半導体の種類について|パワー・ロジック半導体の違いも解説

  • column_vol27

半導体は、白物家電・電子機器・自動車など、人々の生活を便利にする様々なものに搭載されています。主に電源として使われるものもあれば、電気を光に変換するものもあり、その種類も多様です。

パワー半導体・ロジック半導体のように、近年特に需要が高まっている半導体もあります。目的に応じて複数の半導体が機器に搭載されることも珍しくなく、半導体不足になると機器の生産にも影響を及ぼすことがあります。

この記事では、もはや人々の暮らしに欠かせないものとなっている、半導体の種類について解説します。

【目次】

1.そもそも「半導体」とは?

半導体とは、導体と絶縁体の中間の性質を持っている物質のことです。導体は電気を通しやすい物質、絶縁体は電気を通さない物質という意味です。

半導体は、使い方次第で電気を流すことも流さないこともできるため、電流を制御する上で重要なものです。

半導体の材料としてよく使われているのは「シリコン」で、資源が豊富にあり加工しやすいという特徴を持っています。シリコン以外で使用される材料としては、ゲルマニウムやセレンなどがあげられます。

2.重要度が高まるパワー半導体・ロジック半導体

近年、人々の暮らしの中で特に重要度が高まっている半導体として、パワー半導体・ロジック半導体の2種類があげられます。以下、それぞれの機能について詳しく解説します。

パワー半導体

パワー半導体とは、材料に半導体を用いているデバイス(電子部品)のうち、特に大きな電流・電力を扱う目的で作られた半導体のことをいいます。概ね定格電流が1A以上のものがパワー半導体に分類され、エアコン・テレビ・自動車など、人々の暮らしを支える製品には不可欠な存在です。

その性質から、主に電圧・周波数の変更や、直流・交流の電力変換に用いられます。社会全体で省エネ化・省電力化への意識が高まったことにより、電気の無駄を削減できるパワー半導体の需要もまた高まっているのです。

ロジック半導体

ロジック半導体とは、電子機器の「頭脳」の役割を担う半導体で、パソコン・スマートフォンにはCPU(中央演算処理装置)等として搭載されます。CPUは、パソコンのマウス・キーボードなどの入力装置や、ハードディスク・メモリなどの記憶装置などから受け取ったデータを制御・演算する役割を担っています。

他には、積和演算の高速処理に特化したDSP(デジタルシグナルプロセッサ)もロジック半導体で、オーディオ画像の信号処理・モータ制御などに利用されます。最先端のロジック半導体の生産には、1工場当たり1兆円を超える巨額の投資が必要ともいわれており、日本政府も国産化を後押しする方針です。

 

3.代表的な半導体の種類

半導体は、それぞれの製品によって機能が異なるため、電子機器に埋め込む目的によって、利用する半導体の種類も変わってきます。数多くの種類があるため、この記事では特に重要な半導体の種類をいくつかご紹介します。

ディスクリートとモジュール

半導体を構造によって大まかに分けると、ディスクリートとモジュールの2種類に分かれます。

ディスクリートとは、英語で「個別」・「個々の」という意味を持つ単語で、単一の機能を持つ半導体のことをいいます。分かりやすい例としては、電流を一方向に流す「ダイオード」や、電流をコントロールする「トランジスタ」などがあげられます。

これに対してモジュールは、それ自身が多くの部品を含む「ひとかたまりの部品群」のことを指し、例えば複数個のパワー半導体を組み合わせた「パワーモジュール」や、4個または6個のダイオードをブリッジ状に接続させて交流を直流に変換する「ブリッジダイオード(ダイオードモジュール)」などが代表的です。

代表的な半導体の種類

各種製品に搭載されている半導体の種類は多岐にわたり、求められる機能も異なります。以下、代表的な半導体の種類についてご紹介します。

集積回路(IC)

集積回路とは、トランジスタやダイオードなど、複数の素子(電子回路の構成要素)を一つの基板にまとめたものをいいます。集積度(回路1個あたりに組み込まれた素子の数)によって、SSI(Small Scale Integration)・MSI(Middle Scale Integration)・LSI(Large Scale Integration)等に分類されます。

オプト半導体

オプト半導体とは、電気を光に、光を電気に変換する性質を持つ半導体のことです。照明・信号灯に使用されるLEDは有名ですが、自動ドアの開閉スイッチや太陽光パネルにも用いられています。

センサー半導体

センサー半導体とは、外界の情報を検出して電気信号に変換するために用いられる半導体のことです。温度や色・圧力など、複数の情報をもとに制御・処理を行います。

ダイオード

ダイオードとは、電気の流れを一方通行にする半導体のことです。電流の整流だけでなく、ラジオの電波から音声信号を取り出すこともできます。光が当たっている間、継続して電気が流れ続けるものもあり、この性質は太陽電池に応用されています。

TVS

TVS(Transient Voltage Suppressor)とは、電圧を一定に保つ機能を持つツェナーダイオードの一種です。ツェナーダイオードは、一定の逆電圧をかけると絶縁が破壊され、電圧を一定に保ちながら電流が流れる性質を持っています。

ダイオードの場合、基本的に逆方向への接続は考えられておらず、一定以上の逆電圧を受けると破損してしまいます。しかし、TVSは逆電圧をかけることを前提に作られており、静電気や電源のバラつきなどによる想定外の過電流から、回路や半導体デバイスを保護する目的で使用されます。

パワーモジュール

パワーモジュールとは、複数個のパワー半導体を組み合わせて、1パッケージにまとめた製品のことです。電子機器の小型化、製造時の生産性改善(工程改善)に役立ち、産業機械・自動車・鉄道・新エネルギーなど広い分野で利用されています。

スイッチング素子(MOSFET)

スイッチング素子とは、電気のオンオフの切り替えを高速でできる半導体素子(トランジスタ)のことです。使用用途によってスイッチング素子も様々ですが、特にMOSFETは電圧駆動のため電力ロスが小さく、高周波動作にも適しており、近年の主力デバイスとなっています。

4.用途によって異なる半導体のニーズ

ここまでご紹介してきた通り、半導体はその用途次第で、製品に組み込む種類が異なります。自動車に使用するのか、産業機器に使用するのかによっても、必要な半導体は変わってきます。

新電元工業では、様々な用途に対応できるよう、多種多様な半導体をご用意しております。詳細は、以下URLよりご覧ください。

5.まとめ

半導体は、電子機器や自動車など様々な製品に搭載されていますが、すべてが同じ性質というわけではなく、目的に応じて搭載される半導体の種類は異なります。数ある半導体の中でも、パワー半導体・ロジック半導体は特に重要度が高まっており、日本でも国産化に向けた動きが見られます。

構造としては、大まかにディスクリートとモジュールの2種類に分かれ、用途は白物家電・電子機器・自動車など様々です。身近な家電だけでなく、最先端技術にも半導体は活用されているため、今後も多方面で需要は高まるものと予想されます。

トップへ戻る