次世代通信規格「5G」の3つの特徴
~基礎知識と現在の普及状況も~

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近年急速に普及が進んでいる「5G」。5Gは通信を一層高速化させ、私たちの生活を根本から変化させるといわれています。ただ、実際に5Gとは何か具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。 

そこで今回は、5Gとは何なのか、5Gの3つの特徴、現在の普及状況について詳しく解説します。5Gについて理解を深め、今後の生活がどのように変化するのかを想像してみましょう。 

【目次】

1.世代通信規格の5Gとは?

5Gとは「5th Generation」の略称で、携帯電話などに用いられる次世代通信規格の5世代目という意味です。日本語では「第5世代移動通信システム」と表記されます。 

5Gは現在主流の通信規格である4Gと比較して「高速大容量通信」「超低遅延通信」「多数同時接続」という3つの特徴を持っています。普及が進めばAIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて人々の生活をより良いものへと変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が実現できるでしょう。 

5Gはアメリカや韓国、イギリスなどでは2019年から、日本では2020年から商用サービスが開始されおり、年々普及率が高まっています。今後は個人使用のみならず産業での使用も活発化するといわれており、新たなビジネスの進展に繋がることが期待されています。 

2.5Gの3つの特徴

ここでは5Gの「高速大容量通信」「超低遅延通信」「多数同時接続」という3つの特徴について解説します。

高速大容量通信

5Gの特徴の1つは「高速大容量通信」です。 

5Gでは、より高速な通信が可能となる高周波帯において、数百のアンテナ素子を使用してデータ送信ができる「Massive MIMO」と、電波を細かく絞って特定の方向へ集中的に発射できる「ビームフォーミング」を組み合わせることで、安定して高速大容量通信を供給できるようになっています。 

4Gの通信速度はダウンロードで最大1Gbps程ですが、5Gでは最大10~20Gbpsと10倍以上の通信速度であり、通信容量は約100倍にもなるといわれています。

5Gの高速大容量通信を利用すれば、4Kや8K映像など大容量のコンテンツをスムーズに配信することができます。自宅でもスポーツやライブなどを会場にいるような臨場感で楽しめるようになるでしょう。 

他にも、膨大なデータをやり取りするVR(仮想現実)やAR(拡張現実)を利用しやすくなるといわれています。最前列にいるような感覚でライブを楽しめたり、任意のアングルでスポーツを観戦できたりと圧倒的な没入感で新たな視聴体験ができるでしょう。 

超低遅延通信

5Gの2つ目の特徴が「超低遅延通信」です。 

従来の通信では、「デバイス→基地局→インターネット、クラウドサーバー」の流れで動画やWebサイトなどのコンテンツにアクセスし、逆の流れでダウンロードする「クラウドコンピューティング」が使われていました。 

一方、5Gでは「デバイス→基地局→基地局近くに設置したサーバー」の流れで通信経路を短くする「エッジコンピューティング」を使用することで、超低遅延通信を可能にしたのです。 

4Gの平均遅延時間は50ミリ秒ですが、5Gでは最大1ミリ秒、平均10ミリ秒まで遅延を減らすことができます。 

5Gの超低遅延通信は、遅延が命取りになる自動運転の分野で活躍しています。自動運転を搭載している車は常時ネットワークに接続し、車両の状態や歩行者の位置、交通状況などの情報をサーバーとやり取りします。 

遅延が少なくなれば取得した情報から即座に適切な行動を判断できるため、周囲の車のブレーキやアクセルなどの操作を互いに通信して車間距離を保ち、安全に走行することで交通事故が減少し、渋滞が軽減されるでしょう。 

 

また、遠隔医療の分野でも活躍が期待されています。直近では、遠方にいる医師が手術中に助言をする遠隔手術支援やロボットを使用した遠隔手術が広まりつつあります。将来的には、世界中どこにいても最先端の医療を受けられるようになるかもしれません。 

多数同時接続

5Gの3つ目の特徴が「多数同時接続」です。

通常、デバイスと基地局で通信をする際には、周波数や利用時間を決定するグラントを発行する必要がありますが、5Gではデバイスと基地局の通信をできる限りシンプルにすることで「グラント・フリー」のデータ送信が可能になりました。 

5Gの同時接続数はエリアによっても異なりますが、4Gと比較して約10倍ともいわれています。今後は、人が密集する都市部やスタジアム、ライブ会場などでも快適に通信できるようになるでしょう。 

5Gの多数同時接続により、スマートホームが広まりつつあります。スマートホームとは、家の中にある照明やエアコン、TV、洗濯機など様々な家電や設備をIoT化し、スマートフォンで一括操作することです。将来的には、街中の設備がインターネットに接続し、生活インフラやサービスを効率的に管理するスマートシティが実現されるでしょう。

3.5Gの普及はどのくらい進んでいる?

2022年の総務省の発表によると大手携帯電話事業者4社の情報を基に集計した全国の5G人口カバー率は93.2%です。(※人口カバー率とは、「全国を500m四方に区切り、5Gエリアがそのうちの半分以上をカバーしていれば100%、半分未満であれば0%とする」算出方法で導かれた割合。) 

都道府県別で見ると東京都、埼玉県、神奈川県、大阪府の人口カバー率は99%以上である一方、岩手県、島根県、大分県、鹿児島県は70%台にとどまりました。 

総務省は5G人口カバー率を2023年度までに95%、2025年度までに97%、2030年度までに99%にするという目標を設定していて、全国各地で基地局の整備が進められています。

また、企業や自治体などでは、特定のエリアで5Gネットワークを構築し利用することができる「ローカル5G」が導入されることも増えています。 

現状でも5Gの普及はかなり進んでいるといえますが、基地局の整備により全国で5Gが使用できるようになり、ローカル5Gの普及によりエリアごとのカバーができるようになれば5Gの恩恵を十分に受けられる社会へと進展していくでしょう。 

4.まとめ

5Gとは「5th Generation」の略称で、携帯電話などに用いられる次世代通信規格の5世代目という意味です。5Gは現在主流の通信規格である4Gと比較して「高速大容量通信」「超低遅延通信」「多数同時接続」という3つの特徴を持っています。 

5Gの普及により、8Kなど超高画質な動画のライブ配信やオンラインを活用した在宅医療、遅延が命取りになる遠隔制御、スタジアムやライブ会場など人が密集する地域での通信が可能になるといわれています。 

2022年の総務省の発表によると大手携帯電話事業者4社の情報を基に集計した全国の5G人口カバー率は93.2%です。総務省は2030年までにこの数値を99%まで引き上げるという目標を設定していて、全国各地で基地局の整備が進められています。5Gの普及が進めばますます便利な社会になっていくでしょう。 


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