DX推進事例

Interview

Interview- DX推進事例 -

新しい新電元の環境構築へ─
DXを支える熱い志と視点。

Interview- DX推進事例 -

新しい新電元の環境構築へ─
DXを支える熱い志と視点。

全社的なDX推進に取り組む新電元グループ。
牽引役となっているのが情報システム部です。
DXにかける思いや具体的な取り組み内容、
目指す姿について語り合いました。

S. K
経営企画室
情報システム部
部長

1996年入社。一貫して新電元グループ全体のICTインフラ構築・運用、セキュリティ関連の業務に従事。

K. S
経営企画室
情報システム部
参事

1986年入社。半導体製造部、電子デバイス生産管理部、営業統括部を経て現職。

K. Y
経営企画室
情報システム部
チーフ

2008年入社(中途)。電装事業部で汎用発電機関連のシステム設計を担当後、現職。

危機感を
モチベーションに変えて

─新電元グループのDX推進について、
その背景を教えてください。

K部長 :新電元グループでDXというキーワードが注目されるようになったのは、2018年に経済産業省がDXレポートを発表したときでした。レポートには「2025年の崖」という表現で旧来のシステムのままだとデジタル競争に負け、企業も社会も立ち行かなくなることを認識させられ、情報システム部のメンバー全員がショックを受けたことを覚えています。

S参事 :新電元グループに限らず多くの企業が同じような衝撃を受けたと思います。DXを推進しないと企業は衰退する、と書かれていたわけですから。海外では最新のクラウド技術を活用したシステムへと猛スピードで切り替わっているのに、日本では依然として机の上の紙の山に埋もれて仕事をしている。これまで日本は海外に負け続けてきたけれど、このままではいずれ滅びてしまうでしょう。その「崖」を迎えるのが2025年というわけです。

Yチーフ :私は当時、情報システム部ではなく電装事業部で汎用発電機関連のシステム設計を担当していました。目の前の仕事に追われていることもあって、2025年のことまでは考えられませんでしたが、仕事の進め方や業務の仕組みには改善の余地が大きいと感じていました。テクノロジーを活用することでもっと効率化できるはずだと思っていたのです。同じ作業を何人も行っていたり、リソースが使い回せなかったり。そんな現実を見ながら、もやもやした思いを抱いていました。

K部長 :技術的にはクラウドの登場がインパクトありましたね。以前はオンプレミスで、つまり自分たちが物理的に管理できる状況でシステムを構築していたのが、クラウドによって短期間かつスモールスタートで構築できるようになった。さらにクラウド上のデータやサービスも簡単に活用できるようになりました。こうした技術的な変革もDXを後押ししたと思います。

物理的な制約から
解放された環境を構築

─DXの具体的な取り組みを教えてください。

K部長 :今もお話ししたように社内外の事情を考慮して、DXは待ったなしの状況でした。そこでトリガーとなったのが朝霞事業所の開設でした。

S参事 :飯能工場(埼玉県飯能市)の機能と大手町本社の機能を集約させ、従業員の約9割が在籍する中心拠点が朝霞事業所です。開設は2021年の4月で、これに合わせてゼロベースで全社のITインフラを再構築することになりました。これが当社のDXのスタートですね。働き方改革によってフレックスタイムや在宅勤務が社会的にも浸透しつつありました。当社もフリーアドレス制を導入し、社員が物理的な制約に縛られずに働けることを目指しました。

K部長 :まず我々がチャレンジしたのは、新技術を活用した無線LAN環境の構築です。画期的だったのは朝霞事業所内の400台近い接続デバイスをソフト上で一括管理できるようにしたことです。従来ならば、設定をちょっと変更しようと思っても物理的に一台ずつ設定し直さなくてはならなかったところ、一括で行えるようになりました。極めてスピーディに無線LAN環境を構築できたと思います。

S参事 :出勤時も在宅勤務時も変わらない環境を実現するとなると、問題となるのはセキュリティです。どこにいても社内のシステムに簡単にアクセスできる一方で、万全のセキュリティ体制を構築しなくてはなりません。そこでセキュリティ対策を従来の境界防御からゼロトラストにシフトすることにしました。朝霞事業所にいても、自宅にいても、完全に同じ環境でシームレスに仕事ができるようになったのは、この技術を導入したからです。これも以前から導入を検討しており、朝霞事業の開設に合わせてタイミングよく実現できました。

Yチーフ :こうした取り組みに拍車がかかった理由は、新型コロナウイルスの感染拡大でしたね。当社も否応なく在宅勤務を強いられることになり、経営陣からも「感染拡大が収まってもコロナ前の働き方には戻らない」というメッセージが発信されたことで、新しいITインフラの構築がなおのこと急がれました。

K部長 :朝霞事業所の開設日は既に決まっている。しかしコロナで我々の業務はなかなか前に進まない。そんな状況でしたから、時間的には非常にきつかった。一時期は夜遅くまで仕事が続いたこともありましたが、社員の皆さんが朝霞事業所に引っ越してきたというのに、IT 環境が整っていないことで仕事が出来ないという事態だけは回避する必要がありました。綱渡りではありましたが、間に合わせることができて本当によかったです。

S参事: そうした責任感に加えて、DXに向けてスタートを切るには今しかない、このチャンスを逃すことは許されない、という思いも強かったです。そんな危機感がモチベーションになりました。執念と言ってもいいかもしれません。社員のために快適な仕事環境を実現したかったし、それが我々の存在意義だと思っていました。

