省エネに照明のLED化は有効?切り替えのメリットや注意点を解説
世界情勢や環境問題などを背景として、企業・家庭の省エネに対する意識はより高まっています。電気料金の高騰は、事業や家計に与える影響が大きいため、どの企業・家庭でも何らかの策を講じざるを得ないのが現状です。
そこで、現在使用している従来の電球・電灯につき、商品電力が少なく耐久性の高いLEDに切り替えようとする動きが目立っています。この記事では、省エネにおける照明のLED化の有効性について、切り替えのメリットや注意点に触れつつ解説します。
【目次】
1.照明のLED化が省エネになる理由
LED照明とは、日本語で「発光ダイオード」といい、光る半導体とも呼ばれることがあります。赤色・黄緑色・橙色などのLEDは、これまで信号・標識・ディスプレイなどで使われてきましたが、青色LEDが開発されたことにより照明としても注目されるようになった経緯があります。
LEDは長寿命・消費電力の少なさ・応答の速さといった半導体の特長を備えており、企業・家庭・施設を問わずLED照明の需要が高まっています。多くの業種において、生産設備を除いて消費電力比率が高いのは空調とされますが、照明はその次に割合が多いとされるため、LED化の恩恵は大きいものと考えられます。
政府は、既存設備を含めた政府全体のLED照明の導入割合を2030年度までに100%とすることを定めており、電球型蛍光灯は2025年末、すべての一般照明用蛍光灯は2027年末までに製造・輸出入禁止になる予定です。家庭や公共施設においても、照明に用いられる電力は決して少なくないことから、将来的な照明のLED化は避けられないものと考えてよいでしょう。
2.省エネのため照明をLED化するメリット
LED照明への切り替えは、一気に取り組もうとすると面倒に感じられるかもしれません。しかし、企業や家庭・公共施設などで従来の照明をLEDに切り替えることにより、次のようなメリットが期待できます。
電気代の削減
オフィス等で使用している照明につき、LEDに切り替えた場合、様々なシーンで消費電力・年間電気料金を削減できます。例えば、オフィスや会議室で蛍光灯をLEDに切り替えた場合、切り替え前に比べて約71%の省エネとなり、年間電気料金は約158,800円の削減が見込めます。
買い替えスパンが長くなる
LEDは、従来の白熱電球や蛍光灯に比べて圧倒的に長寿命であり、長い期間使用できるという特徴があります。年数経過にともない光が弱くなる点は否めないものの、例えば定格寿命が40,000時間のLED照明は、10時間/日の点灯でおよそ10年使用可能です。
健康・環境面でも優れる
LEDには赤外線・紫外線がほとんど含まれておらず、赤外線による熱的なダメージや紫外線による商品の退色リスクを軽減することが期待できます。また、水銀や鉛などの環境負荷物質も含んでいないため安全です。
3.省エネと使い勝手を両立するLEDの選び方
これからLED照明への切り替えを進めようとする場合は、省エネという観点からだけでなく、使い勝手にも目を向けて商品を選ぶ必要があります。実際にLED照明を使用する場合、次の点にポイントを絞って選ぶことが大切です。
口金を確認する
口金(くちがね)とは、電球の根元にある金属の箇所をいいます。LED電球をセットする際は、口金のサイズが合っていることを確認してから取り付ける必要があります。万一、口金が異なった状態で設置・使用すると、電球が壊れる・電流がショートするなどの不具合が生じる恐れがあり危険です。また、安定器が用いられている器具に使用すると、発火・電気事故につながる恐れがあるため注意しましょう。
光量
LED照明の明るさの単位は「ルーメン(lm)」で表示されており、これまで使ってきた電球と同じ光量のものを選ばなければ、室内が暗く感じてしまう可能性があります。多くの電球は「W(ワット)」が明るさを判断する基準となるため、各LED照明のルーメンと電球のワット数を比較した上で選ぶ必要があります。
商品のカタログ・パッケージを見ると、ルーメンに加えて「電球20形相当」などと紹介されていることがあるため、これまで使用してきた電球等の表記を確認しながら選ぶのも一手です。以下、一般社団法人 日本照明工業会の「電球型LEDランプ性能表示等のガイドライン」を参考に、一般照明用電球の区分とルーメンを対比したものの一部を表にまとめました。
電球の区分 |
定格初光束(lm) |
電球20形相当 |
170 |
電球30形相当 |
325 |
電球40形相当 |
485 |
電球60形相当 |
810 |
電球100形相当 |
1520 |
光の色や広がり方
LED照明の色は、単純な白色だけでなく、様々な色が用意されています。照明を取り付ける部屋の種類に応じて選べるため、主にどのような種類があるのかを押さえておきましょう。主な光の色の種類としては、次のようなものがあげられます。
色 |
特徴 |
電球色 |
従来の電球に似ている温かみを感じられる光 |
温白色 |
電球色に比べて明るいため、部屋の雰囲気をナチュラルなイメージで演出できる |
白色 |
月光を思わせる色合いで、温白色に比べると明るく、昼白色に比べると暗い |
昼白色 |
自然な光量で生き生きとした雰囲気を演出する |
昼光色 |
青みがかった爽やかな光が特徴 |
また、LED照明は光の広がり方も種類が分かれており、どの部屋にどのタイプの照明を設置するのかによって選ぶ商品が変わります。具体的には、主に下方向に明かりが向かった方がよいのか、それとも部屋の全方向が明るくなった方がよいのか、事前に検討しておくことをおすすめします。
4.今後もニーズが高まるとみられるLED照明
世界的に省エネへの動きが加速する中、従来の光源よりも高性能なLED照明のニーズは高まっており、今後も更なる消費電力削減・長寿命化が求められるものと推察されます。当社の半導体は、照明のあらゆる制御を行っている電源部分で活躍しています。
具体的には、ベースライト・屋内型照明のほか、シーリングライト・ペンダントライトにも、当社のブリッジダイオード、一般整流ダイオード、サイリスタ、パワーMOSFET、LED制御用ICなどが用いられています。新電元工業では、LED照明機器のキーパーツとなるパワー半導体製品の更なる小型化・高効率化を実現し、今後も機器の省エネ化・長寿命化に貢献してまいります。
タイヤの空気圧
LEDは、従来の白熱電球や蛍光灯に比べて長寿命・消費電力の少なさ・応答の速さというメリットを持っています。企業・家庭・公共施設を問わず、電球・電灯の切り替えが省エネにつながるものと期待されています。赤外線・紫外線による影響も軽減できることから、健康や環境面でも優れています。実際に導入する際は、大前提として口金が合っているか確認し、その後使用する部屋に応じて光量や光の色・光の広がり方などを検討しましょう。