新電元の歴史

1949年以前

新電元の前身は、1935 年に創設された電気炉メーカー、電元社まで遡ります。同社は電気炉に加えセレン整流器の生産を手がけるようになりましたが、太平洋戦争での軍需拡大に対応するため、セレン整流器の専業メーカーとして1944年に電元工業株式会社を設立しました。
終戦後、電元工業は時代の波に呑まれ、工場閉鎖期間を挟みながらもセレン整流体の製造を再開しました。その後、官民の需要に対応する整流素子、直流電源を製造した後に、超短波による蚕糸処理法を開発するなど民需転換を進めました。しかし、合成繊維の登場により生糸の需要は落ち込み、従業員数1,308 名を超える電元工業は1949年には倒産状態に陥り、経営再建を余儀なくされました。
そして、1949年に整流器部門を継承する形で新電元工業株式会社が設立されました。資本金は500万円、電元工業から465名の従業員が移る形でスタートを切ることとなりました。

1949~1979年

シリコンダイオードの誕生

当社の主力半導体

当社は設立当時、セレンを使った整流器を主な事業としていたため、その後にゲルマニウムやシリコンを使った半導体が開発されると、その技術を整流用途向けに応用するようになり、商品を世に送り出してきました。
1952年に合金型ゲルマニウムトランジスタが登場すると、当社は1957年に合金型整流用ゲルマニウムトランジスタを完成させました。また、1957年にシリコンサイリスタが発表されると、1960年には当社でもサイリスタの試作品を完成させ、翌年の1961年には16A/400V品を販売開始するなど、パワー半導体の研究開発を先行してきました。
現在では、MOSFETやIGBTなどの個別半導体のほか、モノリシック IC、ハイブリッド IC、パワーモジュールなど、パワー半導体関連製品の品数を増やしています。

電話局用セレン整流装置納入開始

特許を取得したセレン整流素子の短絡防止処理の発明により、当社が開発する素子の信頼性は格段に向上し、事業拡大に寄与しました。1952年、電信電話事業が日本電信電話公社(現・NTT)へ移管されると、国内で電信電話設置の動きが加速しました。これを機に、1955年に浜町電話局へ「A-3000-1号セレン整流装置」の納入を果たしました。セレン整流装置が電話局用電源としての地位を固める発端であり、現在まで続く通信向け電源装置事業の礎となっています。

1950年代に開発したセレン整流器

Column ガラスパッシベーション技術の誕生

半導体のパッシベーションとは塵、湿気、イオンなどの外部環境から半導体素子を保護するとともに、製品の特性や信頼性を左右する極めて重要な膜のことです。当社は古くからこの部分にガラスを使うことで、製品の品質向上と長寿命化を実現してきました。たとえば、当社の海外進出は比較的早く、1976年にはフィリピンで稼働する組立工場へチップを送る必要がありました。長時間の輸送にも耐えうる耐久性を保持するために、チップを高品質のガラスで覆うことで化学的、機械的な影響を受けにくくし事業の成長を支えました。現在このガラスパッシベーション技術は半導体製品だけでなく、当社の電装製品などにも採用されています。当社ではデバイスの高性能化と高品質化のため、引き続きガラスパッシベーション技術の改良に取り組んでいます。

1980~1999年

海外へ進出

1990年代にはいると、日本国内での事業にとどまらず、アセアンでの二輪市場の拡大のほか、デバイス事業でも輸出比率が高まり、積極的に海外進出を展開しました。
新電元タイランド(SDT)は、当社グループとして初めて海外生産を開始した拠点として1988年に立ち上げました。設立当初は、半導体の製造を行っていましたが、拡大するタイ国の二輪車需要にあわせて電装製品の製造も開始し、アセアンの中核拠点へ成長を遂げました。またランプーン新電元(LSD)は、半導体の海外生産の拡大のため、SDTの半導体生産を引き継ぎ、タイ北部チェンマイ近郊に1991年に設立しました。
1995年4月、1ドル=79.25円を記録するなど1990年代前半は、円高への対応が課題となっていました。半導体製品の海外輸出比率も3割を超え始めるなかで、海外生産の拡大に向けLSDや、1995年に設立した新電元フィリピン(SDP)は海外展開の強化を担う拠点として、重要性が高まっていきました。

SDT(上段)とLSD(下段)

製品ラインナップを拡充した半導体

1979 年9月、IC や MOSFET の研究開発を推進するため研究開発部を設け、1982年、当社電装品および電源に搭載する「モノリシック IC」を完成させました。また、1988年には「500V MOSFET」や「モーションドライバ IC(MTA、MTB シリーズ)」も商品化しました。この頃ダイオード分野では、SIP(Single In-line Package)構造や交直分離構造などの技術を取り入れたブリッジダイオードも開発するなど、多様化する半導体ニーズに応える形で、事業を拡大していきました。

