系統電圧上昇抑制 動作待機機能

当社の太陽光パワーコンディショナに、「系統電圧上昇抑制動作待機機能」が加わりました。パワーコンディショナが接続される電力系統の電圧を適正範囲に維持しつつ、安定した発電出力を実現することができます。当社が独自に行った効果実証により、本機能が発電量の減損防止に寄与することが確認されました。

開発背景

電力系統に接続される発電設備は、交流電圧が適正範囲に維持されるように発電出力を行う必要があります。発電所の出力電力が多くなるほど交流電圧が上昇してしまうため、交流電圧が規定レベルに達すると、発電出力を抑制させるしかありません。この抑制動作は、系統連系規程にて搭載が義務化されており、一般的に「電圧上昇抑制」機能と呼ばれています。

太陽光発電の出力を抑制させる「電圧上昇抑制」は、発電事業者の売電損失や、再生可能エネルギーの導入拡大を阻む要因として、課題となっていました。

このような背景を受け、2013年から業界団体であるJEMA・電事連にて、動作時限の標準化の検討が開始されました。そして、2016年に系統連系規程が改訂され、「電圧上昇抑制」機能に動作時限を持たせてもよいことが盛り込まれました。

当社は、新しい規定に対応する「電圧上昇抑制 動作待機」機能をいち早く市場投入中の製品に搭載することを決定し、技術開発および効果実証を進めて参りました。

電圧上昇抑制機能の動作時限の標準化に至る経緯

  • 動作時限の標準化は、2013年からJEMA・電事連で検討が開始されました。
  • 2016年版の系統連系規程で、電圧上昇抑制機能に動作時限を持たせてもよいことが盛り込まれました。
  • 2017年版のJET試験方法で、電圧上昇抑制機能の動作時限を200秒とすることが盛り込まれました。
  • 動作時限の「200秒」は、電事連の調査結果から、配電系統の電圧調整装置の中で動作時限が最も長いSVRの動作時限より決定されました。(SVR:Step Voltage Regulator)

系統電圧が上昇する原理

電気回路の抵抗に電流を流すと、抵抗の両端に電圧が発生します。同じように、太陽光発電所から電力系統に向かって電流を流すと、送配電線の抵抗成分に電圧が発生し、太陽光発電所側の電圧が上昇することになります。

この原理の詳細については、ご説明資料を用意しておりますので、合わせてご参照ください。

発電出力をなるべく低下させない技術

「電圧上昇抑制」機能には、系統電圧を法律で定められた適正範囲に保ち、電気製品などを故障や寿命低下から守る役割があります。パワーコンディショナに接続される交流電圧が指定レベルに達すると、発電電力を低下させる動作を行います。

当社のパワーコンディショナは、2010年に販売開始した第一号製品から、発電出力を低下しにくくする先行技術「電圧上昇抑制 無効電力制御」機能を搭載しています。電力系統から引き込む電流を増やすことにより、交流電圧の上昇を一部打ち消す効果があります。

しかしながら、2012年に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT法)が施行されて以来、太陽光発電の導入が年々拡大し、「電圧上昇抑制」機能が作動する機会が増えてきました。特に、近隣施設で電力消費が少ない春・秋・休祝日などは、系統電圧上昇が発生しやすい傾向があります(※当社統計)。

「電圧上昇抑制 動作待機」機能の開発と実証

2018年、当社の太陽光パワーコンディショナに「電圧上昇抑制 動作待機」機能が加わりました。本機能の搭載により、交流電圧の上昇が200秒以内であれば、発電出力の低下をなるべくさせないということが可能になりました。

設定項目 電圧上昇抑制 待機時間
設定範囲 0秒 / 200秒(初期値)
補足
  1. 系統連系規程(2016年版)の改訂に伴い追加された機能です。
  2. 待機時間の設定は、本体のLCD操作パネルにて設定可能です。
  3. 本機能が無い機種の動作は、待機時間0秒設定に相当します。

「電圧上昇抑制 動作待機」機能を搭載した製品の発電出力を従来製品と比較すると、交流電圧の上昇に対する発電出力低下の開始時期を大幅に遅らせることができていることがわかります。

  • 電圧上昇抑制のイメージ

効果実証

次のグラフは、一日あたりの電圧上昇抑制の発生回数を示しています。赤色のデータが発生回数です。多い日では30回以上発生していた電圧上昇抑制が、「動作待機機能」の導入後には発生回数が10回未満に減少したことが分かります。

  • 発生回数の減少が見られた例 (縦軸が発生回数)

次のグラフは、一日あたりの電圧上昇抑制が発生したトータル時間を示しています。赤色のデータが発生時間です。多い日では4時間以上発生していた電圧上昇抑制が、「動作待機機能」の導入後には発生時間が1時間未満に減少したことが分かります。

  • 発生時間の減少が見られた例 (縦軸が発生時間)
  • 本データは、実在する発電所における検証結果です。データは一例であり、全ての発電所で本データに相当する効果を保証するものではありません。

太陽光発電の導入拡大に貢献します

当社は今後も、再生可能エネルギーである太陽光エネルギーの電源活用の拡大に向けて、先進技術を取り入れた製品開発に尽力して参ります。

「電圧上昇抑制 動作待機」機能の搭載製品

太陽光発電用パワーコンディショナ「SOLGRID」

 

  • PVS012T200B (12.375kW)
  • PVS010T200B (10kW)
  • PVS9R9T200B (9.9kW)

 (JET認証取得済み)


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