電装製品の製造拠点
電装事業の海外拠点は、主に大きな二輪車市場のあるアセアンやインドに進出して現地で生産・販売をしています。
岡部新電元(埼玉県深谷市)が電装事業のマザー工場の役割を果たしており、アセアン、中国およびインドの海外拠点への生産技術、設備技術、および製造の指導を行っています。くわえて、各拠点間では生産を補完し合うBCP体制を構築しているほか、定期的に拠点間の交流の場を設け、情報共有による生産性の向上に取り組んでいます。
また、各海外拠点では、主に構造部材の現地調達を行い、生産リードタイムの短縮を図るなど、臨機応変な生産対応も進めています。
新電元インディア
所在地(Head office) |
Plot No.283/2, Bommasandra-Jigani Link Road, Jigani Industrial |
設立 |
2012年8月 |
敷地面積 |
20,000平方メートル |
主な生産品目 |
レギュレータ、ECU |
新電元インディア(SIP)は2012年に設立しました。インドでは2001年より現地企業との合弁にて生産販売を行ってきましたが、市場の拡大に伴い独資の生産工場を立ち上げました。インドの二輪車市場は、2010年には1080万台、2017年には2000万台を超え、人口14億人の国の重要な交通手段として生活を支えています。
SIPは主に二輪車向けにレギュレータやECU(Engine Control Unit)を製造しています。2018年には拡大する二輪車需要に対応するため、工場を当初に比べて2.5倍拡大し、排ガス規制BS6(バラート・ステージ6)に対応したECUの生産を開始しました。2023年からPCU(Power Control Unit)DU012を電動バイク向けに生産スタートし、インドの環境対策に貢献する製品を提供しています。
SIPはグループ海外生産拠点の中で最も成長を見せている拠点です。
新電元インドネシア
所在地 |
Kawasan Greenland International Industrial Center(GIIC), |
設立 |
2001年11月 |
敷地面積 |
35,258平方メートル |
主な生産品目 |
電装二輪製品 |
新電元インドネシア(SDI)は、2000年代に入り東南アジアにおける二輪車販売数が伸長するなか、2001年に設立しました。
2004年に300万台を突破した同国の二輪車市場は2011年に800万台に到達。拡大する需要に対応するために2016年には新工場へ移転しました。
始動用モータ駆動回路とバッテリ充電用回路を一つに統合したシステム制御をつかさどるACGスタータECUは、2004年に排出ガス削減のためFI制御の機能が追加され、電装事業の主力製品へと成長していきました。現在も東南アジアを中心に年間500万台以上のECUを生産し、SDIはそのうち6割を生産する重要拠点の一つです。
社内にイスラム教の礼拝堂を備えるなど現地に根差した活動を拡げています。
新電元タイランド
所在地 |
60/58 Moo 19 Soi Nava Nakorn 13 Klongnueng, |
設立 |
1987年12月 |
敷地面積 |
23,520平方メートル |
主な生産品目 |
電装二輪、四輪、汎用製品 |
新電元タイランド(SDT)は、1987年に当社グループとして初めて海外生産を開始した拠点です。設立当初は、半導体の製造を行っていましたが、拡大するタイ国の二輪車需要にあわせて1988年からは、電装製品の製造も開始しました。
2011年にタイ国で発生した大洪水では、SDTも床上浸水の被害を受け、国内外で代替生産対応を行いました。これをきっかけに当社では全社で各拠点の生産状況を把握できるシステムを導入し、非常時に迅速な対応が出来る体制を構築するなどBCP対策強化を図りました。
現在では二輪車をはじめ自動車や発電機用の電装製品専用工場として製造を行うほか、技術部門も設置し、アセアン各国の二輪車ニーズに対応する開発体制も構築するなど、当社グループのアセアン拠点を先導する役割を果たしています。
新電元ベトナム
