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モビリティ分野の変化と脱炭素の関係|新たなビジネスの事例も解説

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モビリティ分野における脱炭素の流れとして、近年最も顕著なものの一つに、電気自動車の開発や普及に向けた動きがあげられます。しかし、モビリティ分野をより広い視点から捉えると、ビジネスモデルそのものが変化の兆しを見せています。これまでモビリティ分野に進出していなかった企業も、アイデア・技術次第で新たにモビリティ関連事業を立ち上げることが可能となり、実際に事業を立ち上げ軌道に乗せようとしている企業も少なくありません。この記事では、モビリティ分野の変化と脱炭素の関係について、新たなビジネスの事例に触れつつ解説します。

【目次】

1.多様化するモビリティ分野

モビリティ分野とは、一般的に自動車業界を中心とした交通関連業界を指します。これまで、モビリティ関連の事業は自家用車・バス・タクシー・鉄道・物流といったようにそれぞれ独立していましたが、近年ではIoT技術の普及などに伴い「移動」そのものに着目して事業展開する必要が生じています。このような変化が生じた背景としては、次のようなものが考えられます。

●移動手段の多様化
●ドローンなど「エアモビリティ」の登場
●慢性化しているドライバー不足 など

脱炭素化に向けたEV普及への動きも進んでおり、環境省では「グリーンスローモビリティ(時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービス)」の導入を推進しています。

官民ともに、モビリティ分野の変化に対応するため、新たに動きをかけている状況がうかがえます。同時に、これからモビリティ関連事業を立ち上げるのであれば、脱炭素を含む新たなニーズを満たすサービスの提供が求められるでしょう。

2.脱炭素化と関係が深いモビリティ分野の進化

近年のモビリティ分野の進化は、脱炭素化の促進という観点からも重要です。以下、特に関係が深いと考えられる点について解説します。

シェアリングサービスの拡大

カーシェア・サイクルシェアなど、ユーザーが自動車・自転車などを必要な時だけ借りて使用するタイプのサービスは、都市部を中心に普及が進んでいます。電動キックボードのシェアサービスを展開する株式会社Luupによると、新たに登場した電動キックボードは、1人キロあたりのCO2排出量が自動車の約1/40とされ、移動手段が自動車から置き換わることにより脱炭素化が進むものと予想されます。

EV普及に向けた動き

日本政府は「2035年までに乗用車新車販売で電動車100%」という目標を掲げており、クリーンエネルギー自動車普及と、インフラである充電器等の設置に向けて動いている状況です。現在ガソリン車に乗っているユーザーがEVに乗り換えるかどうかという点も含め、企業は今後の動きや普及スピードの早さを注視する必要があるでしょう。また、技術向上に伴い商用車の導入が進むことも予想されます。

自動運転技術の進化

実験段階のものも含め、自動運転技術は実用化に向けて進化を遂げており、これまでにない付加価値をモビリティ分野に与えようとしています。例えば、人がどこかに移動するだけでなく「モノ・サービスを人に届ける」仕組みが電気自動車の自動運転によって実現すれば、自家用車から排出されるCO2削減も見込めるでしょう。

3.モビリティ分野における脱炭素ビジネス事例

テクノロジーの進化によって、既存のモビリティ分野のビジネスモデルにとらわれない、新しいビジネスが登場しています。以下、脱炭素の観点から、具体的な事例をいくつかご紹介します。

相乗り型送迎サービス

相乗り型送迎サービスとは、複数人がアプリで予約後に相乗りする形で向かうなど、同じ目的地に向かう複数人を乗せて移動するタイプのサービスを指します。いわゆるカーシェアリングのように、各ユーザーが運転する車をシェアするタイプのサービスとは異なり、あくまでもサービス提供側が運転を担当します。

登場して新しいサービスのため、身近にサービスがないなどの理由から、現実味がないと感じる人は意外と多いかもしれません。しかし、このサービスに関しては、既に国土交通省が制度導入につき令和3年(2021年)10月29日付で通達を交付しており、同年11月1日から運用可能となっています。ユーザーは各種公共交通機関を利用する手間が省けるため、旅行・出張などの潜在的ニーズは高いものと推察されます。基地からの移動距離がある程度決まっている場合は、充電時間を調整しやすい分、電気自動車も導入しやすいでしょう。

駐車場予約サービス

全国各地の空きスペースを駐車場として活用する「駐車場予約サービス」は、自社の規模縮小などを理由に空いてしまった土地・駐車場を貸し出すことで、土地を寝かせることなく収益につなげられます。駐車場のニーズが高い都市部はもちろんのこと、地方であれば観光客向けの駐車場として貸し出すこともできます。

EV充電ビジネス

ガソリン車から電気自動車への置き換えは、将来的に日本国内においても徐々に進むものと考えられています。しかし、電気自動車の充電に関しては、2024年3月時点で充電施設の不足・充電速度の向上が進まないなどの問題を抱えています。考えられる理由としては、施設の維持にコストがかかること、過去に設置した充電器が耐用年数を迎えると撤去されてしまうことなどがあげられます。そのような中、自社で充電器を導入できる資金を確保し運用ノウハウを蓄積できれば、将来の収益増につなげられる可能性があります。

4.EV充電器の種類は多様

電気自動車の普及において重要なのは、多様な充電を実現できる設備が各地に整っていることです。長距離を走ることが多いユーザーにとっては、急速充電器の存在が重要ですが、普段の買い物などに使用するケースにおいては普通充電器でも用が足りる場合があります。充電器の設置は、EVユーザーに充電場所を提供して収益を得るほか、自社のEV導入体制を整えることにもつながります。新電元工業では、次のような様々なタイプの充電器をご用意しております。

5. まとめ

モビリティ分野は、これまで独立していた事業が統合に向かいつつあり、移動手段も多様化しています。脱炭素化に向けたEV普及への動きも進み、自動運転技術のような新技術も実用化が近づいています。そのような中、新たにモビリティ分野で事業展開を試みるのであれば、脱炭素に注目したビジネスモデルを検討すべきです。自社としてビジネス展開の方向性が定まらない場合は、日本国内のEV置き換えを睨み、まずはEV充電器の設置から始めてみてはいかがでしょうか。

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