用語解説 系統電圧上昇抑制とは

関連する質問

  • 発電所の稼働によって系統電圧が上昇する理由は?
  • 系統電圧上昇抑制機能はどのような機能か?
  • 系統電圧上昇抑制制御が頻繁に発生する場合の対処方法は?
  • 系統電圧上昇抑制に関する整定値の意味は?

概要

「系統電圧上昇抑制」機能は、系統電圧を適正範囲に保つ目的で、パワーコンディショナに搭載されている機能です。

電圧上昇抑制機能の役割

「系統電圧上昇抑制」機能は、系統電圧を適正範囲に保つ目的で、パワーコンディショナに搭載されている機能です。発電量が多くなるほど、パワーコンディショナの系統端子電圧が上昇するため、発電量を低下させることで系統電圧の上昇を防いでいます。

  • 詳細
    電気回路においては、抵抗に電流を流すことで、抵抗の両端に電圧差が発生します。そして実際の電気配線には、微小ながらも抵抗成分が存在します。これら抵抗成分の影響により、電流が流れる方向に電圧が低下していきます。系統電圧は電力会社により一定範囲内で維持管理されていますので、太陽光パネルの発電量が多くなるほど、系統側から見たときのパワーコンディショナの系統端子電圧は高くなっていきます。近隣施設で電力消費が少ない時期(春・秋・休祝日等)は、系統電圧上昇が発生しやすい傾向があります(※当社統計)。

パワコンの「系統電圧上昇抑制機能」はなぜ必要か

電圧上昇抑制機能には、系統電圧を法律で定められた適正範囲に保つ役割があります。系統出力端子電圧が「電圧上昇抑制動作レベル(整定値)」に達すると、系統電圧上昇抑制機能が作動します。パワーコンディショナの系統電圧上昇抑制機能には、「無効電力制御」と「有効電力制御」があります。無効電力制御は、発電量低下を防ぐ機能のひとつです。

  • 詳細 
    無効電力制御と有効電力制御は、それぞれ系統電圧上昇を抑制する効果が得られる機能です。無効電力制御はパワーコンディショナの出力電力を低下させずに系統電圧上昇を抑制する方式であるのに対し、有効電力制御はパワーコンディショナの出力電力を低下させることで系統電圧上昇を抑制する方式となっています。従い、有効電力制御が動作した場合のみ、発電量が低下することになります。
    系統電圧上昇抑制機能は、電力系統の電圧を適正範囲内に維持し、電気製品などの故障や寿命低下を防ぐために必要な機能です。系統電圧値が適正範囲内に戻ると自動的に制御が解除され、通常の発電状態に戻ります。
  • 法規
    発電設備等を低圧配電線に連系する場合においては,低圧需要家の電圧を標準電圧100Vに対しては101±6V,標準電圧200Vに対しては202±20V以内に維持する必要がある。(電気事業法第26条及び電気事業法施行規則第44条)

電圧上昇抑制の発生を軽減する方法

当社では、下記の方法をご案内しております。

  • パワコンの整定値変更
    系統電圧上昇抑制の検出レベルを高くすることで、機能動作の頻度を減らせる可能性があります。
    ただし、変更には電力会社の承諾が必要です。
  • 系統側配線・設備の見直し
    受電点からパワーコンディショナに至る配線経路のインピーダンス(抵抗成分)を低減することで、系統電圧の上昇を抑えられる可能性があります。
  • 動作待機機能を有効にする
    200秒以内の系統電圧上昇であれば、パワーコンディショナの出力が抑制されることを回避することができます。

新電元工業の太陽光パワーコンディショナに関連するさまざまな用語について解説しています。

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