所在地 |
Plot No. D-4 Thang Long Industrial ParkII, Lieu Xa commune, Yen My District Hung Yen Province, Vietnam |
設立 |
2010年9月 |
敷地面積 |
30,800平方メートル |
主な生産品目 |
電装二輪製品 |
新電元ベトナム(SDV)は、電装製品の海外生産工場としては4拠点目として2010年に設立しました。
設立翌年の2011年に発生したタイ国での大規模洪水の際には、床上浸水の被害を受けた新電元タイランドの代替工場として、稼働から1年に満たないSDVが重要な役割を担いました。
また2014年からは当社海外グループとしては初めて、四輪向け電装製品の製造を開始。二輪とは異なる生産・品質体制を海外において構築し、その他の海外拠点における四輪向け生産の礎となりました。
またベトナム労働組合から労働者に良好な職場環境や福利厚生を提供する優良企業として2021年度表彰を受けるなど、働きやすい環境整備にも努めています。
広州新電元
所在地 |
中国広州経済技術開発区永和経済区新庄二路83号 |
設立 |
1994年6月 |
敷地面積 |
24,815平方メートル |
主な生産品目 |
電装二輪製品 |
中国は1992年、計画経済から社会主義市場経済に路線を修正、規制緩和・地域開放により外資誘致が加速するなか、当社グループでは1994年、上海に引き続き広東省の広州市に広州新電元を設立しました。当初は現地企業との合弁でスタートしましたが2001年に独資となりました。
中国各地の二輪車メーカーへ部品供給を行いながら、2000年代後半からは電装品に実装する自社開発のパワー半導体へ追加の加工を施し、アセアン各拠点へ出荷するなど、中国ローカル向けに留まらない生産対応にシフトしています。
岡部新電元
所在地 |
埼玉県深谷市本郷342-1 |
設立 |
1985年7月 |
敷地面積 |
54,576平方メートル |
主な生産品目 |
電装二輪、四輪汎用製品 |
1985年の設立当初は、二輪向け電装品や電源部品、ソレノイドなど多岐にわたる製品を製造していた岡部新電元。現在は新電元グループの売上の過半を占める電装事業の中核拠点として、環境対応車向けDC/DCコンバータなどの生産を行っています。
また開発品から試作・量産化へとステップアップさせるプロセスで培った生産技術を蓄積し、二輪向け製品を量産・現地販売するアセアン、中国およびインドの海外拠点への生産技術、設備技術および品質管理の指導を行うなど、電装事業のマザー工場の役割を果たしています。
デバイス製品製造拠点
デバイス事業では、主に前工程を国内、後工程を国内外のグループ会社で担っており、自社グループでの一貫した生産体制を構築しています。IoTを活用した生産管理体制を導入し、国内外それぞれの生産データを収集、及び、設備稼働状況を管理することで、設備故障を未然に予防したり、同一ラインで多品種を効率的に生産するなどしています。
2005年にVQ(Vehicle Quality)推進プロジェクトを発足して以来、車載市場の品質要求に応える製造ラインの構築と、設計および製造品質の向上に取組んでいます。その成果は車載メーカーから高く評価され、表彰を受けるなどの形であらわれ、顧客との信頼関係の強化へ繋がっています。その結果として、現在では車載向け半導体がデバイス事業の約4割を占めています。
ランプーン新電元
所在地 |
Northern Region Industrial Estate(I-EA-T Free Zone) |
設立 |
1991年3月 |
敷地面積 |
37,007平方メートル |
主な生産品目 |
半導体製品 |
ランプーン新電元(LSD)は、半導体の海外生産の拡大のため、SDTの半導体生産を引き継ぎ、タイ北部チェンマイ近郊に1991年に設立しました。
1995年4月に1ドル=79.25円を記録するなど1990年代前半、円高への対応が課題となっていました。半導体製品の海外輸出比率も3割を超え始めるなかで、海外生産の拡大に向け、LSDの重要性は高まっていきました。
