる窒素酸化物を排出する、といった問題もあり改善が必要な状況です。

海洋エネルギー

海洋環境によるエネルギーを資源とする発電方法には、いくつか種類があります。例えば、海の運動エネルギーを利用する「波力発電」や、海水の流れを利用する「潮力発電」、海の表層と深層の温度差を利用する「海洋温度差発電」などが挙げられるでしょう。

海洋エネルギーを使った発電方法は、小さな陸地に大きな海域を保有する日本にとっては、陸上発電以上にポテンシャルがあると期待が寄せられています。現状、海洋エネルギーの研究は発展途上です。しかし、活用の見通しが立てばエネルギー問題の全てを解決する可能性を持つとさえいわれています。

4.まとめ

脱炭素とは二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を、実質的に0にしようとする試みです。地球温暖化の進行と化石燃料の枯渇を食い止めるためには二酸化炭素の排出が少ない再生可能エネルギーの普及が必要となります。

すでに使用されている再生可能エネルギーには、太陽光エネルギーや風力エネルギー、バイオマスエネルギーなどがあり、二酸化炭素の排出量が少ないのが共通の特徴です。しかし、輸送や燃料生成の際に二酸化炭素を排出したり、設置場所確保のための森林伐採など環境問題に発展したりといった問題もあります。

また、今後活躍が期待される再生可能エネルギーには、水素エネルギーやアンモニアエネルギー、海洋エネルギーが挙げられます。これらの技術が発展すればエネルギー問題の解決に繋がるかもしれません。


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