Q1. 第17次中期経営計画初年度の進捗についてどのように評価していますか。
西山社外取締役(以下、西山):第17次中期経営計画(以下、中計)の初年度を振り返ると、非常に大きな動きが相次いだ一年であったと思います。
まず、これまで取組んできたパワーデバイス事業の構造改革の成果が現れてきたことです。2年間にわたって赤字に陥っていた事業をこの構造改革によって浮上させたことは、中期経営計画の達成にむけた足掛かりになったと評価しています。
また、将来への成長投資として、主要ターゲット市場であるインドの二輪市場にむけた新電元インディア第2工場建設などの追加投資やM&Aによる京セラ株式会社のパワーデバイス事業の取得が行われました。これらは当社にとって大きな投資であり、取締役会でも予定調和ではない活発な議論が交わされました。私の厳しい意見も含め、執行側が真摯に受け止めて対応してくれたと感じています。この中計期間中、これら2つのプロジェクトを仕上げていくことが短期的な目標となりますので、これをぜひ実現していただきたいと感じています。
北代社外取締役:(以下、北代):本中計では、「強固な事業基盤の確立と資本効率の向上により成長ステージへ」という大きな方針を掲げています。これに対してパワーデバイス事業のM&Aと新電元インディア第2工場の建設があり、中計実現にむけて大きな一歩を踏み出したと理解しています。
先般、インドのプロジェクトの説明会を実施していただきました。当社が、2001年より、他社に先駆けてインドへ進出し、知見を積み重ねてきた経緯をふくめ、より理解を深めることができました。これからますます可能性が広がっていくのではないかと期待しています。
長田社外取締役:(以下、長田):私は2026年6月から社外取締役に就任いたしました。中計初年度については、業績の黒字転換や中計達成にむけた取組みを推し進めた成果を評価しており、当社が大きく変わろうとしている期待感を持っています。
私自身も当社の強みや課題を深く理解して一刻も早くキャッチアップし、海外営業や事業投資、買収・提携といった多岐にわたる事業経験を、当社の企業価値向上に活かしていきたいと考えています。
とりわけ、グローバルな成長戦略については、積極的にサポートするとともに、長期的成長に向けた助言も行ってまいります。特に買収や投資に関しては、計画との乖離が生じやすいため、課題を早期に察知し、迅速な対応を促す体制や仕組みづくりに貢献したいと考えています。また多数の海外子会社に対してグローバルなガバナンスが実効的に機能しているかを注視し、企業価値の持続的な向上を支えてまいります。
Q2. 今後の中期経営計画の進捗についてどのようにモニタリングしていくお考えですか
西山:2つのプロジェクトがそれぞれ、計画値と比較して順調に進捗しているかをしっかりと見ていくことに尽きると思っています。仮に2年目、3年目に、想定していなかった事象が起きれば、それはそれで皆で議論し解決していくのが、私たちの責任だと捉えています。
北代:本中計の重要テーマの一つである「インド市場の開拓」については、その進捗と成果を特に注視してまいります。たとえば新電元インディアの第2工場の稼働後の状況はどうか、生産規模の拡大と同時に新たな取引の拡大が進んでいるかなどを具体的に示していただき、単なる計画の追跡にとどまらず、事業が計画通りに拡大・発展しているかという視点でモニタリングしていきます。
長田:私自身のマネジメントポリシーでもある、Trust, but Verify(トラスト・バット・ベリファイ;信頼する、されど信頼し続けられるか検証する)で臨みたいと思います。海外子会社のガバナンスを例にとれば、ガバナンスルールにおいて、それぞれの子会社の強みや課題に合わせて基準が設けられていますから、それに沿って物事が進んでいるか、計画の進捗に適切に対応しているか、それがきちんと報告されているかなどを検証していくことになります。執行再度とモニタリングサイドが緊張感のある関係であることが必要だと思います。
北代:現時点の重要課題として、「スピード感ある意思決定と実行体制の確立」を挙げたいと考えます。「何を・いつ・誰が決めるのか」という判断の枠組みが曖昧であることが、組織の動きの鈍さにつながっているように感じます。
取締役会で議論すべき事項と、現場で迅速に決断すべき事項の線引きをより明確にすれば、全体のスピードは格段に上がるはずです。当社のような規模では、迅速かつ柔軟な判断こそが競争力の源泉であり、制度設計と運用の精度が重要です。
加えて、「ベンチマーク意識」の希薄さも課題です。他社との比較や業界内での立ち位置を定期的に検証することは、戦略の見直しに欠かせません。独自の強みを持つ一方で、外部との緊張関係が自社を客観視する機会となります。
