• TOP
  • ビジネスコラム
  • なぜ電気自動車には半導体が不可欠なのか
    ~EVの構成要素や開発の展望~

なぜ電気自動車には半導体が不可欠なのか
~EVの構成要素や開発の展望~

  • column_vol18

電気自動車に欠かせないものの1つが電子機器をコントロールする役割を担う半導体です。電気自動車はほとんどが電子機器で構成されているため、半導体の性能が電気自動車の性能に直結するといわれています。

電気自動車についてある程度知識があっても、車載半導体について十分に理解できていないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、電気自動車における半導体の使われ方や半導体開発が電気自動車の発展に直結する理由、近年の開発状況を解説します。この記事を読めば、電気自動車と半導体の繋がりを理解できるようになるでしょう。

【目次】

1.半導体は電気自動車にどのように使用されている?

半導体は電子機器の制御や電力の供給を行うために用いられます。そのため、電子機器を多く搭載し、電気の力で駆動する電気自動車には不可欠なパーツといえます。

電気自動車の駆動系は主に「バッテリ」「制御装置」「モータ」の3つの基本要素で構成されています。バッテリに蓄えられた電気が制御装置により直流から交流に変換され、交流電流によってモータを回転させることでタイヤを動かします。

電気自動車を動かす駆動系にも半導体は使用されています。まず、電気自動車を動かすためのバッテリやモータを監視するために半導体が必要です。

また、制御装置は直流を交流に変換する「インバータ」や電圧の大きさを変換する「コンバータ」などの電気回路で構成されていて、それらを制御するためにも半導体は使用されています。

他にも、電動ミラーやパワーウィンドウ、ナビゲーション、車載カメラ、各種センサー、通信機器などの走行支援機能のために半導体は使用されています。

このように、半導体は電気自動車を構成するほとんどの要素に半導体が使用されているため、電気自動車の発展は半導体の技術開発にかかっているといえるのです。

2.半導体開発が電気自動車発展のカギ

現在の半導体開発では、材料の高品質化と加工プロセスの高度化が進められています。中でも、カギになるのが半導体の「放熱性」と「小型軽量化」です。

半導体に電気が流れると熱が発生します。熱を上手く放熱できないと半導体や電子機器の性能に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。熱による不調を対策するために必要なのが放熱性です。特に大きな電力を使用する電気自動車は熱が発生しやすいので、半導体の放熱性が性能に関わるといえます。

電気自動車の発展には半導体の小型軽量化も欠かせません。現在、電気自動車が抱える主な課題に走行距離の短さが挙げられます。半導体の小型軽量化が進めば、その分大きなバッテリを積んで最大走行距離を伸ばしたり、車体の軽量化により走行性能や電費を改善したりすることができるでしょう。

また、半導体開発は主にSi(ケイ素)を材料として進められていますが、近年では新しい素材を使った車載用半導体の開発も活発化してきました。こういった新素材の開発が進めば、電気自動車の性能も更に向上すると考えられています。

3.近年半導体開発の活発化により電気自動車の性能が向上している

近年、半導体開発が活発化したことによって、電気自動車の性能が大きく向上しています。2010年に300~400万円で販売されていた電気自動車の航続距離は200km程度でしたが、現在は、同じ価格帯で航続距離400km以上の電気自動車が購入できます。

年々電気自動車の航続距離は伸びていて、海外では700kmを超えるものも販売されています。航続距離が600~1000kmのガソリン車と比べても遜色ないものとなりつつあるでしょう。

航続距離の他にも、半導体の小型軽量化による走行性能、充電時間、電費の向上もみられます。今後も開発が進んでいけば、より快適な自動車になっていくと考えられます。

また、電気自動車は使用用途に合わせて航続距離の短い車種と長い車種の2つに分類されるようになりました。買い物や通勤、子供の送り迎えなど近距離走行がメインの生活スタイルなら、航続距離を短くして費用を抑えた車、旅行や趣味のドライブなど日常的に長距離走行をしたいなら、バッテリ容量が大きく航続距離の長い車といったように、自分に合ったものを選択できます。

このように、生活スタイルに合わせた選択ができるようになったのも、半導体開発により低コスト化と高性能化が実現できたことが大きな要因です。今後も半導体の性能向上による電気自動車の発展に期待が高まります。

4.まとめ

半導体は電子機器の制御や電力の供給を行うために用いられるため、電気の力で駆動する電気自動車には不可欠です。駆動系を構成する「バッテリ」「制御装置」「モータ」の他、走行支援のための車載カメラ、各種センサーなどに使用されています。

半導体開発のカギとなるのは「放熱性」と「小型軽量化」です。放熱性が上がればより大きな電力を正確にコントロールできるようになり、小型軽量化が進めば航続距離や走行性能の向上が期待できます。

近年の半導体開発により、電気自動車の性能は大きく向上しています。それだけでなく、生活スタイルに合わせて航続距離の短い車種と長い車種を選択できるようにもなってきています。今後の電気自動車の進化にも期待できるでしょう。



小型軽量化・高放熱性に優れた製品事例

このコラムに関連する情報

トップへ戻る