ダイオードの分類
ダイオードは、その材料や特性に着目した分類と、形状や内部の結線などに着目した分類ができます。
材料や特性に着目した場合、以下のように分類することができます。
ダイオードの形状は用途や機能などによって様々ですが、リードタイプと面実装タイプに大別できます。
また、内部結線の特徴により分類される代表的なものにブリッジダイオードがあります。
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![]() トランジスタ、ダイオード、サイリスタなどの複数のパワー半導体を組み合わせ、電源回路を集積した部品。新電元ではダイオードを4つないし6つ搭載したパワーモジュールもラインナップしています |
一般整流ダイオード
シリコンのpn接合を用いたダイオードで、商用周波数の交流(50/60Hz)を整流することを意図して作られたものです。
もともとシリコンのダイオードはすべてこのタイプでしたが、用途の拡大にともない、高速化や低損失化の市場要求が高まり、ファストリカバリダイオードやショットキーバリアダイオードなどが派生しました。
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![]() p型半導体の領域とn型半導体の領域が接している部分のこと。 pn接合は、p型半導体とn型半導体を「くっつける」のではなく、1枚のシリコンウエーハにpの領域とnの領域を作りこむことによって形成します。 |
ファストリカバリダイオード
pn接合ダイオード(一般整流ダイオード)を高速化したダイオードです。
ダイオードを順バイアスから逆バイアスに変化させたとき、ある一定時間、逆方向に電流が流れてしまいます。
この電流のことをリカバリ電流、この時間のことを逆回復時間と呼びます。
![]() ダイオードのアノード側に正(プラス)電圧、カソード側に負(マイナス)電圧を印加すること。 ダイオードに電流が流れます。 |
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一般整流ダイオードの逆回復時間は数μs~数十μsです。
人の感覚からすれば非常に短い時間に感じますが、使用する回路によってはこれは無視できない時間です。
たとえば、50Hzや60Hzの商用周波の交流を整流するなら影響はほとんどありませんが、100kHzのスイッチング電源を整流するにはこの時間は長すぎて、逆回復損失が大きくなってしまうため使用できません。
ファストリカバリダイオードは逆回復時間を数十ns~数百ns程度まで高速化させています。
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ショットキーバリアダイオード
pn接合ではなく、金属とn型半導体のショットキー接合を用いたダイオードです。
ダイオードに電流を流すと順電圧と呼ばれる電圧降下による電力損失が発生し発熱します。
この電力損失を順方向損失と呼びます。
順方向損失を抑えるには順電圧は小さいほど効果があります。
ショットキーバリアダイオードはpn接合ダイオードよりも順電圧が小さいため、順方向損失を大幅に低減することができます。
また、逆回復時間もなく非常に高速なので特性的には優れていますが、高耐圧化が難しいという欠点があり、耐圧200V程度までの高性能ダイオードとして利用されます。
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順電圧 |
順方向損失 |
ツェナーダイオード
逆方向には電流を流さないというダイオードの特性を利用して、定電圧回路の構成やサージ電圧の吸収に利用されるものです。サージ電圧の吸収に用いられるものは区別のためにTVS(Transient Voltage Suppressor)と呼ぶこともあります。
ツェナーダイオードは一般的なダイオードのブレークダウンにあたる特性を積極的に利用したものです。
一般的なダイオードとは逆に、カソード→アノードの向きに電流を流して定電圧を得たり、エネルギーを吸収することで回路を保護します。
新電元のツェナーダイオードはロードダンプサージなどの過電圧から回路を保護するシリコン製のTVSで、一般的なツェナーダイオードに比べて大きなエネルギー耐量を持ち、バリスタよりも高速応答できることが特徴です。一般的にツェナーダイオードは常時微小な電流を流して定電圧特性を利用しますが、TVSは普段は電流を流すことはなく、いざというときだけ働くという違いがあります。
ブレークダウン |
ロードダンプ |
ブリッジダイオード・パワーモジュール
ダイオードの特性ではなく内部結線の特徴により分類される代表的なものにブリッジダイオードがあります。
一般的に商用電源の全波整流に用いられることが多いため、内蔵されるダイオードは一般整流ダイオードがほとんどですが、スイッチング電源の二次側の整流などに用いるためにショットキーバリアダイオードを内蔵したものもあります。また、三相交流の整流に用いるためにダイオードを6個内蔵したものもあります。
新電元ではブリッジダイオードの他、ダイオードモジュール(パワーモジュール)も取り揃えており、幅広い用途にお使いいただけます。
全波整流 |
三相交流 |