省エネと電気の新しい関係|エネルギー節約から使用効率の向上へ

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一般的に省エネと聞くと、こまめに照明を消す、使わない機器のコンセントは抜くなど、普段の生活で電気を使わないことに意識を向ける人が多いかもしれません。しかし、個人や企業の努力や我慢に頼る節電には限界がありますよね。

これからの省エネでは、エネルギーの「節約」ではなく、「使用効率の向上」が重要なポイントになると言われています。この記事では、省エネと電気の新しい関係について、エネルギーの使用効率向上にフォーカスして解説します。節電以外の方法を探している方はぜひ参考にしてください。

【目次】

1.家庭・オフィスでできる電気の省エネ方法の基本

まずは、一般的な家庭・オフィスでできる基本的な電気の省エネ方法をご紹介します。

家庭における電気の省エネ方法

家庭で省エネを実践するには、次の3ステップで段階を踏んで行うとスムーズです。家族で共有して普段の行動から見直しましょう。

① 電気を何に使っているか自覚する ② 無駄遣いを減らす方法を知る ③   電気以外の選択肢を模索する

資源エネルギー庁の「エネルギー白書2020」によると、2018年時点の家庭で最も使われているのは動力・照明等(33.8%)で、次いで給湯(28.4%)、暖房(25.4%)と続きます。このデータを踏まえると、洗濯機や電子レンジ、テレビなどはコンセントから抜く、エアコンや照明をこまめに消すなどが節電につながることが分かります。それ以外の方法としては、電気を使う時間帯を夜間や早朝にずらす、電気製品の同時使用を避ける、消費電力が少ない家電に変えるなども有効です。

オフィスにおける電気の省エネ方法

複数の人が働くオフィスでは空調が節電において重要なポイントになります。オフィスの規模によって一概にはいえないものの、冷房は1℃上げると約13%の節電、暖房を1℃下げると約10%の節電が見込めます。

エアコンの温度は環境省推奨の「夏場28℃・冬場20℃」を目安に設定しましょう。暑さ寒さに対する意見が多い場合は、サーキュレーターで空気を循環させたり、個人での扇風機やヒーター利用を認めたりすると、現場の負担を抑えながら省エネを実践しやすくなります。

また、季節によって終業時間を変え、エアコンがフル稼働する時間を短縮させる方法もあります。その他、OA機器やパソコンの省電力モード・スリープモードなどを活用しつつ、節電タップで待機電力を遮断するのも良い方法です。

2.個人・会社単位でできる電気の省エネは限定的?

省エネと聞くと、個人や会社単位で「一人ひとりが努力して」省エネに取り組むイメージを思い浮かべる人は多いかもしれません。しかし、以下のような理由から、個人・会社単位での省エネには限界があります。

世帯あたりの家電保有数が増えている

家電製品は進化を続けており、便利な機器が登場するたびに一家庭がもつ家電の数は増加しています。高度経済成長期に「白黒テレビ・冷蔵庫・洗濯機」が三種の神器として登場し、その後「カラーテレビ・クーラー・電子レンジ」、デジタル家電が登場してからは「デジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型テレビ」。令和の今は「ロボット掃除機・全自動洗濯乾燥機・食器洗い機」を揃える家庭が増えています。今の暮らしになくてはならないものとして、ここに登場した家電のほとんどを持っているという家庭も多いでしょう。

無駄を完全になくすことはできない

省エネに取り組むことで、確かに電気の消費量を減らすことはできるかもしれません。しかし、無駄を完全になくすのも難しいところです。例えば、オフィスの照明に関しては、照明を間引きやLED照明に切り替え、人感センサー付き自動消灯の導入などによりある程度の消費量削減ができるでしょう。

しかし、消灯のために残業を完全にゼロにする、スーツ着用者が多いオフィスでクーラー温度を高めに設定するなどはあまり現実出来ではありません。作業効率や社員の健康を考えれば節電には限界があります。

空調や席の配置にも限界がある

空調の設定温度や席の配置を工夫するにしても、全員を納得させることは難しいはずです。例えば、室温を推奨温度に設定してサーキュレーター等を設置しても、風が当たらない席の人や外気の影響を受ける窓側の席の人は、あまり快適ではないでしょう。

