2021年12月掲載
落雷の被害は広範囲に発生します
落雷は非常に高い威力を持っており、1回あたりのエネルギーは数千~1億ボルト、200億キロワットに達すると言われています。日本における落雷回数は年間約100万回とされていますが、直撃を受けることは滅多にありません。それでは、落雷による被害が広範囲で発生するのは何故でしょうか。落雷には大きく分けて2種類あります。
- 直撃雷
対象物に直接雷が落ちることを意味します。電気機器が直撃雷を受けた場合、電気回路や配線が大きな損傷を受けます。
- 誘導雷
落雷により生じた電磁波ノイズが、電気配線などに数千ボルトの電圧サージを発生させます。電圧サージのエネルギーによっては、電気機器が故障したり、誤動作したりします。
太陽光発電所における落雷被害の多くは「誘導雷」とされています。避雷針などで雷の直撃を回避できた場合でも、接地系統などからの回り込みにより、太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、監視装置、集電箱などが被害を受けることがあります。
雷サージ保護デバイスでリスク軽減
落雷による被害は、適切な保護設備を設置することで軽減することができます。ただし、誘導雷はあらゆる電気配線に電圧サージを生じさせますので、保護したい配線毎に対策が必要となります。
- 系統側の雷対策方法
高圧避雷器(LA)等の雷保護機器やサージ保護デバイス(SPD)を設置します。電力系統の交流電圧に適した機器を選定します。 - 太陽電池側の雷対策方法
各入力回路にサージ保護デバイス(SPD)を設置します。太陽電池の直流電圧に適した機器を選定します。 - 通信配線の雷対策
各通信回路にサージ保護デバイス(SPD)を設置します。遠隔監視装置に接続するLANケーブル(RJ45コネクタ)用や、RS-485通信用など、通信方式に対応した機器を選定します。
上記対策について、太陽光発電システムのご設計時にご検討をお願いします。
雷保護機器については各メーカーにお問い合わせください |
雷保護機器に関するQ&A
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避雷針を設置した場合に効果はありますか?
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避雷針と雷保護機器は、設置目的が異なります。それぞれの目的に合わせて設置が必要です。
- 避雷針の設置目的
直撃雷の非常に高いエネルギーから、人や建造物の破損・火災・爆発を防ぐ目的で設置されます。約1億ボルトの瞬時エネルギーを大地(アース)に逃がし、直撃被害を回避します。
- 雷保護機器・SPDの設置目的
落雷の影響により電線路に進入した電圧サージから、電気機器を防護する目的で設置されます。数千ボルトの瞬時エネルギーを大地(アース)に逃がし、半導体部品などの損傷を防ぎます。
- 避雷針の設置目的
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パワーコンディショナや監視装置に保護機能はありますか?
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パワーコンディショナや監視装置は、配線端子の内部回路に一定性能のサージ保護素子(バリスタ・アレスタ等)を搭載しています。しかし、数千ボルトに及ぶ誘導雷から機器を防護する目的においては、高い効果を期待できませんので、各配線に専用の雷保護機器を設置する対策がより推奨されます。
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雷保護機器の推奨品はありますか?
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いいえ。当社では、推奨品等のご提案はできません。各機器メーカーにご相談ください。
長期運用に備えてさまざまな対策を
落雷の被害を完全に防止することはできません。直撃雷を受ければ電気機器は当然大きく損傷しますが、誘導雷であっても落雷場所によっては非常に高い電圧サージを生じさせ、雷保護機器を設置していても防護しきれない可能性があります。
ひとたび落雷の被害を受けますと、複数の機器が同時に損傷する可能性もあります。太陽光発電所は長期運用に備えた対策が必要です。
- 雷保護機器を設置する
誘導雷など数千ボルトのエネルギーから電気機器を保護します。雷保護機器・サージ保護デバイス(SPD)が、雷のエネルギーを吸収する毎に性能が劣化する場合があります。落雷の多い地域では、設置するだけでなく定期的な保守メンテナンスの計画を立てることも大切です。 - 損傷に備えて代替機を用意する
雷保護機器で被害を防ぎきれない場合、設備が損傷に至る可能性があります。代替品がすぐに入手できない場合に備えて、設備の代替機を用意しておくなどの対策も有効です。 - 雷被害に対応した保険
被害が広範囲に及ぶ誘導雷では、複数の機器が同時に損傷に至る可能性があります。代替機でも補いきれない場合は、機器入れ替えや修理等による復旧が必要となります。雷による損傷に対応した保険サービスや保証プログラムに加入することで、復旧費用の負担を軽減できる場合があります。
各メーカー・保険サービス会社にお問い合わせください |
◆本ページに記載する内容は2021年12月時点の情報です。
◆当社では、雷保護機器、および雷被害に対応した保険サービスや保証プログラム等に関するお問い合わせについて、見解や資料のご提示はできません。当社製品以外の機器およびサービスご選定や設置についてはお客様責任にて実施してください。
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