5GとIoTの未来|連携した際のメリットや先進事例を解説
超高速・低遅延・同時多数接続といった特徴を持つ5Gと、様々なモノをインターネットにつなげるIoTは、組み合わせることで更なる活用範囲の拡大が期待されています。スマートフォンなど各種端末における通信が速くなるというだけでなく、様々な分野でIoTを促進する効果も見込めるからです。この記事では、5GとIoTが連携した際のメリットやリスク・先進事例などを解説します。具体的にどのようなメリットや活用法があるのか探っていきましょう。
【目次】
1.5G・IoTとは何か
5GとIoTは、どちらも画期的な技術ですが、それぞれ実現できることは異なります。以下、5G・IoTとは何か、基本的な部分について触れていきます。
5Gとは
5Gとは、第5世代移動通信システム(5th Generation)の略称です。前世代である4Gと比較した際の特徴としては、次のようなものがあげられます。
<5Gの特徴>
超高速通信:2時間の映画を数秒でダウンロードできる
超低遅延通信:クラウドゲームの通信遅延も気にならない
多数同時接続:複数の機器を同時にネットワークに接続できる
ビジネスの分野においては、企業・自治体などが柔軟に構築できる「ローカル5G」にも注目が集まっています。
IoTとは
IoTとは、Internet of Things(モノのインターネット)の略称で、様々な機器をインターネットに接続して情報のやり取りを行い、便利な環境・サービスを実現させる技術のことです。IoTは、パソコンやスマートフォンといった通信端末に限らず、センサーや制御装置を搭載したあらゆる機器が対象となります。
2.5GとIoTが連携するメリット
5GとIoTが連携すると、どのような効果がもたらされるのでしょうか。5Gの3つの特徴「超高速通信」・「超低遅延通信」・「多数同時接続」の観点から解説します。
超高速通信
5Gの最高伝送速度は10Gbpsで、2時間の映画を数秒でダウンロードできるほど高速です。この超高速通信を活かすことにより、複数のIoT機器から高頻度で送られる大量のビッグデータをスムーズにやり取りできます。
各種機器から取得するデータ量は、多ければ多いほど詳細な分析・制御がしやすくなります。AIの機械学習で高性能モデルを構築し、高精度な物体検出・機器の自動化を進めたい場合にも、5G×IoTの組み合わせが有利です。
超低遅延
5Gの超低遅延は、IoTと組み合わせることで、1秒単位のシビアな判断を必要とするような「リアルタイム性」が求められる分野や産業に応用できます。
例えば、自動運転・遠隔操作技術の本格的な運用は、5Gの登場でより現実的になりました。自動運転車は数秒のブレーキの遅れが人命や物損につながる可能性があります。通信スピードは非常に重要な要素です。他の分野では、手術ロボットなどの遠隔操作もわずかな遅れが同じように人命に関ってくるでしょう。
反対に言えば、これらの問題点が超低遅延を実現する5G×IoTによって解決した場合、社会に与える恩恵は非常に大きいということが分かります。
多数同時接続
5G×IoTの連携がスムーズになると、複数のIoT機器の同時接続にも対応できるようになります。IoT機器を多数配置するケースとしては、工場内の自動搬送ロボット・ライン監視などがあげられます。
これらの機器には多くのセンサーが用いられているため、大量のデバイスと“同時に”通信することになります。5Gが登場するまでは、基地局側から通信許可を得てから通信を開始しなければならなかったため、通信が煩雑で同時多数がアクセスすると接続できなくなるリスクがありました。
しかし、5Gではグラント・フリーという技術で事前許可なく通信ができ、そのような事態が起こるリスクが減り、この技術によってIoTはさらに拡大するものと予想されています。5Gの多数同時接続という特徴を生かせば、スムーズに情報収集・分析ができるため、工場全体での作業効率化も期待できます。
3.5GとIoTが連携する際のリスク・注意点
5G×IoTを組み合わせることについては、メリットも多い反面、運用にあたり注意しなければならない点も存在しています。以下、5GとIoTが連携する際のリスク・注意点について解説します。
場所や地域によってはメリットが期待できない
5Gは、数百MHzの広周波数帯域や30~300GHzのミリ波などの高い周波数帯域によって超高速通信を実現しているため、障害物の多い屋内・電波が遮蔽されやすいトンネル内などでは、十分な効果を発揮できない可能性があります。高周波数帯域は、電波の直進性が強いため、障害物がある場合は電波が届く範囲が狭くなってしまうのです。
また、5Gの基地局・端末間の通信は無線ですが、基地局から先のコアネットワークは有線が大半です。そのため、光ファイバーの高速回線の整備が進められていますが、離島・山間地など整備が不十分なエリアでは、5Gのメリットを享受できない可能性があります。
データ保存コスト・通信コスト増
5GがIoTと連携して活用できるようになると、データ取得に必要なエッジデバイスを増やしたり、センサーによるデータの取得頻度が上がったりすることで、取得データが膨大な量になることが予想されます。また、大量のデータを保存・加工・分析するプロセスでは、サーバーの容量を十分に確保することが求められます。
新たなセキュリティ対策の必要性
5G×IoTの恩恵を受ける上で、エッジデバイスを多数配置することは重要なことですが、機器の性能が限られることから、セキュリティ対策にも限界があります。通信のサイバー攻撃ではIoT機器を狙うケースも増えています。ローカル5Gなど何らかの対策を講じることが必要です。
4.5G×IoTの先進事例
5G×IoTが実現するとどのような未来が訪れるのでしょうか。今後想定される事例をご紹介します。
インフラ向上
5G×IoTを利活用することでインフラ環境はさらに向上するでしょう。例えば、河川の水位計にセンサーを設置して遠隔で水位を測定できれば、災害を早い段階で察知できます。また、現在はドライブレコーダーに頼ることが多い交通事故の映像に関しても、信号機・道路に設置したカメラの映像で確認できるようになれば、事故状況の記録にも使えます。災害時の状況把握にも役立つでしょう。
スマートシティ
都市のスマートシティ化においても5G×IoTは大きな役割を果たします。例えばドローンでの遠隔監視や郵便物配送などが実現すれば、高層ビルで働く人々・タワーマンションで暮らす人々の利便性が向上します。医療の面では、ドローンによる血液の輸送ルートを確保することで、より迅速な人命救助ができるようになるでしょう。
農業
農業の分野でも5G×IoTは注目されています。農機具の遠隔操作による省人化、センサーによる農作物の状態チェック、害虫対策や生産の最適化など、非常に幅広い分野で応用が期待できます。
日本でもローカル5Gを活用したスマート農業実証プロジェクトが進められています。施設からドローン・トラクターの遠隔制御がスムーズにできるようになれば、少子高齢化で労働人口が減少する日本においても、地域農業の持続性が確保できるかもしれません。
5.まとめ
5Gは4Gに比べて、より多くのデータを高速で送信できるため、複数のデバイスとインターネットをつなぐIoT技術との相性が良く、様々な分野への応用が期待されています。特に、AIの機械学習や自動運転、医療用ロボットなどの分野での研究が進んでいます。
しかし、多量のデータを取り扱うことにより保存・通信コストが増えるなど、運用にあたってはいくつか懸念すべき点も存在しています。
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