5Gで今後はどう変わる?2022年の普及状況とこれからの展開

2022年7月掲載

2020年3月に商用サービスがスタートした5Gは、すでに私たちの暮らしに浸透しつつあります。5Gの普及により、今後の生活に大きな変化があるといわれていますが、具体的にイメージできる方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、5Gの特徴と現在の普及率を踏まえ、5Gがもたらす暮らしの変化を「生活の向上」と「社会課題の解決」という2つの側面から紹介します。

【目次】

1.そもそも5Gとは

5Gは「5th Generation」の略称で、「第5世代移動通信システム」を指します。4Gの次世代通信システムで、1980年頃に第一世代の1Gが始まって以来、約10年ごとに世代交代を繰り返してきました。

5Gの特徴は主に3つあり、1つ目は超高速通信、2つ目は超低遅延通信、3つ目は多数同時接続です。

超高速通信

最高伝送速度 10Gbps(4Gの約10倍)

超低遅延通信

遅延は1ミリ秒以下(4Gの遅延速度の1/10程度)

多数同時接続

100万台/km²の接続機器数(4G基地局の30~40倍)

5G周波数は2019年4月に割り当てが始まり2020年に商用サービスが開始されました。5Gの活用は生活の利便性向上、社会課題の解決につながると予測されており、政府も5G通信網の普及と利活用を推進しています。

2.日本の5G普及状況(2022年現在)

政府は2023年までに全国98%のメッシュ(※)で5G基地局を展開する目標を掲げています。
※メッシュ…全国を10km四方のエリアで区切ったもの

それに伴い、2022年4月、大手通信会社のひとつが2022年3月末時点で5Gネットワークの人口カバー率が90%を超えたと発表しました。スマホの利用率83.4%、SNS利用率73.8%(※)と比べても普及率は非常に高く、環境整備のスピード感が伺えます。
※総務省「令和3年版情報通信白書 」

また、MM総研が調査した「2021年度通期 国内携帯電話端末の出荷台数調査」によると、2021年度のスマホ出荷台数のうち、5G対応スマホが69%を占めています。2022年度には5G対応スマホの出荷比率が96.2%、2024年度には100%になる見込みです。誰もが日常的に5Gを利用できる時代がきているといえるでしょう。

3.5Gの今後の展開【生活の向上】

5Gの3つの特徴「超高速通信」「超低遅延通信」「多数同時接続」により、私たちの暮らしは大きく変化します。ここでは「生活の向上」という観点から、5Gの今後の展開についてまとめます。

密集地での安定通信
これまで、繁華街や大規模なイベント会場では、通信障害が生じることがありました。しかし、5Gは1 km² あたり100万デバイスを同時接続でき、これは4Gの10倍にあたります。人が密集する場所でもネット接続に支障が出にくく、スマホやパソコンが安定して使えるようになります。

リアルでスムーズな映像配信
5Gはデータ遅延が4Gの1/10程度の1ms(1秒の1000分の1秒)と極限まで抑えられます。4G環境で動画を再生すると読み込みの遅さが気になることがありましたが、5Gでは体感できないレベルになります。
臨場感のあるスポーツ中継やコンサートのライブ映像はもちろん、VRやARといった精細な映像も、遅延を気にせずスムーズに楽しめるでしょう。

遠隔地とのリアルタイム通信
5Gがあれば遠隔地との通信もスムーズになります。高精度な映像をタイムラグなしで送受信でき、離れて暮らす家族や友人とのビデオ通話もストレスがありません。ミュージシャン同士が5Gを介してセッションをし、それを配信するなど、エンターテインメント分野での活用も期待できます。

IoTによる買い物の効率化
5Gで多数同時接続ができるということは、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるIoT化が進みやすくなります。
例えば、スーパーでカートが自動追尾され、財布を出すことなくゲートを抜けるだけで決済が可能に。買い物もより便利になるかもしれません。

エコなスマートホームの実現
鍵や照明、テレビなどがすべてネットにつながるスマートホームも実現できます。

5Gは1つのエリアでカバーできるデバイス数が圧倒的に多いため、家電製品をネットに接続してスマホで一元管理することも可能です。電源のオンオフや設定変更だけでなく、エネルギー管理も自動制御できるので、省エネにもつながります。

4.5Gの今後の展開【社会課題の解決】

5Gは高齢化や人手不足、環境問題といった大きな社会課題の解決の糸口としても期待されています。ここからは「社会課題の解決」という観点から5Gの今後について見ていきましょう。

働き方の多様化をサポート
5Gは現行の4Gよりも高速でありながら低遅延で安定した通信が可能になるため、リモートワーク環境の改善が期待できます。在宅勤務が可能になれば、子育てや介護で出社が難しい人も働きやすくなります。
労働力不足が叫ばれて久しい日本社会において、多様な働き方の実現は必須課題です。5Gは将来的な生産性の向上に一役買うでしょう。

都市課題を解決するスマートシティ
IoT化は家や商業施設だけにとどまらず、街全体にも広がり、スマートシティの実現を後押しします。
スマートシティとは、ICT(情報通信技術)等の新技術を活用して交通やエネルギー供給、社会インフラをマネジメントし、全体最適化を図った持続可能な都市のこと。
車や信号、防犯カメラ、上下水道などあらゆるものが5Gにより同時接続され、災害情報のリアルタイムな共有、交通渋滞の緩和、エネルギーや資源の最適管理が可能になります。 

食料問題を救うスマート農業
日本の農業就業人口のうち7割が65歳以上と、高齢化が深刻な問題となっていますが、5Gによるスマート農業で人手不足を解決できるかもしれません。
5Gがあれば農業用センサーやトラクター、給餌ロボット、散水ドローンなど、さまざまな農業機械を同時に接続できます。限られた人手でも、自宅から農作業管理ができるようになるでしょう。

遠隔地への医療提供
都心部から過疎地への医療提供も、5Gの普及で実現します。5Gの超高速・低遅延通信によって機械の遠隔操作がリアルタイムで行えるようになり、リモート受診や遠隔手術はもちろん、海外の医師による診察も可能になるでしょう。

災害への万全な対策・迅速な対処
災害への対策や災害時の迅速な対処として「ローカル5G」の導入も検討されています。ローカル5Gは、ある特定の地域や建物内にスポットとして5Gを構築するシステムです。
ローカル5Gには、他エリアでの通信障害や災害の影響を受けにくいという特性があり、河川の氾濫や降雪状況の監視、容易には立ち入れない山岳部の災害確認、遠隔救助などへの活用が考えられます。

移動・配送を助ける自動運転システム
地方での移動手段確保のカギも5Gがにぎっています。今注目を集める自動運転では、刻一刻と変化する環境に対応する必要があるため、5Gの超低遅延通信技術が必要不可欠です。完全自動運転が実現すれば交通事故が減少するだけでなく、過疎地域での無人タクシーや、物流における無人トラックの活用など、幅広い分野での課題解決が可能となります。

5.まとめ

5Gは、高速かつ大容量の通信、低遅延通信、多数同時接続という3つの特徴を持った、次世代の移動通信システムです。2022年に商用サービスがスタートし、ここ数年はネットワークの整備や対応スマホの発売により、普及率が上がっています。


5Gの特徴を生かせば、高精細動画のリアルタイム配信、スマートホームIoT化による買い物の効率化など、生活の利便性が向上するでしょう。さらに農業や物流、医療、災害といった分野での活用や、働き方の多様化、スマートシティの実現も視野に入り、社会課題の解決も期待できます。


私たちの今後の生活は、5Gの普及でさらに変化を遂げるでしょう。

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