社外取締役として、こうした視点を社内に持ち込み、対話を重ねることが私の役割だと考えています。
Q3. 持続的成長を成し遂げるうえで、当社が直面する課題をどのように捉えていますか
西山:中計において「2027 年度末までにPBR1倍以上を目指す」と記載されているように、まず、PBRの改善があります。これを実現するには、「稼ぐ力を付ける」ことに尽きると思います。いまある事業をどのように伸ばしていくのか、そして、基準を充たさない事業があれば、撤退ないし縮小によって取捨選択していくべきだと感じています。
パワーユニット事業は、新電元インディアの第2工場に象徴される二輪市場でのローカルメーカー開拓など、成長ストーリーが明確です。一方、パワーデバイス事業は、半導体産業において地殻変動が起きており、この事業が差別化商品やニッチ商品を通じて量より質を追うべきか、それともM&Aや提携によって市場を取っていくべきかの分岐点にあると認識しています。今後、事業の成長ストーリーの確度を高め、具体的に外部発信していくことが次期中計に向けた大きなテーマであり、個人的には今後の伸び代に大きな期待を感じています。
北代:当社を取り巻く事業環境の変化の早さを実感しています。先が見通せないなか、西山取締役が述べたように、当社がパワー半導体市場においてどのような立ち位置をとるのかが、これからの課題です。パワーデバイス事業のM&Aで獲得した製品バリエーションを活かして唯一無二のポジションを確立できるか、シナジーを発揮してどのような新たな展開につなげられるかだと思っています。
長田:EV化、脱炭素やAIの発展などの強力なグローバルトレンドの追い風を受けながらPBR1倍割れである状況を真摯に捉え、投資家が持つ将来に対する不透明感を払拭していくことが必要です。
当社は、高い技術力を持ち、半導体のみならずユニット製品までの設計・製造を手がける非常にユニークな存在です。私はここに大いなるポテンシャルを感じています。このアセットを今後どのように活かしていくのか、目指す成長プロセスについてIRなどを通じてしっかりと投資家を始めとするステークホルダーの方々に伝えていかなければなりません。
西山 中計にて掲げるROE6%の目標に対し、事業別の収益改善についてさらに議論を重ねる必要があると感じています。こうして成長投資と株主還元を巡るキャッシュアロケーション方針がよりクリアになれば、PBRの改善にもつながっていくと考えます。 そして、長田取締役がお話しになったように、こうした会社としての大きな方針をクリアにし、IRを通じて地道に発信していくことが不可欠です。方針の決定は難易度が高いと想定されますが、トップに委ねられた責任としてぜひ乗り越えていただき、私たちもそれに賛同して一票を投じていきたいと考えています。
北代:外部への発信力をもっと高め、やり抜く姿勢をもっと市場にアピールしていくことも必要だと思います。
長田:PBR1倍割れからの脱却を目指し行う改革は、当社が持続的に市場の期待に応え、成長するプロセスそのものになっていくはずです。そしてそれがこの状況をひっくり返していくことが、グローバルな優良企業としての成長につながるのではないでしょうか。
Q4. ステークホルダーの皆様に向けてのメッセージをお願い申し上げます。
西山:当社は、電気を効率的に利用する社会的意義の高い製品、今後ますます有望となる技術、そしてマーケットを有する企業であるといえます。私自身としては、特にパワーデバイス事業がより良き方向に進んでいけるように積極的に発言してきたいと考えています。
ステークホルダーの皆様には、この点を再認識していただくとともに、私たち取締役会も当社をさらに発展させ、企業価値を向上する取組みに邁進していきたいと考えています。
北代:就任して3年になりますが、非常に風通しの良い会社だと実感しています。昨年度、当社の課題として「スピード感のある意志決定と実行体制の確立」を指摘したところ、経営陣は真摯に向き合い、速やかに改善策を講じました。こうした対応は、当社が外部からの指摘に応えて変わろうとしている意志の表れだと捉えています。この変革の意志をしっかりと見届け、サポートしていきたいと考えています。
長田:当社は、時代が求める技術を磨き続け、誠実なモノづくりに取組んでおり、その誠実さと信頼感がお客様に評価されてきた企業といえます。私は、この伝統を踏まえながら当社のさらなる持続的な成長を支援し、ステークホルダーの皆様の期待に応える企業価値向上に寄与してまいります。
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