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今更聞けない省エネ対策|家・オフィス・工場で使えるアイデアを解説

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石油・石炭・天然ガス(LNG)の多くを海外から輸入する日本は、主にそれらのエネルギーを使って火力発電を行い、電力を賄っています。そのため海外情勢の変化の影響を受けやすく、発電所自体の老朽化等の理由から発電量も落ちている状況です。

 猛暑・寒波によって急激に使用量が増えると、供給量が追い付かず電力需給ひっ迫が起こるリスクがあるため、家庭・企業ともに省エネ対策を知っておく必要があります。この記事では、今更他の人には聞きにくい基本的な省エネ対策について、家・オフィス・工場で使えるアイデアをご紹介します。

【目次】

1.家庭での省エネ対策

家庭では、エネルギーを消費する家電・機器を使用する機会を減らすことが省エネにつながります。以下、各家庭で家族それぞれが取り組める省エネ対策についてご紹介します。

家電に頼らず室内温度を快適に保つ

エアコンやヒーターなどを使わず、家電に頼らず室内温度を快適に保つ方法を知っておくと、電気の使用量を減らすことにつながります。例えば、誰もいない家に帰宅して家の中が暑い場合、窓を開けて部屋の熱気を逃してからエアコンを入れるだけでも、部屋が涼しくなる時間が短くなります。日光が強い部屋の場合は、遮光カーテン・すだれ・サンシェードなどを使うと、日差しを和らげることができるでしょう。

冬場は逆に、積極的に日光を取り入れるようにして、部屋の中を暖めましょう。それでも部屋の中が寒いようなら、湯たんぽや厚着も組み合わせて暖房を使う機会を減らすことが大切です。

使用する機会を減らす

電気機器やガス機器などは、極力「最低限必要なタイミング」だけ使い、使用する機会を減らすのが有効です。例えば、ご飯をまとめて炊いて冷凍しておけば、あとは電子レンジで温めるだけでよく、電子ジャーでご飯を保温しておくよりも経済的です。煮込み料理を作るなら、圧力鍋を使うことで時短・火力節約につながります。入浴に関しても、できるだけ家族が同じようなタイミングで入浴した方が、追い炊きの時間を少なくできます。

違うエネルギーの利用を検討してみる

これまで使用していた電気機器・ガス機器も、使用する環境によっては、かえって他のエネルギーに切り替えた方が使用料を節約できる可能性があります。例えば、プロパンガスを調理・入浴等に使用している場合、住んでいる地域によっては電化した方がランニングコストは安くなるかもしれません

2.オフィスでの省エネ対策

オフィスでの省エネ対策のアプローチとしては、エネルギーの使用量削減、使用時期の抑制、他エネルギーへの転換という視点が必要になってきます。以下、それぞれの省エネ対策について解説します。

エネルギーの使用量削減

複数人が集まって仕事をするオフィスでは、業務効率を下げないレベルでの照明は必要になります。消灯や照度調整は、業務に支障のない範囲で行いましょう。空調の面では、無人の部屋を電子機器が故障しない範囲で温度調整しつつ、特定のスタッフだけが冷房・暖房に悩まされないよう冷気・暖気の拡散を行うことが大切です。テレワークとの兼ね合いから検討したいポイントとしては、使用していないPC・コピー機のコンセントは抜いておき、待機電力をカットする点に注意が必要です。

エネルギー使用時期の抑制

ピーク電力を抑制できると、契約電力の低減・電力コスト低下につながるため、一度に設備・機器を起動せず順次起動して電力平準化を狙いましょう。または、業務を一時停止するなどして、その時間を休憩・交代に充てても良いでしょう。その他、蓄電池を利用して、ピーク使用を抑制する方法もあります。

他エネルギーへの転換

オフィスの照明に白熱電球等を使用している場合は、高効率のLED照明に交換しましょう。かつては互換性のなさから、既存設備に取り付けることが難しい場合も珍しくありませんでしたが、現代では従来の照明器具に取り付けられるものも開発されています。白熱電球に比べて電力量は1/5以下、寿命は20~30倍の製品もあるため、LED照明に交換するメリットは大きいはずです。また、設備の新設・増設時には高効率の機器を採用し、ポンプ・ファンなどにはインバータ等の省電力制御装置の導入を検討しましょう。

