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省エネとバッテリ|企業が導入すべき理由や蓄電システムについて解説

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地球温暖化への配慮や東日本大震災などの災害対策として、産業用バッテリ(蓄電池)に注目が集まるようになりました。近年では、多くの企業が産業用バッテリを含む「蓄電システム」の導入を検討しており、実際に導入した企業も少なくありません。

再生可能エネルギーとして普及が進む太陽光発電との相性も良く、オフィス・工場等で太陽光発電を行っていれば、バッテリ・蓄電システムの性能次第で電気代の更なる節約につながります。この記事では、省エネの観点から企業が知っておきたいバッテリの選び方について、蓄電システムとの組み合わせに触れつつ解説します。

【目次】

1.省エネ生活における「バッテリ」の有用性

バッテリは日本語で蓄電池とも呼ばれ、発電・買電した電気を蓄えておき、必要なタイミングで必要な分だけ電気を使うための電池のことをいいます。近年では住宅で用いられるケースも増えてきているものの、大部分は産業用として使用されることがほとんどです。

産業用におけるバッテリは、自然災害等によって広域停電などが生じた際のバックアップ電源が主な用途となっています。加えて、産業用蓄電システムとの連携により、エネルギー消費量のコントロールや、太陽光発電など再生エネルギーの効率的な活用が期待できます。

また、バッテリは電気自動車にも用いられており、電気自動車はバッテリから供給される電気でモーターを駆動し、車輪やギアに動力を伝える仕組みとなっています。従来のエンジンを使用する自動車に比べて構成がシンプルになるため、部品点数の減少・組立工程の簡略化という形で、製造現場での省エネにつながることも期待されます。

予算等の理由から産業用向けバッテリの導入が難しい場合は、災害時に緊急用として持ち運べる大きさの、コンセント等で充放電する容量が限られた「ポータブルサイズ」のバッテリもあります。比較的少額で導入を検討でき、PC・スマートフォンの電源としても使用できます。

2.バッテリが省エネに貢献する理由

企業がバッテリを活用すると、省エネの観点からどのようなメリットがあるのでしょうか。以下、産業用バッテリの活用が省エネに貢献する具体的な理由をいくつかご紹介します。

太陽光発電システムと連携可能

工場等に設置されている太陽光発電システムは、太陽が出ている昼間に発電するため、夜間は電気をつくり出すことができません。しかし、バッテリと太陽光発電システムを組み合わせると、昼間に発電した電気を夜間でも使うことができます。

工場を24時間稼働させている場合、昼夜問わず電気を使用することになりますが、電力会社から24時間分の電気を購入している場合、その分だけ電気代も発生します。太陽光によって発電した電気をバッテリに蓄電し、夜間にその電気を使用すれば、その分だけ電気代を抑えることができるのです

ピークカット・ピークシフトが可能

ピークカットとは、電力の使用量が最も多い時間帯(ピーク時間帯)に、電力使用量(電気購入量)をカットすることをいいます。似たような単語にピークシフトがあり、ピークシフトとは、電力の使用が少ない時間帯に電気を貯めておき、電気を多く使用する時間帯にその電気を使うことをいいます。

ピークカット自体は、昼間など使用電力の多い時間帯に稼働を減らすなどして対応できますが、稼働時間を減らさず電気代を節約したい場合は電力をどこからか持って来る必要があります。そこで、電力使用量の少ない夜間・早朝等に貯めた電力をバッテリに蓄え、その電気を昼間に放電(ピークシフト)すれば、ピークカットと同様の効果を得つつ稼働時間を維持することが可能になります。

また、企業は家庭と違って“電力供給開始から1年ごとの最大需要電力(デマンド値)”により契約電力が決定されるため、できるだけ消費電力を減らすことがコスト削減の観点から重要です。前日の深夜電力でバッテリに蓄えた電気を使用しピークシフトすることで、契約電力の抑制・電気代の節約につながります。

停電時も電気が使える

地震等の自然災害によって、自宅で電気が使えなくなってしまった状況であっても、早期に電力を要する場合があります。その際、発電機を使い充電することも可能ですが、ガソリンなど災害時に貴重な燃料を必要とするため、必ずしも省エネとはいえません。

このとき、バッテリに十分な蓄電量があれば、バッテリを介して電気を使うことができます。太陽光発電との連携が生きていれば、災害時でも比較的安定して電力を供給できるでしょう。

3.省エネのためバッテリを導入する際の注意点

企業にとって、省エネ目的でバッテリを導入するメリットは大きいですが、バッテリ特有の注意点もあります。これから産業用バッテリを導入しようと考えている場合、以下の点に注意して導入を検討しましょう。

場所の確保

バッテリは、容量が大きいものほどサイズが大きくなる傾向にあるため、あらかじめ設置場所を確保しておかなければなりません。小型のモデルを探したとしても、エアコン室外機程度のスペースは必要と考えておきましょう。

バッテリは消耗品

充電と放電を繰り返すバッテリは消耗品であり、残念ながら使用回数・充電回数は無限ではありません。充放電の回数が増えるほどバッテリは劣化していき、一度に蓄えられる電力量も減少する傾向にあるため、少しでも寿命を延ばせるような使い方を心掛けましょう。

バッテリ(蓄電池)の法定耐用年数は6年ですが、バッテリの種類によって寿命や充放電できる回数も異なるため、用途に応じて種類を選ぶのがよいでしょう。近年普及が著しいのは、小型・軽量でサイクル年数が長いリチウムイオン電池ですが、安定性と安価さを両立する鉛蓄電池を採用するという選択肢もあります。

設置場所に関しては、できるだけ高温の環境下に置かないことを意識しつつ直射日光を避けることで、寿命を延ばすことにつながります。また、過放電・過充電を防げる機能を備えたバッテリ及び周辺機器を導入することも大切です。

初期投資が発生する

産業用バッテリを購入・設置する場合、まとまった初期費用が発生するのも無視できない点の一つです。具体的な金額はバッテリの容量・機能により異なりますが、本体価格だけでなく設置工事費用・電気工事費用も発生するため、見積もりを比較検討する必要があります。

 

4.バッテリの有効活用を実現する「蓄電システム用インバータ」

バッテリによる蓄電を検討する際は、各種蓄電システムに加えて、システム用のインバータにも注目したいところです。インバータの性能によって、電力変換効率や安全性にも違いが生じるため、家庭・職場用の電力を賄うためバッテリを導入する際は注意する必要があります。

新電元工業の蓄電システム用インバータ「BTS020T200A」は、需要変動に対して瞬時に電力充放電ができる高速応答が可能で、絶縁体コンバータを採用していることから筐体を小型化しつつ系統の安全性を確保しています。1.5キロワットの自立運転機能を搭載しており、停電時は蓄電池から電力供給を行うことも可能です。

5. まとめ

産業用バッテリは、自然災害に伴う停電時のバックアップ電源のほか、エネルギー消費量のコントロール・太陽光発電など再生エネルギーの効率的な活用に役立ちます。電力使用量の少ない夜間・早朝等に貯めた電力を昼間に放電することで、稼働時間を減らすことなく電気代を節約できるなどのメリットもあります。しかし、設置場所の確保やバッテリの性能など、導入にあたっては注意すべき点もあります。バッテリ自体の価格だけでなく、設置工事や電気工事に伴う費用も想定しておく必要があるため、複数社の見積もりを確認した上で判断することが大切です。

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