MOSFETの構造と動作原理

Nチャネル型MOSFET

D→S間はN→P→Nとなっており、N→Pの接合が逆向きのため電流は流れない。
P型半導体には「ホール」と呼ばれる+の電荷が分布している。

G-S間に電圧をかけるとゲート直下のP層がNに反転し、N型半導体の層ができます。これにより N→P→N の経路が N→N→N に変化するので電流IDが流れることができます。
これがMOSFETが「ONになった状態」です。
このN型の層の部分をチャネルといい、チャネルがN型なのでNチャネルMOSFETと言います。
チャネル部分の抵抗をチャネル抵抗といいます。

MOSFETのゲートしきい値(P8FE10SBKの例)

項目

規格値

単位

解説

Min.

Typ.

Max.

しきい値(VTH)

1.5

2.0

2.5 V

IDが流れ始める(ONになる)G-S間電圧

① VGS=1V

  • ① VGS=1V

G-S間に1Vの電圧を掛けても、まだチャネルはPのままなので、電流は流れない。

② VGS=2V

  • ② VGS=2V

G-S間に2V程度の電圧を掛けると、ようやくチャネルがNに反転して電流が流れ始める。⇒これがしきい値(VTH)

③ VGS=4.5V

  • ③ VGS=4.5V

ON抵抗をしっかり下げるには、VTHより十分に大きな電圧を与える。
VGS=4.5Vで85mΩ、VGS=10Vで79mΩ

ボディダイオード

図からわかるように、S⇒D間はもともとPN接合すなわちダイオードになっているため、いつでも電流を流すことができます。
このダイオードをボディ(寄生)ダイオードといい、MOSFETの記号を図のように書くこともあります。

Pチャネル型MOSFET

S→D間はP→N→PとなっておりN→Pの接合が逆向きのため電流は流れない。
N型半導体には「自由電子」と呼ばれる-の電荷が分布している。

G-S間に電圧をかけると、ゲート直下のN層がPに反転し、P型半導体の層(チャネル)ができます。これにより P→N→P の経路が P→P→P に変化するので電流IDが流れることができます。これがMOSFETが「ONになった状態」です。
チャネルがP型なのでPチャネルMOSFETと言います。

P型半導体中の電流は「ホール」によって運ばれるので、「電子」が流れるN型半導体よりも電流が流れにくい。
つまり、同じチップサイズならN型よりON抵抗が大きい。

Pチャネル型MOSFETの特徴

  1.  ONにするには、G-S間にマイナスの電圧を印加する。
  2. Nチャネル型に比べてON抵抗が大きい。
  3. ボディダイオードはD→Sの向き。

このような特性、使い勝手の面から、市場で使用されているMOSFETのほとんどがNチャネル型であり、各半導体メーカーの品揃えも圧倒的にNチャネル型が多くなっています。

  • Pチャネル型

Pチャネル型MOSFETの使用例

  • 降圧型DC/DCコンバータ
  • 逆接防止ダイオードの低損失化

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