2018年よりパワーモジュールの生産を開始しました。車載向けや産機向けなどでパワーモジュールのニーズが高まるなか、当社製品のコスト競争力強化にも寄与しています。
新電元フィリピン
所在地 |
120 Excellence Avenue Cor. Quality Drive Carmelray, Industrial Park 1, |
設立 |
1995年3月 |
敷地面積 |
28,351平方メートル |
主な生産品目 |
半導体製品 |
1990年代前半は、1995年4月に1ドル=79.25円を記録するなど円高への対応が課題となっていたほか、当社グループにおける半導体製品の海外輸出比率も3割を超え始めるなか、海外展開強化の方針「海外販売2倍、海外生産3倍」を打ち出しました。これをうけ、新電元フィリピン(SDP)は、半導体の製造を委託していた同国関連会社の従業員とノウハウを引き継ぐ形で1995年に設立しました。
主に当社の主力製品であるダイオードの後工程を担い、コスト競争力と高品質を両立し、重要な役割を果たしています。
また毎年「FUN RUN」を主催し、参加者の走行距離に応じた金額で、近隣学校へ寄付を行ったり、地元カーメルレイ地区主催の植樹活動に参加するなど、地域とのコミュニティ活動にも力を入れています。
秋田新電元
所在地 |
秋田県由利本荘市大浦字上谷地 114-2 (大浦工場) |
設立 |
1970年7月 |
敷地面積 |
106,800平方メートル(大浦・飛鳥工場合計) |
主な生産品目 |
半導体製品 |
1970年、秋田県本荘市(現:由利本荘市)に誕生した秋田新電元は半導体の需要増に対応して1991年に大浦工場を第5棟まで増築、1996年、99年と前工程を担う飛鳥工場を2棟立ち上げました。後工程は90年代から海外で拡大していくことになります。
また製造にとどまらず開発機能も有し、現場目線のモノづくりに適した開発を展開しています。
2005年に発足したVQ(Vehicle Quality)推進プロジェクトでは、それまでの民生市場向けのモノづくりから、車載市場の要求に応える製造ラインの見直しと、設計および製造品質の向上に取組みました。その成果は車載メーカーから表彰を受けるなどの形であらわれ、現在では車載向け半導体の主力生産拠点となっています。
東根新電元
所在地 |
山形県東根市大字東根甲 5600-1 |
設立 |
1981年7月 |
敷地面積 |
66,000平方メートル |
主な生産品目 |
半導体製品 |
東根新電元は山形県東根市に1981年に設立、2005年に第4棟までクリーンルームを拡充し、MOSFETなどの半導体前工程を担うほかIC製品やパワーモジュールの製造などを行っています。
2011年3月の東日本大震災の際には東根市でも震度5弱を観測、東根新電元も3日間停電となりクリーンルームの空調が停止するなど大きな被害を受けました。この経験を生かしてグループ全体のBCPを刷新しました。
1999年TPM優秀賞第1類授賞、2008年TS16949認証取得、2018年IATF16949認証取得と品質管理技術を磨いて、車載向け製品を拡大してきています。
エネルギーシステム製品製造拠点
新電元スリーイー
所在地 |
埼玉県飯能市大字芦苅場3-1 |
設立 |
1991年7月 |
敷地面積 |
33,939平方メートル |
主な生産品目 |
電源製品、EV充電器 |
新電元スリーイーは、当社電源製品の生産を委託していた三興電気㈱の株式を取得する形で1991年に設立、1992年に現在の社名となりました。
2001年に同じく生産委託先の新和電機㈱を合併、2002年に現在の芦苅場工場へ移転、2004年に当社電源製品の生産を担うグループ会社の㈱山形新電元、コマ電子工業㈱を合併するなど、事業運営の効率化を図ってきています。
高効率の通信向け整流装置を生産するほか、近年では太陽光発電用パワーコンディショナやEV急速充電器・普通充電器を手掛けるなど、小型・高効率電源技術を活かして、地球温暖化対策や再生可能エネルギーの有効活用に寄与する製品を提供しています。