Yチーフ :何が何でもやり遂げてみせるという気持ちを感じましたね。

S参事: この取り組みは社内表彰制度で表彰されました。社員から「情報システム部、すごいな」という声が上がったのは本当に嬉しかったです。システムってちゃんと動いて当たり前だから、なかなかほめられることがないんですよ。それだけに余計に嬉しかったですね。

成長の先にあるのは、
社会への貢献

─DX推進は現在、新電元グループの長期ビジョンに組み込まれています。

K部長 :朝霞事業所が2021年4月に開設し、その1年後に新電元グループの中期経営計画・長期ビジョン2030が発表されました。その中でビジョン実現に向けた基盤づくりとして、全社的なDX推進が掲げられています。

S参事 :朝霞事業所の開設を好機としてレガシーシステムの刷新ができました。ここからがDX推進の第2フェーズです。具体的には製造業にとってのコアであるサプライチェーンとエンジニアリングチェーンの刷新に取り組んでいきます。

Yチーフ :サプライチェーンについては、お客様からの受注、商品企画、設計、生産、物流、販売という一連の流れをデジタル技術でつなぎ、より効率化・迅速化していこうと考えています。

S参事 :サプライチェーンは刷新ということになりますが、エンジニアリングチェーンは新たに構築することになります。例えば設計については各事業部の設計部門が自分たちに最適化されたシステムを構築して運用してきましたが、今後は一つにまとめて全社最適化されたシステムにしていきたいと考えています。

Yチーフ :サプライチェーンとエンジニアンリングチェーンがうまく相乗効果を発揮できるような仕組みを構築していきたいですね。設計部門にいた経験を活かし、現場の意見を取り入れた全体最適を目指していきたいです。

K部長 :こうした第2フェーズのDXによって新電元グループでは、「革新的な技術によって地球環境に配慮した先進的なソリューションを生み出して、持続可能な社会に貢献し、あらゆるステークホルダーから必要とされ続けるパワーエレクトロニクスカンパニー」という長期ビジョンの実現を目指します。この中にもあるように我々は新電元グループだけの成長にとどまらず、持続可能な社会に貢献しようとしています。サステナブルな世界を実現する上で先進のテクノロジーは不可欠であり、そのためにDXを推進していくというスタンスです。この軸がブレることはありません。

現場に寄り添いながら、
現場に尽くす

─SIerではなく、
企業内の技術者としてDXに
携わることを、どうとらえていますか。

K部長 : SIerはシステムを構築することや保守することが目的です。それに対して我々は自社の事業を成長させることを目的に、社内の仲間と一緒にDXを進めていくというのが大きな違いでしょう。

Yチーフ :新電元グループとしてのものづくりを支えていくという目的意識が強いですね。私自身、情報システム部に異動する前は電装事業部でものづくりに携わっていましたから、特にそういう気持ちは強いです。

K部長 :ものづくりの現場の近くで仕事をしているから、システムの良かった点、いま一歩だった点など、すぐにフィードバックが返ってくる。それが社内SEとしての醍醐味だし、大変なところでもありますね。

S参事 :は現場でものづくりをする人たちに寄り添っていくということだと思うんですよ。私もY君同様、事業部でものづくりに携わっていたことがありますから、DXで現場の業務改革を進めたいという想いがあります。改革を進めるには現場を知らなければなりません。現場の業務に精通した上でデジタルをどう活用していくかを考えることは、我々だからできることだと思います。

広い視野で
思いを発信してほしい

─新電元グループのDXを推進していくにあたって、どんな仲間に期待したいですか。

K部長 :自分の意見をしっかり発言できる方に来ていただきたいですね。私自身がそういうタイプなので、意見のキャッチボールができる人がいてくれると嬉しく思います。新電元グループはものづくりが大好きな人ばかりの会社ですので、同じ思いの方ならとても働きやすいのは間違いありません。

S参事 :私は現状を第三者的に俯瞰できる人に期待しています。DXで業務改革を進めるには、現状の課題を把握し、どういう方向性で進めていくべきかという広い視野が必要です。業務改革は一度きりではないですし、これでいいという終わりもありません。ぜひ俯瞰的な見方のできる人をお待ちしています。

Yチーフ :新電元グループは、派手さはないのですが、非常に自由な会社だと思っています。こんなことを実現したい、こんなことに挑戦したいということが自由に言えるし、取り組むことができます。そういう意味で、K部長と同様、自分の考え、意見をしっかり言える人がいいですね。技術の世界は秒進分歩ですから、常に変化を先取りし、新しい姿を目指してチャレンジする方と切磋琢磨して当社を盛り上げていきたいと思います。

DX事業における取り組みを
動画でご紹介します

新電元工業のDXの取り組みがNTTデータルウィーブ様に取り上げていただきました。
以下NTTデータルウィーブ様のコメントです。

新電元工業様のゼロトラストネットワーク環境は、業界でも最先端の技術を盛り込んでおり、セキュリティの高さはもちろんですが、ネットワーク環境の効率性・運用性も高く、ユーザ様(社員様)にとって品質の高い環境がご用意されていると思います。
新電元工業様とご一緒させていただく中で、新たな対策やより良い環境を目指す姿勢は、具体的且つスピード感があるといつも感じておりました。そのような内容を背景も交えお話しいただく依頼(下記動画)をさせていただきました。改めまして、当社からのご依頼にご協力いただきありがとうございました。
新電元工業様への提案・サポート活動は、当社にとっても大変勉強になっています。ともに新しい環境・価値を共創させていただく。そのような関係性を引き続きお願いいたします。