• TOP
  • ビジネスコラム
  • 日本の電気自動車の普及率は低い?
    都道府県・海外のデータに触れつつ解説

日本の電気自動車の普及率は低い?
都道府県・海外のデータに触れつつ解説

  • column_vol24

政府が「2035年までに乗用車の新車販売をすべて『電動車』とする」方針を固めた2021年以降 、これから電気自動車へのシフトが本格化するものと考えている人は多いかもしれません。しかし、EV車がどのくらい日本・海外で普及しているのか、実際のところ数字についてはよく分からないという声も聞かれます。

一口に普及率といっても、どのデータを参照するのかによって、具体的な数値は変わってきます。

この記事では、日本国内における電気自動車の普及率について、都道府県や海外のデータに触れつつ解説します。

【目次】

1.日本国内における電気自動車の普及率

日本国内における電気自動車の普及率をチェックするには、各団体が提供している統計データを紐解く必要があります。以下、普通自動車・軽自動車それぞれの普及率について解説します。

普通自動車の普及率

一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)では、乗用車の燃料別に統計データ「燃料別販売台数」を公表しています。

2023年5月の燃料別販売台数の数値を見ると、PHVの販売台数は3,569台で、全販売台数(179,804台)における構成比は2%です。EVに関しては、販売台数が3,280台、構成比は全販売台数の1.8%で、PHVと合わせて3.8%となっています。

5年前の2019年5月における数値を見ると、PHVの販売台数は1,180台、全販売台数(212,636台)における構成比は0.6%です。EVは販売台数が1,184台、構成比は全販売台数の0.6%、PHVと合わせた割合は1.2%にとどまります。

データを比較すると、5年間でPHV・EVの販売台数は約3倍となっており、日本においても電気自動車の普及は年々進んでいることが分かります。

 

軽自動車の普及率

軽自動車の販売台数等は、一般社団法人 全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の統計データ「軽四輪車通称名別新車販売速報」から確認できます。

2023年4月の軽四輪車通称名別新車販売速報の数値を見ると、各社で販売されている軽自動車のうち、EVの販売台数は2,964台です。同年当月の新車販売台数129,596台における構成比は、約2%となっています。

パーソナルユースの軽EVが本格的に発売されたのは2022年からで、普通自動車と比較して台数こそ少ないものの、軽自動車は日本で人気の規格です。今後、自動車メーカーが新EVの市場投入に注力した場合、軽EVは日本の電気自動車普及に大きく貢献するものと推察されます。

2.都道府県における電気自動車の普及率

国内での普及が進む電気自動車ですが、都道府県によって地域差が見られます。自治体側が普及に積極的かどうかも、消費者のEV・PHV等の購入意欲を左右するでしょう。

以下、都道府県別の電気自動車の普及率や、自治体のEV普及促進に向けた取り組みについて解説します。

電気自動車の普及率(都道府県)

一般社団法人 次世代自動車振興センターの統計「都道府県別 補助金交付台数」によると、2009~2021年までのEVの補助金交付台数は、全国の台数163,656台のうち、東京都の14,832台が最多となっています。次に神奈川県の14,416台、愛知県の13,137台、大阪府の9,039台と続きます。

PHVになると順位が変わり、愛知県の15,537台が最多で、その後は東京都の14,167台、神奈川県の7,408台、埼玉県の7,058台と続きます。補助金交付台数を見る限り、EV・PHVは主に都市部で普及していることが分かります。

しかし、一般財団法人 自動車検査登録情報協会の統計「自家用乗用車の世帯当たり普及台数」を見ると、2021年における自家用乗用車の世帯当たりの普及台数に関しては、東京都が最下位の0.422台です。これに対して、世帯当たり普及台数が最も多いのは、福井県で1.715台となっています。

日本経済新聞は2022年1月、人口1万人あたりのEV等の普及状況について、上位3県につき岐阜県の34.8台、愛知県の31.3台、福島県の30.7台と報じています(※)。
※参考:日本経済新聞「EVシフト、地方が先行 岐阜・愛知は東京の2倍普及」人口1万人あたり普及状況https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79465320S2A120C2MM8000/

これらの数値を見る限り、電気自動車の台数自体は都市部の方が多いものの、都道府県の人口当たりで見る電気自動車の普及率に関しては、地方の方が高い傾向にあるといえるでしょう。

自治体のEV普及促進に向けた取り組み

経済産業省では、自治体のインフラ整備やEV・PHVの積極的な採用を呼び掛ける「EV・PHVタウン構想」を提唱しています。自治体の中には、EV・PHVの普及に先進的に取り組んでいる「EV・PHVタウン」もあり、EV・PHVタウンでは本格普及に向けた実証実験も行われています。

