太陽電池の過積載

  • 過積載イメージ

パワーコンディショナ(PCS)の定格出力電力を上回る太陽光パネルを接続することにより、朝夕などの低日照時間帯の発電量を向上させることが可能になります。このようなパネル搭載方法は通例的に「過積載」と呼ばれ、コストパフォーマンスを重視する太陽光発電所に広く浸透しています。

太陽光発電所の設備認定を受ける際には、「認定容量」と呼ばれる発電所の最大出力電力を申請する必要があります。例えばPCSの定格出力電力の合計値49.5kWを認定容量とする場合は、50kWを超える太陽光パネルを接続したとしても、PCSにて49.5kWに制限されますので、「過積載」が可能になります。
※設備認定後に太陽光パネルの接続枚数を変更すると変更申請が必要な他、ペナルティーが発生するケースがありますので、ご注意ください。

自立運転でもメリット
自立運転では、負荷の消費電力がパネル発電力を超えてしまうと、PCSが過負荷で停止してしまいます。ご家庭の契約ブレーカが落ちてしまうことと似ています。太陽光パネルを「過積載」することにより、朝夕の低日照時間帯や曇りの日でも、安定した発電量を確保しやすくなるメリットがあります。

  • 1日の過積載による電力量イメージ
    過積載により低日照時間帯の発電量が増加

一般的に認められる過積載の条件
太陽光PCSの仕様で規定される、接続可能な太陽光パネルの「開放電圧」および「短絡電流」を超えない範囲で搭載する必要があります。

接続可能なパネル枚数の計算

当社製PCSを安全にご使用いただくためには、PCSの入力電圧と入力電流が仕様値を超えないように設計いただく必要があります。

PCSに接続可能な太陽光パネルの枚数(直列数×並列数)には、さまざまな考え方や計算方法があります。太陽光パネルの種類や特性、および環境条件により、設計時に考慮すべき事項が異なります。

本ページでのご案内は「安全率」を用いた簡易的な計算方法となります。実際にご設計いただく際には、パネル特性およびご環境条件を十分ご考慮のうえ、PCS仕様値を実際に超えないようにしてください。

簡易的な計算例

当社製PCS「PVS9R9T200B(三相9.9kW)」に接続可能な太陽電池の計算例を紹介します。

入力側仕様値(抜粋)
開放電圧の合計:600V以下
短絡電流の合計:63A以下(13A以下/回路)

計算例
太陽電池の環境変化を加味して安全係数を約1.2倍にしますと、開放電圧と短絡電流は500Vと52.5Aになり、接続可能な太陽光パネルは約26.3kWになります。
PCS定格出力電力が9.9kWの場合、最大過積載率は約265%(26.3kW÷9.9kW)となります。

製品別の最大過積載率
上記の計算例により、本ページでは下記の最大過積載率をご案内しております。

PCS仕様型名過積載率

▍開放電圧の合計
 600V以下

▍短絡電流の合計
78A以下(13A以下/回路)

PVS9R9T200C(三相9.9kW)

約328%
PVS010T200C(三相10kW) 約325%

▍開放電圧の合計
 600V以下

▍短絡電流の合計
63A以下(13A以下/回路)

PVS9R9T200B(三相9.9kW) 約265%
PVS010T200B(三相10kW) 約262%
PVS012T200B(三相12.3kW) 約212%

設計時にご考慮ください

太陽光発電所は毎日休まず稼働します。従いまして、発電所の所在地で想定されるすべての環境条件を視野に入れた設計が必要となります。特に下記の事項について、ご設計時に必ずご考慮いただく必要があります。

発電所の設置環境
屋外環境に設置される設備の受熱、気温、直射日光、反射光、降雪など、さまざまな要因があります。実際の設置環境を事前に十分ご確認ください。

太陽光パネルの種類
さまざまな形状や種類があり、特性値も型名によって異なります。型名に対応する詳細なデータシートを入手のうえ、都度設計条件をご検討ください。

太陽光パネルの温度特性
太陽光パネルは、低温になるほど開放電圧が高くなります。発電時間帯におけるパネルの最低温度をご考慮ください。

太陽光パネルの特性バラツキ
工業製品には、標準とされる特性値からの公差があります。

関連資料

当社製PCSの直流入力仕様値は、仕様書にてご確認いただけます。型名によって仕様書が異なりますのでご注意ください。仕様書は、以下のリンクよりダウンロードすることができます。

関連リンク

◆本ページの内容はご参考情報となります。実際にご設計いただく際には、ご使用設備の仕様を必ずお守りください。◆当社では、PCSに接続するパネルの設計を承っておりません。設備図面等をご提供いただきましても対応いたしかねます。◆本ページの記載内容を含め、当社からパネルの過積載に関する補助的な見解を提供する場合がありますが、設計根拠としてはご利用いただけません。◆本ページの記載内容に関連する技術情報の提供は承っておりません。◆本ページに記載する簡易計算例は、平均的なパネル特性を前提とした推定例となります。製品の最大過積載率の概算を目的としておりますので、実際のパネル接続枚数の設計にはご利用いただけません。◆本ページの内容は予告なく変更する場合があります。

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