3.工場での省エネ対策

工場においてエネルギーを節約するためには、設備を動かすための電気との付き合い方が重要になります。以下、工場での省エネ対策にあたり、必要な視点やアイデアなどをご紹介します。

消費エネルギーは電力が圧倒的

資源エネルギー庁の「令和2年度エネルギー消費統計結果概要」によると、製造業の燃料種別エネルギー消費量の割合は、電力が49.3%と約半数を占めています。次いで蒸気・熱の20.2%、石油・石炭の17.1%、ガスの12.3%と続きます。よって、工場での省エネ対策を講じる場合、電気を使って動かす設備の見直し、自家消費型発電の導入などにフォーカスすることが重要になります。

再生エネルギーの観点から取り組めること

工場の省エネにおいて、自家消費型太陽光発電は、今後より注目を集めるものと考えられます。工場等の屋根に太陽光パネルを設置し、太陽光発電で電気を賄うことができれば、電気料金削減とCO2削減を同時に実現できるからです。

これまでの自家消費型太陽光発電は、高額な導入費用がネックとなっていましたが、近年では初期導入費用がかからないPPAモデルを選択することもできます。PPAとは「Power Purchase Agreement」の略称で、日本語に訳すと「電力購入契約」となります。

PPAモデルでは、太陽光発電の事業者と契約することで、太陽光発電システム設備を初期費用ゼロで導入できます。設備のメンテナンスも事業者に任せることができ、契約期間満了後は設備を譲り受けることができます。

ただし、契約終了までの間は、事業者に利用した分の電気料金を支払う必要があります。その他、電力会社を切り換える選択肢もありますが、電気料金そのものは高騰傾向にあるため、切り替えは慎重に判断した方が良いでしょう。

「人の手でできること」と「設備導入が必要なこと」を把握

工場での省エネ対策を大きく分けると、人の手でできることと、設備導入が必要なことに分けられます。例えば空調の場合、フィルタ・熱交換器の清掃や障害物の見直し、夜間の外気取り込みなどは、人の手でできることに分類されます。

これに対して、空調の配管「α-HT(流体攪拌装置)」を挿入したり、外気温が低い冬季に冷却水を作るフリークーリングを導入したりするケースは、設備導入が必要なことに分類されます。人力での対応は、経済的ではあるものの従業員の理解を得る必要があり、設備導入には一定のコストが発生します。工場責任者・経営陣は、人力で対処するのか、それとも新しい設備を導入するのか、予算や課題に応じて決断を下す必要があります。

4.あらゆる場所で省エネ対策に貢献する「半導体」

個々の家庭・職場で意識して実践できる省エネ対策は、その気になれば今すぐ始められるものも少なくありませんが、それを継続するのは決して簡単なことではありません。人によって取り組みの質に違いが生じたり、職場等で不平等が発生したりする恐れがあるからです。

そこで重要になるのが、これまで使用していた設備・機器を、よりエネルギー使用効率の良いものに切り替えることです。エネルギー使用効率の良い機器を見極める上で、ポイントとなるものの1つが「半導体」です。

半導体の性能が向上すると、電力効率の最適化が進み、消費電力と熱の発生を少なくすることにつながります。そして、高性能な半導体を搭載した電気機器が広く普及すると、将来的には地球温暖化など世界規模の問題の解決も期待できます。

新電元工業では、更なる低消費電力化の実現のため、半導体製品の小型化・高効率化を進めています。ブリッジダイオード・パワーMOSFET・LED駆動用IC・高調波規制への対応のためのPFC回路用のデバイスなど、幅広い用途に応じたパワー半導体を多数取り揃え、今後も機器の省エネ化・長寿命化に貢献してまいります。

5.まとめ

省エネ対策のアプローチは、家庭・オフィス・工場でそれぞれ異なりますが、基本的には電力の消費を抑えることが基本方針となります。工場の場合は、太陽光発電など自家消費型発電の導入も視野に入れつつ、電力を安定して確保する体制を整えたいところです。

しかし、人力による省エネ対策には個人差が生じやすく、オフィスなど複数人が集まる場所での対策には限界があります。設備等を使用しない選択肢だけでなく、低消費電力の設備導入を検討することも、これからの省エネ対策では求められるでしょう。

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