電装事業の主力製品登場

二輪車向けECU

1983年にランプ電圧とバッテリー電圧を制御するレギュレータを開発すると、その後、二輪車における世界シェアの80%*を獲得するなど、レギュレータは電装事業の大きな柱に成長していきました。
1979年には、CDI(Capacitor Discharge Igniter)の基礎を確立し小型バイク用CDIが量産をスタートしました。更に1986年にはコンバータ内蔵型CDIも登場。二輪車用CDIは、始動性の向上などにより当社製品の優位性を不動のものにしました。
2000年代にはいると、排出ガス削減のため二輪車にFI制御の機能が追加され、始動モータ制御・充電制御・点火/噴射制御を1つのユニットで行い、アイドリングストップ・低排ガス・低燃費を実現するECUを開発し、生産を開始しました。レギュレータやCDIに変わる新たな主力製品に育っていきました。
これらの主力製品がけん引する形で、タイ、ベトナム、インドネシアなどアセアンの二輪車市場の拡大とともに、当社の電装事業も大きく飛躍を遂げることになりました。
*当社調べ。

2000~2020年

太陽光発電パワーコンディショナの急拡大

太陽光発電パワーコンディショナ

地球温暖化対策やエネルギー資源枯渇問題がクローズアップされるなか、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度(FIT)が日本でも導入され、再生可能エネルギーの普及が促進されました。当社では2011年、家庭用蓄電システム向け双方向 2kWインバータユニットを開発。同年、高周波絶縁型PCS(パワーコンディショナ)を開発して再生エネルギー市場に参入しました。産業向けPCS市場でトップクラスのシェアを占め、売り上げを伸ばしました。

付加価値のある製品開発を強化

2000年代はITバブル崩壊やリーマンショックなど、当社の事業環境を揺るがす出来事がおこりました。これらをきっかけに、これまで当社の主力であった民生向け半導体から信頼性が求められる車載向けに注力分野をシフトし、設計から製造まで品質向上に向けた取組みを強化しました。その結果、現在ではデバイス事業の売上のうち車載向けが4割を占めるまで成長し、事業の核となっています。また、機器の小型化・高機能化に伴いモジュール化のニーズが高まるなか、パワーモジュールの独立部署を2012年に設立。当社が培ってきた回路技術、実装技術を融合した製品は、単独で販売するだけにとどまらず、自社の電装製品や電源製品にも搭載され、それぞれの成長ドライバとして、事業を支え続けています。
また電装製品では、ソフトウエアを組み込んだ製品ラインナップも拡充し、HEVやFCV向けに高効率の降圧DC/DCコンバータを開発したほか、二輪向けにアイドリングSTOP対応のECUを開発しアセアン各地で量産するなど、環境配慮型製品が活躍の場を広げています。そのほかにも、通信市場で長年培ってきた整流器の高信頼技術をベースに、高効率・低ノイズを実現した EV用50kW急速充電器を2011年に開発。以来、最大出力150kW品まで製品開発を進めるなど、国内のEV充電インフラ市場と共に成長を続けています。

パワーモジュール(左)とEV急速充電器(右)

新電元ロゴ・コーポレートブランド刷新

ダイオードをモチーフとした以前のロゴ(左)
刷新した新たな新電元ロゴ(右)

2017年7月1日、1951年 9月に商標登録して以来、長く親しまれてきたダイオードをモチーフとしたロゴマークから、ブランドロゴを刷新しました。

新コーポレートブランドの構築にあたっては、新電元「らしさ」とは何かを改めて考え、これまでの理念体系である経営理念、企業ミッションや行動指針に加えて、それを達成するための私たちの約束「声を聞き、先を読み、価値ある未来を創る」、ブランドステートメント「New power. Your power.」)を新理念体系として設定しました。

朝霞事業所の開業

埼玉県の飯能工場は、当社グループの中核拠点として、長きにわたり研究開発機能および事業運営機能を担ってきました。
しかし、70年が経過し建物の老朽化が否めず、同じ埼玉県の朝霞市に新たな事業所を建設することとしました。「機能集約と生産性向上」「環境先進」 「快適性と働きやすさ」「安全と安心」の 4 つをコンセプトのもと誕生した朝霞事業所。大手町本社・飯能工場の機能集約、事業別建屋の統合などにより、新しい時代に即した製品を生み出して社会に貢献していくことを目指し、当社は新たなステップへ踏み出し未来を切り拓いていきます。

朝霞事業所

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