ダイオードとは
シリコンにpn接合を作って電極を設けたものがダイオードです。pn接合を用いたダイオードのことを一般整流ダイオードと呼びます。一般整流ダイオードのスイッチング特性を改善したものをファストリカバリダイオード(FRD)と呼び、一般整流ダイオードとは区別しています。
ダイオードにはp型半導体のかわりに金属層を使ったものもあり、ショットキーバリアダイオード(SBD)と呼ばれます。
順バイアス
A→Kの向き(順方向)に電圧を掛けると電流が流れます。
このとき、A-K間には順電圧VFが発生します。VFによって電力損失が発生するので、VFは小さいのが理想です。
逆バイアス
K→Aの向き(逆方向)に電圧を掛けても電流は流れません。
しかし、実際にはわずかに逆電流IRが流れてしまいます。IRによって電力損失が発生するので、IRは小さいのが理想です。
プレーナ型とメサ型
ダイオードのチップ構造
実際のチップではp層は薄く、n層は厚く作られています。
n-層:
不純物の濃度が低いので、逆電圧がかかったときは空乏層が広がりやすくなります。
ここの濃度と厚みによって必要な耐圧を出します。
n+層:
不純物の濃度が高く電流を流しやすくなります。
ウェーハの強度確保のためにある程度の厚みが必要です。
逆電圧印加時
チップの端面は露出しているため、端面に沿ってp→n+間で電流が流れやすくなり耐圧を低下させてしまうので、実際のチップでは保護膜を設けて耐圧を確保します。ダイシング後に側面に保護膜を付けるのは現実的ではないので、ダイシング前に保護膜を付ける工夫が必要です。
チップ切断(ダイシング)前に保護膜を付けるために、2種類の構造があります
プレーナ型
プレーナ型は溝を掘る必要はありませんが、チップが大きくなり、拡散工程も複雑です。
メサ型
メサ型は溝を掘る工程が必要ですが、チップが小さく、拡散工程も単純です。
ダイオードの基本特性
ダイオードの静特性
順電流IFを流したときに発生する電圧降下を順電圧VFといい、小さいのが理想です。
また、逆電圧VRを印加したとき、わずかに流れる電流を逆電流IRといい、やはり小さいのが理想です。
ダイオードの動特性(スイッチング特性)
下図のように、ダイオードに電流が流れている状態から急に逆バイアスの状態になると、一瞬大きな逆電流が流れてしまいます。この電流をリカバリ電流といい、リカバリ電流が流れる時間を逆回復時間trrといいます。
リカバリ電流はノイズや電力損失の原因になるので、trrは小さいのが理想です。
ダイオードの分類
pn接合型 |
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ショットキー接合型 |
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もともとダイオードはすべてpn接合ダイオードでした。
しかし、pn接合ダイオードにはいくつかの欠点もあり、これを補うためにファストリカバリダイオード(FRD)やショットキーバリアダイオード(SBD)が生まれましたが、もとのpn接合ダイオードには特に呼び名がないため、一般整流ダイオードと呼ばれています。