取締役 兼 専務執行役員 財務統括
受川 修
中期経営計画期間における業績・財務成果の振り返り(成長性、収益性、安全性、効率性など)を、キャッシュ・アロケーション(事業・成長・人財投資、株主還元)と事業ポートフォリオの進展(中計振り返りと新中計方針)を踏まえて教えてください。 尚、政策保有株式の縮減やPBR1倍割れの改善についても言及をお願い致します。
第16次中期経営計画の振返り
2024年度は、「第16次中期経営計画」の最終年度として、売上高1,180億円、営業利益率6.6%という目標を掲げ、各種施策を推進してまいりました。しかし、原材料費や物流費の高騰やモビリティ分野における電動化の進展遅れなど外部環境の変化への適応が十分でなく、収益性の低下や伸長事業の伸び悩み、環境配慮型製品の市場性の再検討、といった課題を残しました。また、デバイス事業構造改革の関連費用が損益に大きく影響したことなどにより、売上高は1,058億円、営業利益率は0.1%と目標には届かない厳しい結果となりました。
第17次中期経営計画
2025年度より始動する「第17次中期経営計画」では、「強固な事業基盤の確立と資本効率の向上により成長ステージへ」という基本方針のもと、2027年度に売上高1,200億円、営業利益率5.0%、ROE6.0%の達成を目指しております。
事業を通じて脱炭素社会に貢献するとともに、人的資本価値の最大化に向けて「安定収益の確保」「社員への利益還元」「新たな付加価値の創出」を主眼に、持続的成長への好循環を生み出してまいります。そのために事業損益まで資本コストを取り入れるほか、機能別に経営戦略、事業戦略を下支えする横串戦略を導入し、限られた経営資源で最大の効果を発揮してまいります。さらに、貸借対照表の効率化に向けて、政策保有株式の縮減や遊休資産の処分も加速的に進めていく所存です。
当社はPBR1.0 倍割れの状態が続いており、この状態からの脱却は当社にとって喫緊の課題です。第17次中期期経営計画をやり切ることで、マーケットからの評価を高めて、PBRの上昇につなげてまいります。
成長投資
成長投資として、自律的な成長(オーガニックグロース)に加え、M&Aやアライアンスなどの非連続的成長(インオーガニックグロース)にも積極的に取り組んでいます。最近では、京セラ株式会社が分社化するパワーデバイス事業の子会社化を公表しましたが、これもその一環です。当社の技術力や製品との融合により競争力や企業価値の向上に繋げてまいります。
また当社は人的資本経営に取り組んでおり、人的資本への投資も重要視しています。企業の価値創造の源泉は人の成長であると捉え、従業員のエンゲージメント向上や研修制度の充実化を通じて、スキル開発を促進し、持続可能な組織力の強化を図っています。
株主還元
株主還元につきましては、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題のひとつと位置付けており、業界における競争力を維持・強化するための内部留保、株主資本利益率の水準、業績などを総合的に勘案して成果の配分を行っていくことを基本方針としております。この基本方針の下、前期に続き当期純損失を計上した状況を踏まえ、1株当たり65円で株主の皆様への還元を行わせていただきました。
ステークホルダーの皆様へ
第16次中期経営計画の振り返りを真摯に受け止め、2025年度より始動した第17次中期経営計画で掲げる戦略や施策を着実にクリアしていくことが、ステークホルダーの皆様との信頼関係を築いていく上で非常に重要であると捉えています。
ステークホルダーの皆様との積極的な対話は非常に重要なものと認識しております。特に株式市場においては株主の皆様から信頼いただけるよう、当社から能動的にコミュニケーションの場を設けていきたいと考えています。また、原点に立ち返り、改めて当社の強みや存在意義を世の中に伝える、即ち、ブランディング強化も併せて取組んでまいります。ステークホルダーの皆様からの声を聞き、新電元の将来や経営戦略などを議論していければと思っています。
引き続き、新電元の持続的な成長に向けて、企業価値の向上と資本効率の最適化に全力で取組んでまいりますので、今後とも、皆様のご支援とご理解を賜りますようお願い申し上げます。
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