節約を意識しての行動には、個々のコンディション等も関係してくるため、どうしてもイレギュラーは生じてしまいます。責任者・経営者は、社員の働きやすさを無視することなく、盲目的に省エネを叫ばないようにすることが大切です。

3.これからの電気の省エネは「エネルギーの使用効率向上」という視点が重要

エネルギーの無駄遣いを抑える省エネ方法は、簡単に実践できる反面、長期的に我慢を強いられるというデメリットがあります。この点を解決するには「エネルギーの使用効率が良い電気製品」を選ぶことが大切です。エネルギー使用効率に着目して電気製品を選ぶ際に、着目すべきポイントをご紹介します。

省エネ基準達成率

省エネ基準達成率は、省エネ性能の目標基準値の達成率を%で表したもので、この値が高いほど性能も良いということになります。省エネ法に基づいて製品分類ごとに基準値が設定されているため、違うメーカーの家電を比較する際にも役立ちます。

例えば冷蔵庫の場合、冷却方式・定格内容積等により分類された区分ごとに、目標基準値算定式が設定されています。テレビやエアコンなども同様に省エネ基準達成率が設定されているので選ぶときのポイントにしましょう。

年間消費電力量

年間消費電力量とは、その家電を1年間使用した際の電力量を表したものです。年間消費電力に関しては、メーカーが異なる家電も同じ測定基準で電力量が計算されています。年間消費電力量は、買い替え時に現在使用している家電等のパフォーマンスと比較したり、複数の商品の中からコスパが良いものを選んだりする際に活用できます。

性能・機能

オフィスで使用するパソコンやOA機器等に関しては、性能・機能に着目して、消費電力や電気代が少ないものを選ぶのが省エネの基本です。しかし、実務で使用することを考えると、作業効率が高い高性能なパソコンを用意して作業時間の短縮を狙うという方向性で選ぶこともできます。

省エネ視点でパソコンを選ぶ場合は、作業効率を高め、パソコンの稼働時間を少なくすることが重要なので、省エネモードの有無だけでなく、CPUのスペックやメモリ容量にも着目しましょう。

4.電気の省エネは「パワー半導体」にも注目

消費者が家電の省エネ性能を重視するようになり、家電メーカー各社では省エネ性能の開発競争が日々激しさを増しています。

そこで、各業界・メーカーから注目を集めているのがパワー半導体です。

さらなる省エネを実現させるにはエネルギーの使用効率を向上させる必要があります。半導体は、電源の制御・供給を担うパーツであり、その役割はモータの駆動・バッテリ充電・マイコンやLSIの動作など多様です。

効率のいい高性能なパワー半導体を新製品に利用することで、交流・直流変換や降圧、モータ駆動などで発生する電力損失を最小限に抑え、これまでの製品にはない省エネ性能が実現できます。高電圧・大電流に耐えられる新電元工業のパワー半導体は、制御の高速化によって省エネ性能の向上を実現しつつ、数十年の連続使用にも半永久的に耐える品質を備えています。1%の電源効率改善によって製品の可能性を大きく広げ、バッテリの長持ち・小型軽量化といった小さな部分から、社会全体の省エネ化に貢献しています。

正に「エネルギーの変換効率を極限まで追求することにより、人類と社会に貢献する」という新電元工業の企業ミッションを体現している製品と言えるでしょう。

5.まとめ

こまめな消灯や電源オフなど、電気の省エネはすぐに始められるものも多い反面、家電保有数の増加や作業効率への配慮などもあり、家庭や企業で取り組める内容には限界があります。そのため、これからの省エネは「エネルギーの使用効率向上」という視点が重要だと言われています。省エネ基準達成率や年間消費電力量などを参考にエネルギーの使用効率が良い性能の電気製品を選ぶことが重要です。

また、それに伴い家電メーカーではエネルギーの使用効率を高めるパワー半導体に注目が集まっています。家電は高性能の半導体の活用でさらなる省エネを実現させていくことでしょう。

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