省エネ発電機の特徴・種類|インバータの重要性についても解説

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仕事現場や災害時などに使われる発電機には、様々な種類があります。発電機の中には、省エネの観点から優秀な製品もあるため、ランニングコストを抑えたい場合は魅力的でしょう。しかし、実際に発電機を導入する際は、それぞれの種類・特徴を把握した上で、自社のニーズに合うものを用意する必要があります。この記事では、省エネ発電機の特徴や様々な発電機の種類について、発電機の性能を左右する“インバータ”の重要性に触れつつ解説します。

【目次】

1.省エネ発電機とは

省エネ発電機とは、一般的に「従来の発電機に比べて燃料・導入コストを抑えた発電機」のことだと考えられています。具体的には、次のような特徴を持った発電機が該当するものと考えて良いでしょう。

●負荷に応じて最適なエネルギー消費となるようエンジン出力が制御されている
●使用する燃料のランニングコストが低い など

燃料消費量が抑えられると、二酸化炭素(CO2)の排出量削減にもつながるため、現場で発電機を使うことが多い業種では省エネ発電機の存在が重要性を増しています。しかし、省エネ重視で選んだ製品が現場で使えないとなっては本末転倒ですから、導入時は機能面も吟味した上で選ぶ必要があるでしょう。

2.発電機の種類から考える省エネ性能

一口に発電機といっても様々な種類があり、どのような観点から判断するのかによっても、その発電機の省エネ性能が高いかどうかは変わってきます。以下、発電機の種類の違いと、省エネ性能について解説します。

軽油発電機

軽油発電機は、ディーゼルエンジンと結合して発電するタイプの発電機で、総じて大型になる傾向にあります。吸い込んだ空気を圧縮して高温にした後、燃料を噴射して爆発燃焼させる仕組みです。

周囲の空気環境に影響されることなく、パワフルな出力を保つことができるのが、軽油発電機の利点です。また、燃料である軽油は比較的安価であることから、ランニングコストも安い傾向にあります。

ただし、軽油は酸化によって劣化が起こりやすく、運転時の震動・騒音は大きく排気に黒煙が混じります。脱炭素・カーボンニュートラルという観点から考えた際、将来別の選択肢を模索することになる可能性が高いため、長期的な視点で見ると導入を見送らざるを得ないかもしれません。

ガソリン発電機

ガソリン発電機は、ガソリンエンジンで動く発電機で、比較的小さめのサイズの製品が多く見られます。軽油タイプに比べて震動・騒音が少なく、本体価格も安めの傾向にあります。

通販やホームセンターで買えるほど一定量が流通しているため、用途に応じて好みの発電機を選びやすいのも特徴です。また、動作にあたり気温の影響を受けにくく、寒冷地においても安心して利用できます。

ただし、ガソリンは発電以外にも車の燃料などに用いられることから、有事の際に燃料を確保できない恐れがあります。また、燃料の備蓄も難しい傾向にあり、軽油よりも燃料代が高くなるため、ランニングコストを抑えたい場合はデメリットが大きくなるでしょう。

ガス発電機

ガス発電機は、液化天然ガスを燃料に使用するタイプの発電機です。CO2の排出量が石油に比べて少なく、排出ガスもクリーンという特徴があります。

ガス発電機の燃料に用いられるのはLPガスで、家庭でも使用されるほど一般的な燃料のため、比較的扱いやすい部類に数えられるでしょう。石油と違い、ほとんど劣化しない性質を持っており、長期間保管しても劣化せず、調達がしやすいというメリットもあります。

省エネ・環境配慮という観点から考えると、非常に魅力的な発電機ですが、導入コストが軽油発電機等に比べて割高という欠点もあります。現段階で一気に導入せず、他社等の普及度合いを見てから本格導入の時期を判断しても遅くないかもしれません。

3.省エネを考慮した発電機の選び方

発電機を省エネの観点から選ぶ場合は、極力無駄なく目的に沿うものを選びたいところです。以下、省エネ性能を考慮した発電機の選び方について解説します。

使用する電気機器に応じて選ぶ

使用する電気機器によって、必要な発電機の性能は異なります。発電機を導入する際は、現場等で使用する電気機器の種類や数を考慮して選ぶようにしましょう。

例えば、作業にパワー・持続力が必要な場合は、電力が安定する軽油発電機・ガス発電機などを検討する形になるでしょう。充電器・パソコンなどの使用も想定するなら、良質な電気供給ができるインバータ搭載のものを選ぶのが理想的です。

用途で選ぶ

非常用電源として使用することを想定しているのか、現場でブロワやバキュームクリーナーを使用するのかなど、用途によって使える発電機が変わってきます。起動時に消費する電力が高い電気機器もあるため、それを踏まえた上で発電機の総必要発電量を検討することが大切です。もちろん、その上で比較検討して、ランニングコストが安いものを選べればなお良いでしょう。

サイズで選ぶ

パワーが十分でも、簡単に持ち運びできないサイズの発電機だと、運搬等のコストが発生してしまう恐れがあります。発電以外にコストが発生しないよう選ぶのが理想ですが、もし運搬コストが発生するようなら、その点も考慮してサイズをチェックしたいところです。

4. 発電機の高性能化に欠かせない「インバータ」

発電機の性能向上において、良質なインバータが搭載されているかどうかは重要なポイントになります。インバータによって安定した出力が発揮できれば、家庭用コンセントと同じ電力を出力することが可能になり、幅広い用途に対応できます。

結果として、用途に応じて複数の発電機を用意する必要がなく、長い目で見て省エネにつながるでしょう。新電元工業では、エンジン回転数を制御する電子ガバナのドライバを搭載したAC-ACインバータを開発しており、エンジン式発電機の小型化に貢献しています。

5.まとめ

省エネ発電機を選ぶ際は、単純にランニングコストが低い発電機を選ぶだけでなく、負荷に応じて最適なエネルギー消費を実現する機能にも注目するとよいでしょう。燃料に関しては、軽油・ガソリン・ガスなど複数の選択肢があるため、運用上負担が少ないものを選びたいところです。

また、どんな電気機器を使うのか、どんな目的で使うのかによっても、選ぶ発電機の方向性が変わってきます。複数の用途に使用するため、高品質の発電機を選ぼうと考えているなら、インバータの性能に着目して選ぶことをおすすめします。

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