一例として、青森県では寒冷地域でのEV普及に向けて、ガソリン車をEVに改造するコンバートEV開発が行われています。また、走行時に排出ガスを出さない「ゼロエミッション自動車」の購入等について、事業者向け補助制度を設けている自治体もあります。

国や自治体のサポートが広範にわたれば、それだけ電気自動車の普及がスピーディーになるものと期待されます。

3.海外の電気自動車の普及率

海外に目を向けると、日本よりも電気自動車が普及している国は珍しくありません。電気自動車の普及が進む国・地域の一例として、アメリカ、ヨーロッパ、中国の普及率を見ていきましょう。

アメリカの電気自動車普及率について

JERTOのビジネス短信によると、米国における2022年第2四半期(2022年7月11日時点)のEVとFCVの合計シェアは6.6%で、2030年までに米国で販売される自動車の52%が電気自動車(EV)になるという予測も報じられています(※)。
※参考:JETROビジネス短信「米国のEVシェアは2030年までに50%超と予測、インフレ削減法の効果に期待、米メディア報告書」https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/09/5c0986fa2a9a53ff.html

また、電気自動車メディアのINSIDEEVsは、アメリカで2023年1月に新規登録された124万台の乗用車のうち、およそ87,708台(7.1%)が完全電気自動車と報じています(※)。
※参考:INSIDEEVs「US: All-Electric Car Sales Surged In January 2023 - 7% Market Share」
https://insideevs.com/news/657660/us-electric-car-sales-january2023/

法律の面でもEV購入は有利で、インフレ削減法の適用により、EVの購入者は1台あたり最大で7,500ドルの税額控除が受けられます。今後、アメリカのEVメーカーは、市場でより存在感を増すものと推察されます。

 

ヨーロッパの電気自動車普及率について

ヨーロッパ諸国ではEVへのシフトが進んでおり、欧州自動車工業会(ACEA)が公表している統計「New cars by fuel type in the EU」によると、2023年3月におけるBEV(電気自動車)のシェアは13.9%、PHEV(PHV)のシェアは7.2%となっています。

特に、ノルウェー・アイスランド・スウェーデンといった北欧諸国の普及率が高く、統計調査データプラットフォーム「statista」の統計によると、ノルウェーにおけるBEV・PHEVの市場シェアは2021年で86%となっています。

データを見る限り、ノルウェーはEV先進国という印象を受けますが、北海油田の石油を売った対価でEVの導入を進めているという一面もあります。また、水力発電に頼るノルウェーでは、雨量の不足等の問題によって電気代が高騰するリスクもあるため、電力の安定供給に関する課題をどう解決するのかが注目されます。

 

中国の電気自動車普及率について

2000年代から電気自動車開発を進めてきた中国では、次第に市場への進出を本格化させており、販売台数も著しい伸びを見せています。自動車産業ポータル「MARKLINES」における「中国の自動車販売台数速報」によると、2023年4月の中国の自動車販売台数が215.9万台、新エネルギー車販売台数が63.6万台と報じられており、およそ3割が新エネルギー車となっています。

普及の背景には、車体価格・ランニングコストの低価格化に成功したことや、補助金等の優遇制度が充実していることなどがあげられます。


4.EV普及率向上において重要な「充電インフラ」

日本で電気自動車の普及率を向上させるためには、税制面での優遇やバッテリーの性能アップだけでなく、充電インフラの整備を充実させることが重要です。当社では、様々なニーズに応じたEV用急速充電機を取り扱っております。

また、自動車自体の燃費向上も、電気自動車のシェア増加には不可欠な要素です。当社のECU・DC/DCコンバータをご利用いただくことで、電気自動車の走行安定性を強化し、燃費の改善につなげることが可能になります。

5.まとめ

日本における電気自動車の普及は年々進んでおり、普及率が高い地域も見られます。国や自治体もEV普及を促進する取り組みに注力しているため、国内ユーザーが電気自動車へシフトする動きは今後も続いていくでしょう。

海外でも電気自動車のシェアが伸びており、ノルウェーなど他国に比べてEV等の普及率が著しく高い国もあります。将来的に日本が同程度の普及率を実現できるかどうかは未知数ですが、達成できた暁には、日本社会は新たな進化を遂げるのかもしれません。

このコラムに関連する情報

ビジネスコラム

製品情報

当社の取り組み

トップへ戻る