インドにおける人気バイクの排気量|ユーザーのニーズについても解説
アジア諸国ではバイクが重要な移動手段として用いられており、特にインドのバイク市場は世界最大級の規模で知られています。インドのバイク市場には、多様なニーズを満たせる車種が数多く存在しており、排気量にもバリエーションが見られます。
また、特に人気を集めているバイクは、その多くが日本の二輪免許における「小型(125cc以下)」から「普通(400cc以下)」の排気量の範囲に収まっています。この記事では、インドにおけるバイクの人気車種につき、主に排気量に焦点を当てて解説します。
【目次】
1.インドで人気のバイクの主な排気量
日本貿易振興機構(JETRO)によると、2023年10月-11月の販売台数を見る限り、インドでは総じて低排気量のモデルが人気を集めています。モーターサイクルモデル、スクーターモデルともにその傾向は変わりません。
具体的には、100-125ccのモデルが人気を集めており、スクーターモデルにおいてはEVも上位に食い込んでいる状況です。また、いわゆる激戦区にあたるクラスは「エンジン排気量125cc以下・価格10万ルピー」と言われており、移動を主な目的とする層・手軽にバイクに乗りたい層などが、このクラスのバイクを購入するものと考えられます。
150-300ccのバイクを選ぶ層の中には、高回転時のエンジン出力性能を高めたモデルを求めるユーザーもおり、こちらは若年層向けといえます。もちろん、125ccを超えるモデルもショールームには展示されており、350cc以上のモデルに興味を示すユーザーは決して少なくありません。
350cc以上のモデルを求めるユーザーは中年層が多いものと考えられており、耐久性や低中速域の走行性能を重視したモデルが目立ちます。ちなみに、インドの二輪車運転免許は排気量別で限定されていないため、日本のように原付・普通二輪・大型二輪といった「一定の免許上限排気量」を想定したモデルが多くなる傾向は見られません。
2.インドでのバイクの用途別排気量
インドにおいてバイクは重要な交通手段の一つであり、排気量に応じて用途も変わってくる傾向にあります。以下、インドでよく乗られているバイクの排気量と、ユーザーのニーズについて解説します。
125cc以下
125cc以下のバイクは、そもそもインドのみならず世界規模で人気を集めています。インドや東南アジアでは、通勤時間帯にバイクの群れが道路を塞いでしまうことも珍しくありません。このクラスのバイクは、燃費が良くパワフルに動き、比較的安価であることから、日常生活の”足”として重宝する人が多い傾向にあります。耐久性・信頼性の高い125cc以下のバイクは、今後もインド国内で高い需要が見込まれます。
150-200cc
150-200ccクラスは、インドにおいて競争が激しいセグメントの一つに数えられ、実用性とパフォーマンスのバランスが求められます。バイクの走行性能やデザインに優れる車種が多く見られるため、高速走行も想定しているユーザーにとっては期待に応えてくれる車種が見つかりやすいでしょう。ルックス・機能・楽しさなど、総合的なバランスをバイクに求めるユーザーにとっては、こちらが最適なセグメントといえるかもしれません。
350-500cc
インドで古くから支持を集めてきたバイクの多くは、排気量が350-500ccに集中する傾向が見られます。路面がしっかり舗装されていない道路や、都市部から山道へ移り変わる際などの路面の変化を捉えるにあたり、インドでは力強さと取り回しのバランスに優れた350-500ccのバイクが優秀とされてきました。複数人を乗せたり、荷物を積載したりする際にも、そのパワーは有用と考えられます。
3.インドの近年のバイク排気量とEVの台頭
近年、インドでは付加価値を高めた中排気量バイクの登場・二輪EVの台頭などがトレンドとなっています。以下、詳細を解説します。
ニューモデルの登場
日本貿易振興機構(JETRO)のレポートによると、インドにおける販売上位7メーカーが2023年に発表したニューモデルの多くは、付加価値を高めた400cc程度の中排気量域モデルとなっています。一般的に、こちらは小排気量モデルを卒業した若年層がステップアップする領域とされますが、予約開始から1ヶ月で25,000台強を受注し注文受付に至ったモデルもあり、その人気の高さがうかがえます。
二輪EVの台頭
インド中央政府は、大気汚染対策・カーボンニュートラル目標達成の観点からCO2ゼロエミッションのEV拡大支援を進めており、2030年における二輪車新車販売の8割をEVとすることを目指しています。2023年時点では実績約63万台、二輪車販売全体の4%という数値であるものの、ガソリンモデル同様に安い価格帯のモデルが登場していることから、バッテリ容量・航続距離の進化にともないシェアを伸ばすことが予想されます。
4.ガソリン車・二輪EVともに重要な「電装製品」
ガソリン車のバイク・二輪EVともに、走行・制御面での高性能を実現するためには、高品質の半導体が搭載された二輪車向け電装製品の性能も重要なポイントになります。新電元工業では、ガソリン車・EVそれぞれに対応したユニットを数多くラインナップしています。
レギュレータ/レクチファイア(REG/RECT)
交流発電機(ACG)の出力を整流してバッテリに充電しつつ、バッテリの電圧を一定に保つための製品です。バッテリ充電制御・ランプ電圧制御が主な用途で、低損失・高性能の自社製半導体を使用し高温環境下に耐えられる構造設計を実現しています。
点火ユニット(TCI , CDI方式)
エンジンのシリンダー内に供給された燃料を点火・燃焼させるための電装製品で、バッテリ接続なしでも点火できます。キック始動用電解コンデンサが内蔵されているほか、CPUも搭載しているため、点火制御・車両負荷制御等への対応も可能です。
灯火器制御ユニット(ウインカーリレー, LEDコントロールユニット)
灯火器制御用ユニットで、ウインカーやハザード点滅等の制御のほか、車両に搭載する様々なランプを制御可能です。
アイドリングストップ対応ECU
発電機を始動モータとして制御し、アイドリングストップを実現するためのECUです。始動モータ制御のほか、バッテリ充電制御、燃料噴射式点火制御にも最適です。
二輪EV用制御ユニット(パワーコントロールユニット)
EVの動力源である三相ブラシレスDCモータを駆動するユニットで、二輪EVシステムの管理のほか、デジタル位相制御、高電圧・大電圧駆動、過電圧・温度上昇・感電保護等の性能が充実しています。
5.まとめ
世界最大級の規模を誇るインドのバイク市場では、低排気量モデルが主流となっています。特に100-125ccクラスは、通勤や日常利用で人気が高く、手頃な価格帯も需要を後押ししています。他の排気量モデルに目を向けると、若年層には150-300cc、中年層には耐久性を重視した350cc以上のモデルが人気ですが、近年では付加価値を高めた400ccクラスのニューモデル、政府の推進する二輪EVも注目を集めています。二輪EVに関しては、バッテリ容量や航続距離がユーザーのニーズに堪えられれば、シェアを伸ばすことも十分考えられるでしょう。