両輪で進める。クリーンエネルギー自動車とEVインフラの普及

脱炭素社会の実現や地球温暖化対策の観点から、世界的にEVの導入が推し進められています。日本政府は「2035年までに、乗用車新車販売で電動車*100%」という目標を掲げ、クリーンエネルギー自動車の普及と、インフラとしての充電器等の設置を、車の両輪として進めていくこととしています。
*電動車=EV、FCV、PHEV、HEV

2023年 10 月には、経済産業省は電動車の普及と表裏一体である充電器について「充電インフラ整備促進に向けた指針」を策定し、「ユーザーの利便性向上」「充電事業の自立化・高度化」「社会全体の負担の軽減」を三原則として、利便性が高く持続可能な充電インフラ社会の構築を目指すと示しました。更に、同指針では、EV充電インフラの多様な利用形態の実現に向け、不特定多数の方が利用する公共用充電施設では、ユニバーサルデザイン・バリアフリー対応を進めることとしています。

EV社会実現に必要なもの「ユニバーサルデザイン」「バリアフリー」

翌年、経済産業省・国土交通省が策定した「電動車のための公共用充電施設における ユニバーサルデザイン・バリアフリー対応に関するガイドラインガイドライン」では、考慮すべき標準的な設計・設置、整備の内容がより具体化されました。

日本では1970年頃からユニバーサルデザイン・バリアフリーの取組みが始まり、今日に至るまで建築や日用品などあらゆる分野で取り入れられてきましたが、まだ未成熟なEV充電インフラ市場においては、これまであまり言及されたことがありませんでした。しかし、今後、EV充電インフラにおけるユニバーサルデザイン・バリアフリーが進むことで、充電器の普及自体もさらに加速すると期待されています。

“車いすで使いやすいEV急速充電器”の登場

これらの業界内の動きに先駆けて、新電元工業では2021年7月にユニバーサルデザインをコンセプトとしたEV充電器「SDQC2F60」を販売開始していました。当社の企業精神である「私たちの約束」のもと、市場の声を聞いてユニバーサルデザインを取り入れたEV充電器の開発をいち早く進めており、その後発表された経産省の指針から見ても、正しい方向性に進んでいたことが明らかになりました。

SDQC2F60は誰もが使いやすいEV充電器を目指し、薄型・低背を特長としたEV充電器です。装置全高を約1.4mに、ICカードタッチ部の高さを約1mに抑えており、車椅子利用者は手をのばすことなく操作パネルを操作することができたり、見上げることなく操作画面を確認することができます。

また、充電スポットには、機器本体と保守スペースの確保が必須であり、さらに充電器利用者の利便性を追求すると利用スペースも最大限に確保したいところです。SDQC2F60の装置の薄さはわずか350mmのため、狭小地や建物と駐車スペースの間が近い場所にも、保守スペースと利用スペースを確保しつつ設置することが可能です。さらに、2つある操作パネルは左右にそれぞれ配置されていて、約1.8mも離れています。同時充電時には、相手とぶつかることも、焦ることもなく、安心してゆっくり操作できます。

誰もが快適に過ごせる明日を目指す

2024年には、当社は大阪府で開催されたバリアフリー展2024に、SDQC2F60を目玉に出展しました。当社ブースでは、SDQC2F60の車椅子体験コーナーを設け、実際に来場者に車椅子でのSDQC2F60の操作を体感してもらい、「使いやすい」と好評の声をいただきました。またメディアでは“車いすで使いやすいEV急速充電器”として取り上げられ、世の中から注目を集め、ユニバーサルデザインを取り入れたEV充電器の注目度の高さが鮮明になりました。

新電元工業では、いつの時代もそれぞれのお客様に最適な価値をお届けするために、常に新しい可能性を追求しています。「ユーザーの利便性向上」「充電事業の自立化・高度化」「社会全体の負担の軽減」を三原則としているなかで、当社はユニバーサル以外にも、見せない充電器やMITUSといったバラエティ豊かなラインナップをそろえています。今後も、さまざまな社会課題の解決に製品やサービスを通して貢献し、誰もが平等に快適に過ごすことができる社会・環境の実現を目指します。

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