• 社外取締役インタビュー
  • 西山佳宏

Q1. 社外取締役に就任されてから1年が経過しました。この1年間の振り返りをお聞かせください。

社外取締役のミッションの一つでもある“適切な助言”に向けて、初年度は「新電元がどういう事業を行い、事業環境はどのようなものか」に専心しました。その結果、「デバイス」「電装」「エネルギーシステム」の3事業それぞれのマーケット及び事業特性が全く異なることを明確に認識することができました。また工場に訪問し、現場の製造プロセスや熱心に働く従業員の方々の観察、各事業部或いは工場の責任者との面談を通じて、私なりに当社のDNAを感じ取ってきました。
現時点で私が捉えた新電元のDNAは、「電気を効率的にマネジメントすること」です。世界がAIやEVの時代へと今後大きく変貌する際にも、社会に果たす新電元の役割は大きいと実感しておりますので、私なりにその方向性をサポートしていけたらと考えております。
一方、ガバナンスの観点から振り返りますと、世の中的に様々な事案がありました。当社においても大小に違いはありますが、幾つかのリスクやそれに伴った課題があったことは否めませんでした。基本的にそれらのリスクに対して、応急措置は完璧に行われていた一方で、恒久対策に関しては社外取締役の立場から幾つか問題提起しましたので、引続き経営陣で検討を重ねてまいります。

Q2. 企業価値向上に向けた新電元グループの現状の課題を、ご自身の専門領域の点も含めお聞かせください。

デバイス事業は、中国市場への依存度が一定程度大きい為、今回のような中国市場の負の影響を受け在庫が積み上がるなど、経営上ネガティブな事象が生じました。この事象が一時的なものか、或いは米中対立にみられる構造的に断続的なものなのかについては、一つの大きな経営判断だと思っております。私自身は、中国市場の回復は暫く難しいという立場をとっており、それを前提とした戦略を検討するべきと考えます。その意味において、デバイス事業は「転換期」に差し掛かっていると言え、経営にとってはチャレンジングな状況が続くものと思います。
一方、電装事業は、現在「収穫期」に入っているようなサイクル感にあるという認識です。旺盛な需要に対して供給体制を如何に整備していくか、場合によっては設備を増強するなど、非常に良いポジションに位置していると思われます。
また、エネルギーシステム事業は、将来的な成長分野「EV」市場向けに、自社ブランドの急速充電器などを開発から販売、アフターサービスまで展開するなど、今後の当社の中核事業と成り得る可能性があると思います。足下の収益は若干厳しい状況にありますが、当社のDNAの観点から鑑みても、「ここは歯を食いしばってでも頑張るべき」と考えております。

Q3. 次の1年間、特に注力したいことをお聞かせください。

  • 西山佳宏

当年度は、海外拠点の視察を予定しており、新電元グループにおける国内・海外のネットワーク及び事業の在り方について考察を深めて参ります。
中国市場が低迷してインド市場が台頭するといった、マーケットの中長期の変化に対して「当社はどういう体制を整備していくべきか」、今年度中に次年度以降の計画、即ち新中期経営計画の策定期間に入ることから、当年度の海外視察を踏まえた考察と私のこれまでの経験をミックスした有意義な提言ができればと考えております。

Q4. ステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いいたします。

新電元のDNAを実感しつつあることもあり、私は新電元に対して「次世代の社会においても重要で不可欠な製品を創出する」という期待感を抱いております。そして、その期待を如何に実現するかは、経営の仕事です。例えば、成長戦略として位置付けるEV用の急速充電器。当社の強みは、開発からアフターサービスまで自社で貫徹できることです。マーケットは今後も有望ですが、参入企業も非常に多く、その中で如何に勝ち残っていくかが大きな経営課題です。
そのような経営環境の中で、ステークホルダーの皆様には、足下の利益水準だけに固執せずに、中長期の視点で当社を見守って頂けますと幸いです。その為に、これまで以上にフランクな議論を行い、田中社長のリーダーシップの下、事業を成長していけるよう私なりに努めて参ります。

Q1. 社外取締役に就任されてから1年が経過しました。この1年間の振り返りをお聞かせください。

当社の事業内容や事業環境を理解することが先ず一番であると考え、初年度は、秋田新電元、新電元スリーイー、岡部新電元といった、主要な拠点を視察させていただきました。半導体工場の現場を見る初めての機会であり、貴重な体験でもありました。現場の従業員の方から説明を受け、初歩的なところから質問もさせていただき、私なりに当社の事業に対する理解が深まったと感じております。各工場内は、コンパクトに整頓されており、当社独自の生産設備を使うなど、オーダーメイドなモノづくり、高い技術力や専門性を有していること、などが強く印象に残りました。
もう一つ私が強く感じたことは、当社には社外役員の意見を広く受け入れる土壌が備わっているということです。取締役会はもちろんのこと、今年度は取締役会以外においても役員が意見交換する機会があり、実際に私も率直で忌憚のない意見を述べさせていただきました。このようなオープンな姿勢は、当社にとって必ず良い方向に向かうはずなので、是非継続して頂きたいと思いました。

  • 北代八重子

Q2. 企業価値向上に向けた新電元グループの現状の課題を、ご自身の専門領域の点も含めお聞かせください。

当社には、経営理念「社会と共に、顧客と共に、従業員と共に、成長する企業」と、企業ミッション「エネルギーの変換効率を極限まで追求することにより、人類と社会に貢献する」といった2つのビジョンがあります。このビジョンは、社員一人一人に行き渡っており、その成果として現在の当社が形作られてきたことを感じます。
これらのビジョンの実践を通じて企業価値を高めていくことは、当社が持続的成長していくうえで非常に重要です。しかしながら、短期的にその実現は容易でなく、実際に新電元が取り組んでいる事業には長期的な視点が必要な事業も含まれています。当社はステークホルダーの方々に対して、そのような事業特性や進展状況をしっかりと説明し、理解を得ていく必要があります。

Q3.次の1年間、特に注力したいことをお聞かせください。

  • 北代八重子

私の専門分野としては「法務・コンプライアンス」になりますので、当社のガバナンス体制がしっかりと整備され、且つ運用されているかについて、今年度も引き続き注力して参ります。
持続的な成長に向けて多様な人財を活用することが常識となる一方で、人口減少の著しい日本の中において、優秀な人財の獲得が益々困難になってきている状況があります。将来を見据えて、当社にどのような人財がいるのか、どのように活躍していただくのかといった視座をもって取り組みたいと考えています。
「女性活躍」の点については、まだまだ改善の余地があると言えます。当社の女性社員の人数は相対的に少なく、管理職比率も低く推移しております。次世代の女性社員が目標とするロールモデルの発掘や活躍の仕組みとしてのマイルストーンをつくれるよう、私なりに取り組んでいけたらと思っております。

Q4. ステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いいたします。

コロナの影響が色濃く残っていたせいか、当初朝霞事業所に対して閑散とした印象を抱いていました。しかし最近は、出社する社員の人数も増え、人の輪が至る所に出来るなど、とても活気を感じるようになりました。それは本当に小さな事象かもしれません。ただ、そういう小さな事象から様々な発想やアイデアが生まれ、良い方向に進む好循環が生まれるものと思っております。田中社長もそのようなことに言及されておりましたし、社員へのメッセージを定期的に発信されておりますので、私もコミュニケーションを大事に、社員の皆様とともに企業価値向上に向けて取り組んで参ります。

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